7月7日(日)鈴本演芸場 上席 夜の部
貫いち 元犬
小はだ たらちね
アサダⅡ世 奇術
きく麿 首領がゆく
マクラで小林旭『赤いトラクター』を熱唱する。
正蔵 おすわどん
聞き間違いがテーマ。「空耳落語」か?
ホンキートンク 漫才
菊太楼 長短
「軽やかさ」が魅力の師匠です。
扇遊 浮世床(はんちゃん)
ちょっと手のこんだ夢オチ。この当時の床屋で遊んでみたい。
ー仲入りー
小菊 粋曲
「梅は咲いたか」
「並木駒形」
「人を助くる」
「都々逸」
浮名立て立て二人の浮名 はたで手出しの出来ぬほど
夕立のざっと降るほど浮名は立てど ただの一度も濡れやせぬ
男じゃもの 外へ出たときゃ惚れられしゃんせ そして惚れずに帰りゃんせ
「両国風景」
三三 がまの油
最初の口上の見事さに拍手がわき起こる。酔った後の口上には親子が登場し、子供が油売りにツッコミを入れる。
楽一 紙切り
つる子 井戸の茶碗
つる子師で『井戸の茶碗』ははじめて。
清廉潔白な二人の武士、千代田卜斎と高木佐久左衛門。そして二人に翻弄される屑屋の正直清兵衛。つる子師は「いい人しか出てこない」名作をオーバーアクションとうるさい顔…じゃなかった、多彩な表情で戯画化というより、コミック化してみせた。カラフルでおかしな、だけど本人たちは至って真面目な人情喜劇。
つる子師ならではの工夫。千代田卜斎の娘が清兵衛の相談に優しくのってやり、父親にとりなしたりする。千代田が150両を支度金として、娘を高木のもとに嫁がせると言った時、清兵衛は「娘さんのお気持ちは?」と問う。娘は、父の「そういえばお前は高木様にお会いしたいとよく言っていたなあ」という言葉をいなしつつ、高木に好意を抱いている事を告白する。これで父親に無理に高木のもとに嫁がされたのではなく、自らの意志で嫁いだ事になる。「女目線」で古典落語を再構築してきた林家つる子ならではの演出である。声高に女性の立場を主張するわけではない。ただ、娘の気持ちや立場に寄り添うために、このやり取りを入れたのだろう。私はごく自然につる子版『井戸の茶碗』を聴いた。