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ビジネスを考える

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2019年4月の記事一覧

『接客』とは何か?

 NIKKEI STYLEの記事【顧客連絡「スピード命」 ベンツ販売、5年連続優秀賞 ヤナセ 高津絵美さん】は、改めて『接客』とは何か、その本質的なものを考えさせてくれます。仕事としての『接客』には、提供するサービスの一部としての『接客』(飲食店・ホテルなど)と、販売のための『接客』(小売店・デパートなど)とがありますが、ここでは主に後者の販売のための『接客』について考えてみたいと思います。  そもそも、『接客』とは、広く一般的には「客をもてなす」ことであり、その目的は、歓

『卒業していく顧客』とどう向き合うか?

 商品(モノ・サービス)には、目的を達してしまうと、あるいは、一定の期間を経過すると、もう使われなくなってしまうものがあります。顧客がその商品から卒業してしまうのです。企業は、このような『卒業していく顧客』とどう向き合っていけばいいのでしょうか?  例えば、日経電子版の記事【SHIBUYA109、新ロゴ点灯 40周年で刷新】では、「若者から『109はもう卒業した』と厳しいコメントをもらう」という状況からの脱却がリポートされています。    また、同じく日経電子版の記事【

サービス化するメーカーとIT化するリテールの出会い~究極のイノベーション・エコシステム~

 日経電子版の記事【未来のコンビニ、パナソニックが丸ごと支援 (リテールテック~衝撃の現場)】は、いかにしてイノベーションを生み出すのか、という最重要事項に関して、改めて考えさせてくれます。  まず、記事でリポートされている事例を整理してみると、「パナソニックがファミマのFC(フランチャイズチェーン)加盟店となり、パナソニック社員が店長を務める」という、きわめて特異なアライアンスが最大の特徴、肝(きも)となっており、その店舗には、主に5つの仕掛けが施されています―― ▶『

一筋縄では行かない利便性の確立~ファッション通販のサイズ、どうする?~

 日経電子版の記事【ゾゾスーツ、量れなかった女心 失敗の深層明らかに】は、改めて、一つのサービスをデザインするにあたって、その利便性を確立することがいかに難しい事か考えさせてくれます。  例えば、記事でリポートされるような、ファッション通販におけるサイズ問題などは、サイズが良く分からないが故に購入をためらったり、実際に購入した服のサイズ感が思っていたのと違ったりと、ファッション通販における最大の課題の一つであることは間違いありません。逆に言うと、この課題を解決できるようなサ

ショールーム化するリアル店舗~商品売上ゼロの店舗とは~

 日経電子版の記事【試作品の家電にトライ 蔦屋家電の新機軸】は、「未発売の製品を触れる小売店」というユニークなビジネスモデルに関するリポートです。  ネット通販との競争にさらされるリアル店舗が、ネットとリアルの融合など様々な施策でリアル店舗の強みを模索する中、この記事で紹介される事例は、相当に尖った取り組みです――  商品を売らずに、場所(スペース)を売る! ――と言うのが、その最大の特徴なのですが、一体どのようなビジネスモデルなのでしょうか―― ▶『ショールーム型店舗

代替品が新たな価値となる時~「別のモノ」から「新しいモノ」への脱皮~

 日経電子版の記事【若者がはまる0%ビーフ 「植物肉」が味な進化】は、代替品としてスタートしたものが、独自の進化を遂げて、新たな価値を持った商品へと成長する様子をリポートしています。  まず、記事などから、大豆ミートが辿ってきた道のりを整理してみると―― ▶『大豆ミート』の進化の歴史(第1の波)・・・70年代初め・・・ビーガン向け・・・健康食品・・・肉の代替品 (第2の波)・・・80年代半ば・・・購入層は限定的・・・健康食品・・・味が少し改善 (第3の波)・・・現在・

吉野家、28年ぶりの決断~始まったか、外食のカスタマイゼーション競争?~

 少し前の日経電子版の記事【吉野家、牛丼に新サイズ 28年ぶり 朝食もメニュー拡充】でリポートされている牛丼だけで6種類、というのはインパクトがあります。牛丼一つとっても6種類を品揃えして顧客の選択の幅を広げる、『盛り』のカスタマイゼーションと言えそうです。  記事では、牛丼だけでなく、朝食メニューとして「一汁三菜朝膳」6種類も販売するとあります。文字通り、『品目』・『サイズ』・『価格帯』を少しずつ変えたバリエーションでもって、あたかも顧客にカスタマイズのテンプレートを提供

