GARMIN UNBOUND Gravel 2021 #4

乗り継ぎのためアトランタ空港に降り立った。6月3日の夕方に羽田から出発し、12時間半程度のフライトを経て、今また6月3日の夕方だ。あまり眠れなかったが久しぶりの海外、気分は悪くない。預けていたバイクケースを受け取ると、僕たちはすぐに開いてバイクの状態をチェックした。破損していた際には航空会社に報告し、然るべき措置を取らないといけない。中にはTSA―アメリカ合衆国運輸保安庁のNOTICE OF BAGGAGE INSPECTIONという紙が入っており、そこには荷物を開けてチェックした旨が記載されていた。ケースには工具やヘルメット、補給食、シューズ、ウェア類などあらゆるものを入れていたので、当然といえば当然だ。Co2のインフレータやチェーンルブは機内に持ち込むことができず没収されるので、自転車を梱包した荷物は必ずチェックされるのかもしれない。バイクやホイールに破損はなかったが、羽田空港で取り外したディスクローターはむき出しでケース内に転がっていた。
アトランタからカンザスへはナローボディ機での移動で、国際線と打って変わって満席だった。2時間程度のフライトだが満席の航空機は久しぶりの人の密度で、どうも据わりが悪かったが、窓にもたれかかるように座ると眠ってしまい、すぐに到着を知らせるアナウンスが聞こえた。カンザスに到着したのは20時ぐらいだったが、まだ太陽は沈んでおらず、空港を満たす光の加減は夕方のそれだった。ターンテーブルに向かうと西日の入るベンチに座りスマートフォンを触っている森本を見つけた。森本のマスクは2020年春にポートランド滞在時にカリフォルニア州ベンチュラを本拠とする人気アウトドアブランドのショップで貰ったものらしいが、いわゆる布マスクだ。周りを見渡しても白い不織布マスクを鼻までしっかりとしている人は少数派だ。こういう小さな差異にいちいち気づくのも海外旅行の良さである。ターンテーブル横の貨物用エレベータが開くと、空港職員はバイクケースを引っ張って並べた。それは4つあり、受け取りに向かう僕たちの前を長身でスラリとした(つまり自転車がとても速そうな)白人男性2名が歩いていった。レンタカーの手配をしてくれたスタッフは、ひょっとしてバイクレースか?日本から?と話題にするなど、いよいよUNBOUND Gravelに近づいていると実感する。その高揚感なのか長旅による集中力の低下かによるものか、どうも先程から地に足が付かない感じがしていて、森本に指摘されなければ危うくシャトルバスにバックパックを忘れるところだった。

GARMIN UNBOUND Gravel 2021 #5


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