見出し画像

5月8日(水)TSURUBE BANASHI(世田谷パブリックシアター)

 毎年5月に三軒茶屋で開催される笑福亭鶴瓶師の会。落語ではない。鶴瓶師が着物ではなく洋服で立ったまま2時間しゃべくりまくる。休憩はないので、聴く方にもそれなりの体力を要求される。

 7時、鶴瓶師がステージに登場する。黄色っぽいどう見ても普段着ではない衣装。右に左に動きながら、エネルギッシュに喋り続ける。とりとめもないように見えて実はテーマがある。

 なぜそんな事が起こるのか?
 
 
前半は鶴瓶師が出会った一般人のエピソードを中心に話す。見ず知らずのおばちゃんに「鶴瓶おるから変わるわ」とスマホを渡されたり、千円札を崩すよう頼まれたり、とある寺では住職が履いたらいけないズボンを履いて夫人に一喝されたりする。

 そんな事ある?

 と観客に問いかけながら、「一般人から話しかけられる体質」の彼は喋る。

 一般の人のほうがこわいわ。

 その後は鶴瓶師自身のエピソード。一般人を笑いで刺した後は自分をも刺す。笑いのマナーである。奥様とのエピソードが面白い。夫人と買い物に来て、「何でも買っていい」と言われ、カートに生姜の天ぷらを入れたらぜんぜん違う人のカートだったり、買うか買わないか悩んでいる女房に「買(こ)うたらええやないか」と怒鳴ったら知らないおばちゃんだったり。そこにあるのは確かな人間観察眼であり、絆を引き寄せる力である。2003年のフジテレビ系『27時間テレビ』で発生した「局部露出事件」の真相も語られた。

 最後にスクリーンが降り、『探偵ナイトスクープ』ならぬ『鶴瓶ナイトスクープ』が上映される。なんと本家で探偵をつとめる桂二葉さんが駿河学さんの依頼に答える。
「おじさんはなぜ落語の途中で立ってしまったか?」と「神社の鈴は何故落ちたか?」
 二葉さんが当事者に話を聞きながら、事件の真相に迫る。

 バズーカで客席にTシャツ4枚がバラまかれ、初日は終了した。鶴瓶師のフリートーク力と笑顔に魅了された。彼は人たらしのバケモンなのだ。

#創作大賞2024
#オールカテゴリ部門

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?