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10月15日(日)林家つる子ひとり会(なかの芸能小劇場)



つる子  箱入り
 現在、師匠の正蔵門下のまめ平師の真打昇進披露興行を手伝っているが、来年3月にはつる子さん自身が真打に昇進する。忙しい日々を送っている中、前座時代を回想する。
 ある時、おかみさん(海老名香葉子)から毎日庭の花の水まきをするように仰せつかる。来る日も来る日も花に水をまいていた。ある土砂降りの日、つる子さんが傘をさして水をまいていると、おかみさんに
「つる子ーっ、土砂降りの日に水まいてどうすんの⁉」
『箱入り』は新作落語であるが、擬古典である。
 日本橋の両替商・和泉屋の箱入り娘のお静が嫁ぐ事になった。何もできない彼女を心配し、番頭だった本所の佐兵衛のところで行儀見習いをさせる事にする。何を教えても言葉通りに解釈し、トンチンカンな事をする彼女に周囲は振り回される。
 つる子さん自身の前座時代をオーバーラップさせるような展開。額に汗をかきながらの熱演が爆笑を呼ぶ。
 
つる子  スライダー課長
 野球小咄から本題へ。
 会社員の田中君は課長から野球について教えてくれるよう頼まれる。課長は中日を「なかび」と読むほどのズブの素人であった。
 野球の知識に乏しい課長であるが、シアトル駐在の経験から英語の発音がやけにいいのがおかしい。話は野球から意外な方向に導かれてゆく。 

ー仲入りー

つる子  ねずみ
 正蔵師の得意ネタ。師匠から直接習ったか?師匠譲りの丁寧な噺の運び方ながら、そこにつる子さんならではの表情豊かで魅力的な人物造型をプラスして、実にカラフルな人情噺に仕上がった。
 ねずみ屋の主人が主人公を左甚五郎と知った後、握手を求めるのはつる子さんの工夫だろうか?噺のいたるところにつる子テイストが生き、彼女のモノになっていた。
 来年の真打昇進披露興行が楽しみになってきた一席だった。

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