って話 #4 - 48グループ特集的なもの

第4回。やっぱりこう、多くの曲からざっくりと選曲するのも難しいので、今回は48グループ縛りでやってみた。特に全然48グループを追いかけてなかったのになんでまた、と自分でも思っています。造詣が深くないのがバレる選曲が逆にベタで懐かしい(薄っぺらい)感じしてがいいですね。プレイリストは本家のAKB48からデビュー順にならんでいますが、楽曲のリリースは2009年〜2018年と、まさにアイドル戦国時代から現代までって感じで、アイドルマーケットの急速な拡大化とそれに支えられた多様性が一気に花開いた時代です。今回のライナーノーツ的なものは楽曲で語れることが少ないので若干周辺の話題になっていますが、それもまた良しということで。

ライナーノーツ的なものもぜひ楽しんでください。

1.ひこうき雲(シアターガールズver.)- AKB48

AKBの曲で何がすき?って聞かれると、全然詳しくないですが昔から一貫してこの曲と答えています。2009年にリリースされたRIVERのカップリング曲。AKB初のオリコン1位シングルで、夜明けの時って感じのいい時代です。ちなみに曲名に入るシアターガールズは第1回総選挙で圏外だった子たちのグループ名です。誕生から4年、7人の観客からはじまりようやく日の目を浴びたAKBの、だけどその日陰で劇場公演を主とした下部組織の子たちの曲でした。アイドルソングの定番が多く取り入れられた明るい曲調で失恋の切なさを描く王道曲は、どこか80年代を感じさせる文句のつけようのない名曲。1年後に発売されたベストアルバムに収録され、いまでもライブでタオルを回す湧き曲として愛されています。ところでこの2012年のひこうき雲のライブ映像やばくないですか?みんないる!!

2.パレオはエメラルド - SKE48

SKEは名古屋の栄の略で、2008年誕生のAKB暖簾分けとして1番歴史のあるグループです。名古屋の人たちには悪いんですが、48グループで1番知らないのがSKE48なんです。なんかこう関西人としてNMB(これもまた全然詳しくない)の目の上のたんこぶだったSKEは推せないみたいな謎の地域性、なんとなくある・・じゃないですか。それでもこのパレオとエメラルド(2011年)は文句なしの名曲ですし、賛否両論ありますが、個人的にはアイドルの夏曲=水着MVというのはカルチャーとして良いと思います。SKEと言えば松井珠理奈ちゃんが総選挙炎上から復帰した2018年末のシングルStand by youが、いややっぱ珠理奈すげえわって感じが好きで、当時Youtubeでよく観てたんですが、フロントメンバーの年齢層が・・。なんとなく世代交代に苦戦している印象がありますが、そうでもないのかな。

3.北川謙二 - NMB48

NMBは大阪の難波の略で、3番目の48グループ。所属が全員吉本興業系列というのも他のグループとの違いです。実はNMBで1曲と言われたら、デビュー曲の絶滅黒髪少女か僕らのユリイカ(水着MV)かな〜って感じなんですが、この北川謙二(2012年)はうちの上の娘が小学校の頃にこの曲と渡辺美優紀ちゃんに出会い、アイドルに胸を打たれ現在の自身に連なる美意識の根源になったと力説する思い出の曲だそう。子どもたちは様々なものに影響を受けて大きくなっていくのですが、いつだってキラキラしたアイドルもその憧れの対象であってくれたらいいなと思います。やっぱカワイイは正義です。ちなみにこの北川謙二氏は実在の人物で、アシスタントプロデューサーでした。今は偉くなって乃木坂46の映像作品のクレジットにエグゼクティブプロデューサーで名を連ねたりしています。

4.12秒 - HKT48

HKTは福岡の博多の略で、NMBの1年後2011年10月に誕生。そこから劇場公演は重ねていましたが、デビューは指原莉乃ちゃんのやらかし移籍の後、さらに準備期間を経ての2013年3月。実に480日という長い準備期間の後でした。しかし天才指原莉乃をプレイングマネージャーに擁したHKTは、他のグループとは違った独自の評価を重ね、中でもAKBグループだけでなく様々なアイドル楽曲をカバーするライブは有名です。この12秒(2015年)は楽曲もエモくて好きなんですが、共に10代後半でAKB本体で活躍していた兒玉遥ちゃんと宮脇咲良ちゃんのWセンター、その後ろを指原莉乃ちゃんが支え、そこから見える裏Wセンターに当時13歳ぐらいの矢吹奈子ちゃん+田中美久ちゃんと、これ向こう5年は安心やな、というフォーメーションがやばいですね。今となってはそういう楽しみ方が正しい感じです。

5.青春時計 - NGT48

NGTは新潟の略で、街ではなく県名が冠につきました。次は札幌?という噂もあった2015年に発表された都市は新潟。名古屋市、大阪市は200万人以上、福岡市は150万人都市ですが、新潟市は80万人。ナントカ物産やナントカ交通が誘致したらしい、とかオーディションの最終候補の半分が新潟出身らしい、とか本体のAKBもそろそろ落ち目かと言われてきたタイミングで、こういうビジネスやもんな、と改めて感じたのを覚えています。これまでのグループよりも強い地域密着をコンセプトに市や県をもスポンサーに付け、1年8ヶ月という長い準備期間を経たデビューシングル青春時計(2017年)のMVは、新潟でフォーチュンクッキーを焼き直した印象で、楽曲もラップともポエトリーともつかないふんわりしたパートとか、思い切りの無い転調とか、グループの色を示すデビュー曲にしてはなんだかスッキリしない感じはあります。

6.暗闇 - STU48

STUは瀬戸内の略で、ついに地域が冠につくようになりました。NGT48デビューの2017年以降、ビジネスモデルとしてパッケージングされた48グループは海を超え、東南アジア各国に輸出されています。STU48の運営はAKBの運営会社AKSが関与しておらず、様々な企業と瀬戸内7県が参画する地域創生系の観光推進社団法人が出資する会社が担当しており、瀬戸内海をクルーズする船上劇場を保有し、これまた地域密着型の運営を行っています。運営は自分たちで、コンテンツはセントラルから、とまさにフランチャイズビジネスですね。デビューシングル暗闇のリリースは乃木坂46が紅白歌合戦でインフルエンサーを歌った翌月2018年1月で、乃木坂の成功を強く意識した楽曲はとても良いですね。秋葉原から乃木坂へとアイドルの王座は遷移しましたが、アイドルカルチャー勃興の立役者の一翼はその本体だけでなくフランチャイジーをも生み、いまも多くの人を魅了しているのです。

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