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6月8日(土)林家つる子 真打昇進披露落語会(渋谷文化総合センター大和田 伝承ホール)

さく平  つる

好青年  忍者会社
 スウェーデンの青年が忍者に憧れ、日本にやってくる新作落語。
 落語もだが、日本語の更なる上達がのぞまれる。

三朝  磯の鮑
 三朝師が寄席でもよくかける噺。与太郎がすごくかわいい。与太郎が店に入ってからの暴走ぶりに笑いが止まらない。

正蔵  一眼国
 つる子師の寄せにおける真打昇進披露興行でもよくかけていた。見ているつもりが逆に見られていた。果たして私が落語家を見ているのか、落語家が私を見ているのか。
 

ー仲入りー

 (高座右より)【司会】好青年・猫八・三朝・つる子・正蔵・やまと  口上
 
日本国籍を有しない落語家による口上の司会を初めて見た。たどたどしい司会ぶりにつる子師匠も笑っている。正蔵師匠が思わず、

 大丈夫か?

 代わろうか?

 和やかな雰囲気の中、あたたかな雰囲気で口上は進む。
 猫八先生は、

「つる子師匠は真打昇進披露興行で毎日泣いていた。私も猫八襲名披露興行の時は毎日『ないた』。動物のモノマネを毎日『鳴いた』」

 とやり、笑いをとる。
 三朝師とやまと師は中央大学の先輩として、つる子師にエールを送る。
 師匠の正蔵師は今回の会を共催した、はくらく会(中央大学落語研究会OB会)に賛辞を送った。また、真打はひとことも発しない口上では異例だが、つる子も(泣きながら)感謝の言葉を述べた。

やまと  たが屋
 
そろそろ聴きたかった噺。天高く打ち上がった花火(本当は違うけど)は、つる子師の新たな門出を祝う。

猫八 動物ものまね
 
開口一番にさく平さんがやった『つる』について、

 つるは木の枝にとまることができない

 と指摘する。木にとまれるつるはアフリカのカンムリヅル。そのカンムリヅル版の『つる』を披露する。

つる子  しじみ売り
 
お辞儀をしたあと、すぐに泣き顔になる。私はつる子師の泣き顔にすぐほだされてしまう。
 
中央大学の落語研究会に勧誘された時の事を話す。友達とペデストリアンデッキを歩いていたら、先輩二人がいきなり漫才をはじめた。聴いているとあたりが暗くなった。タテカン(立て看板)で周りを囲まれ、部室に連れて行かれた。 「うちはオチケンだけど、漫才とコントがメインだから」と言われ、大学生の須藤みなみは入部を決意するが、入部後は来る日も来る日も落語を聞かされやらされ、漫才やコントを見たりやったりする事はなかった。

(作者注)これでは軽い拉致と詐欺である(笑)。

 寄席での真打昇進披露興行でもかけられた。気温の高い日ではあったが、つる子師の魔法にかけられて、芯から寒い冬の一日に変わった。
 稲葉屋清五郎と弟分としじみ売りの小僧によるおかしな人情噺。小僧の身の上話を親身に聞く清五郎。怒りっぽいが小僧の身の上を知るに連れ優しさを醸し出す弟分。そして、とことん無邪気な小僧。その無邪気さがこのおはなしの哀しさをあぶり出す。
 清五郎が小僧にかけた言葉。

 冬は長くて寒くてつれえなあ。だがなあ、小僧、春はかならず来る

  強い励ましを感じた。
 
 
  

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