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水は海に向かって流れる

 通学のため、叔父·茂道(高良健吾)の家に居候する事になった直道(大西利空)。榊さん(広瀬すず)に案内されてたどり着いたその家は、なんとシェアハウスだった。榊さんは「私、恋愛しないので」と言い放った。

 青春恋愛映画である。だが、それだけではない。いつも不機嫌な榊さんとまっすぐな高校生・直道は、その父母にまつわるある「過去」に直面する。直道の涙と怒りの訴えに心動いた榊さんは、過去と対決し、「怒る」べく、母親のもとへ旅立つが…。

 人は誰しも思い出したくない「過去」を抱えている。榊さんのように、過去は過去として「怒り」を抱えながらもそれをうまくいなし、平穏な現在を生きる。直道のように自分の「怒り」に素直であり、時折それを人にぶつける。どちらを選ぶかはその人次第だが、「過去」は消えない。なかったことにはできないのだ。楽しい過去も忌まわしい過去も私達の心に「通奏低音」の如く流れている。その流れは未来に向かって流れる。それだけが「救い」なのかもしれない。

 広瀬すずの美しさと存在感に撃たれた。榊千紗というキャラクターに光と影を与えていた。後半、榊さんと直道が海で戯れる場面がある。榊さんはカンフーポーズをとった後、直道にドロップキックを食らわす。広瀬すずは『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』でもカンフーポーズを披露していた。是非とも本物のカンフー映画にも出てほしい。

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