『不便性』のベネフィット

 日経電子版の記事【あえて不便に楽しさ生む 京都大特定教授、川上浩司氏】では、商品(モノ・サービス)の価値基準である『利便性』の正反対、『不便性』にベネフィットを見い出す、という考え方がリポートされています。『不便』であることが、ユーザーにとって価値ある体験となる、とはどういう事でしょうか?  そこで、『不便性』にベネフィットがあるような商品が世間にどの程度あるのか、思い付く限り列挙してみると、これが意外と色々ありそうなのです―― ▶『不便性』にベネフィットがある商品  

『イノベーションのエコシステム』としての企業

 少し前の日経電子版の記事【「トラスト」欠いたゴーン元会長 結合なき経営の限界】は、一般論として、グローバル時代のリーダー像を考える良い機会を与えてくれました。  詳細はその時の考察(拙稿「『イノベーションのエコシステム』と『リーダーのスキル』~リーダーはイノベーションという進化を促す淘汰圧~」)に譲りますが、「第4次産業革命の時代のリーダーのスキルとは、会社をイノベーションのエコシステムへと変貌させ、イノベーションという進化を促す淘汰圧(選択圧)のようなもの」というのがそ

待ったなしのAI活用~従来型のPDCAはもう古い!~

 日経電子版の記事【アマゾン、業務の効率化にAI活用を徹底(The Economist)】を読むと、企業がAIを導入して業務を効率化する重要性・必要性・喫緊性がひしひしと伝わってきます。AIは、生身の人間では到底不可能なレベルで、膨大なデータをスピーディーに処理できるため、AIによって効率化されているか否かという事は、最終的な顧客のベネフィットに大きな差をもたらすのです。  改めて「AIによる業務の効率化とは何か」ということを考えると、基本的には、AIが、まず、特定の対象の

AI電話注文~通販に第3の注文方法~

 日経電子版の記事【オイシックス、AIで野菜の電話注文24時間受け付け】は、通販の注文方法に、人間の対応する電話でも、Webでもない、第3の注文方法が登場してきた事をリポートしています。  この第3の注文方法は、人間の代りにAIが電話対応するもので、従来の注文方法と対比してみると―― ▶通販の3つの注文方法(1)注文経路とUI(ユーザーインターフェース)   ①Web注文・・・・・ユーザー⇨GUI(グラフィカルUI)⇨Web   (GUI:マウスや指で画面を操作する。)

AI先生の類まれな実力~エドテックの真価~

 日経電子版の記事【「AI先生」は月謝2000円 ネット講座、便利に安く】は、AIを活用したエドテック『AI先生』に関するリポートです。インターネットを通してスマホやタブレットで学習する『AI先生』のポテンシャルについて、改めて考えてみました。  まず、記事などから『AI先生』のメリットを整理してみると―― ▶『AI先生』のメリット(1)紙によるアナログな学習と比べた優位性   ①『入口の優位性』・・・(ゲーム感覚で)取っ付き易い。   ②『場所の優位性』・・・机に向

リアルを活性化する『BOPIS』のポテンシャル~リアル店舗活性化の切り札~

 日経電子版の記事【ナイキなど採用の「BOPIS」 実店舗にメリット大】でリポートされる『BOPIS(ボピス)』には大きなポテンシャルがありそうです。「Buy Online Pick-up In Store」の頭文字を取った『BOPIS』、「ネットで購入して店舗で受け取る」サービスとはどのようなものなのでしょうか?  ネットで購入して店舗で受け取る『BOPIS』は、『ネットとリアルの融合』によって顧客満足の最大化を図る『オムニチャネル』の一施策と言えます。非常にシンプルで分

商品が売れるテレビCMとは?

 日経電子版の記事【スマートニュース ライバルを逆転したCMデータ術】は、本当に商品が売れるテレビCM、アプリの場合はダウンロードされるテレビCMはどのように作られているのか、とても参考になるリポートです。ばらまき施策の大量出稿ではない、ピンポイントな広告とはどのようなものなのでしょうか? (1)面白くて話題になるだけではダメ 記事では、何よりもまず、面白くて話題になっても、商品の購入(アプリのダウンロード)に繋がらないCMはダメ、と指摘されます。  言われてみれば当然の