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『天使の翼』第13章~吟遊詩人デイテの冒険~

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マウンテンデビルの背にまたがって『空白地帯』の村や町に降り立つ『風のデイテ』となったデイテの次の一手とは?
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2024年3月の記事一覧

『天使の翼』第13章(9)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 マウンテンデビルは生来の飛行生物ではない。羽ばたいたってあの巨体が空に浮かび上がる訳で…

武田敦
3か月前

『天使の翼』第13章(8)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 急降下の風圧に耐えて、エリザの鱗の隙間から何とか前方を確認したわたしは、エリザが盆地中…

武田敦
3か月前

『天使の翼』第13章(7)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 『そうね、遥か昔この盆地に私たちデビルが住んでいたとは、私も聞いたことがあるわ』   …

武田敦
3か月前
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『天使の翼』第13章(6)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 下ばかり見ていたわたしは、エリザの急激な方向転換、その急な遠心力にハッと我に返った。金…

武田敦
3か月前
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『天使の翼』第13章(5)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 盆地の中に、盆地の上空に入った瞬間、エリザの巨体がフッと軽くなり、わたし達は、風のない…

武田敦
3か月前
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『天使の翼』第13章(4)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしが、ゴーグルを上げて、顔に張り付いた無数の雨滴を手の甲でぬぐおうとした時だった。…

武田敦
3か月前

『天使の翼』第13章(3)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エリザによれば、ハイアンコーナへの飛行は気流の状態にもよるが標準時で2時間ほどの行程だろう、という。……これは蛇足だけど、エリザは、わたしと巡業の暮らしをするようになってから、人間界の時間感覚というもの、その概念をかなり正確に理解するようになっていた。むろん、マウンテンデビルにも時間の感覚はあるのだが、彼女は、それを人間のそれ、時間感覚といわば同時通訳できるまでになっていた。マウンテンデビルの知性、変化への対応能力には驚かされるばかりだ……  行程の半ばを過ぎたころから、雨