新卒採用の面談では、本源的な質問を多く頂き、私にとっても大切な学びの場になっています。その中でも多い質問の1つは「塚原さんの事業ミッション、ビジョンはなんでしょうか?」という質問です。

あこがれの会社

私たちは理念のある経営が大切と考えています。会社の存在意義こそがお客様(含む潜在顧客)や社員(含む社員候補)たち関係者皆さんの共感を得て、自らの努力の理由を定める根幹です。
もちろん、LTSもソフテックもミッション、ビジョンといった経営理念を定めて公開しています。

私自身もこちらの経営理念には強く共感しており、このミッション、ビジョンは、私たちが追い求める、少なくとも一定の角度からの理想像です。
理想像や将来像を表現することは、現実を叙述することと同じような難しさがあります。全てを表現するには膨大な情報量(文字、映像他)が必要ですし、効率的にみんなに届ける、みんなの心に沁みる叙述をしようとすると、情報量を捨象してシンプルにする必要があります。
「塚原さんの事業ミッション、ビジョンはなんでしょうか?」という質問を受けた際は、その点を確認したうえで、私のあこがれの会社像をお話しするようにしています。

それは「350年後の世界のみんなに『あってよかった』と思ってもらえる会社」です。

私が存命中にたどり着く可能性はほぼありませんが、人を長命にするテクノロジーが進歩して350年後を覗き見る可能性に少し期待しています。

時の試練

歴史を振り返って見ると、時の試練を耐え忍んだ人口被造物はそれほど多くはありません。時の長さと反比例して残るものは減っていきます。歴史の教科書には国家や文明の栄枯盛衰が描かれます。いま目の前を見ても衣食住、娯楽、知識、技術、法体系、書物が生まれ、消費され、消え去っています。
人の営為のうち、経済活動は時の試練を耐え忍ぶ可能性が高いと考えています。経済学の説明によると、現代における経済活動の担い手は、消費者、生産者、政府であり、生産を担っている生産者は個人または法人ですが、周囲を見てみると、人の人生の長さをはるかに超える悠久な時間を生き延びてきた法人(生産者)が多くあります。特に日本には多くの長寿企業があります。
代表は世界最古の企業、578年設立の金剛組。もとは聖徳太子が関わった寺院造営を担った宮大工で現在は高松建設グループの企業です。

世界には、100年以上続く企業が8万66社、200年以上続く企業は2051社あります。それぞれ、実は日本企業が41.3%、65.0%を占めています。

https://consult.nikkeibp.co.jp/shunenjigyo-labo/survey_data/I1-03/

時代への貢献

長く続くことだけで価値があるというわけではありませんが、それでも、時代時代の要請に応え続けて事業発展を積み重ねたことに深い尊敬の念を覚えます。過去200年を見ても世界は大きく変わりました。とりわけ、日本は激動の時代でした。154年前、1868年の明治維新で江戸幕府から明治政府へと政府が変わり、日清戦争(1894-95)、日露戦争(1904-05)、第一次世界大戦(1913-18)、第二次世界大戦(1938-45)を経験し、戦後は荒廃した経済から復興しました。明治時代の日本で産業革命を担ったのも、富国強兵を支えたのも、戦後復興の主役も、その時代の企業であり、そこで力を尽くした先人たちでした。もちろん、時代時代で価値観が移り変わる中で一定の毀誉褒貶もあったと思いますが、それを認めつつも、財閥系企業や戦後を支えた製造業たちの貢献の大きさは計り知れません。
これらの企業活動のおかげで、多くの産業が興りました。多くの人が素晴らしい職を得て、製品やサービスの供給によって世の中は便利になりました。日本と外国の交易が進み、互恵関係も深まりました。もし、この企業たちがいなかったら、、、そんな風景は今となっては想像することも難しいくらいです。
企業の設立は、創業者の熱い志からだったかもしれませんし、もしかしたら偶然の縁の巡り合わせだったかもしれません。でも、10年、20年、50年、100年、200年と時の試練を得た企業は、先輩から事業体を受け継いだ後輩たちが、時代の要請に合わせて自分たちを変革し、また、更に後輩に受け渡すことを通じて、社会に貢献する志や精神を保ち、そして発展させてきたんだと思います。こうした人の営みに想いを巡らすと、崇高な気持ちになりますし、憧れがわいてきます。

私たちも、この会社たちのように、時代を超えて皆さんに必要とされ、志を発展させ続ける会社でありたいと思うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?