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【家族との和解】消極的歩みのススメ

一生分かり合えることはないんだろうなと決めつけていた母とは、3年前半前にわだかまりがなくなった。
同じく、距離を取って接し続けるつもりだった兄とつい先日から仲良くなれそうな兆候が見えてきた。
家族との溝が人生を足かせになってしまっている人も少なくないと思うので、最近あったことや家族の和解について感じたことをつらつらと綴ろうと思う。

壁のある兄との関係

大人になってからは正直、兄とは距離を取るようにしてきた。

兄は僕の生き方を地に足ついていないと言い、自分の正しさを主張するタイプだったからだ。

僕自身、社会不適合者であるがゆえに兄の正論にはぐうの音も出ず、きまりが悪い思いや尊厳を踏みにじられる思いもそれなりにしてきた。
兄も頑固で子どもな僕にうんざりすることが沢山あった。

正直、僕から壁を作っていたところも大きい。

顔を合わせるのは冠婚葬祭くらいだった。
前に会ったのは、従妹の結婚式、去年の9月だ。

家族同士でも分かり合えないことがあっていい。

僕自身がそのような考え方を持っていたので、溝のことも、これからもずっと最低限のかかわりしか持たないであろうことを重くとらえてはいなかった。

何より僕自身が、兄に認められる材料を持ち合わせていなかったので、今は兄弟で向き合うよりも自分自身のやることを地道にやっていく方がお互いにとっていいだろうと思っていた。

その日は唐突にやってきた

ところが昨日、ひょんなことから兄夫婦の家にお邪魔させてもらうことになった。
最初は行きたくなかった。でも、あえて避けたり逃げたりはしないようにしようと思った。

おしゃれなマンションに住んで奥さんと迎えてくれた彼は、まるで人柄が変わったかのように穏やかだった。

コロナの話や奥さんのお話、行きつけのラーメン屋さんの話をする兄はとても楽しそうだった。

従兄弟と年に数回、登山に行っているらしく、八ヶ岳を縦走したいと言っていた。

登山を始めたいと思いながら後回しにしていたことを僕が話す。

「じゃあそのうち行こう。登山用の靴安く買えるから探しておくよ。テントとかは俺が持ってるし」

僕が星野道夫さんの話を出すと、兄も道夫さんのことを5~6年前から好きになったらしくて、著書を何冊も読んでいたそうだ。

ハードコアパンクのことしか話さなかった以前の兄を思うと、驚きを隠せなかった。笑


そんなこんなで予想外に兄と合うことが分かり、近々登山に行くことになりそうだ。
正直緊張するけれど、楽しみでもある。


和解のプロセスについて感じること


親との和解とか家族との和解とか、響きが良く、かつ和解できた方が人生はスムーズに進んでいくという話をよく聞く。
しかし和解は頑張ってこぎつけることだけが正解ではない。
カウンセリングやコーチング・セッションを受けて即座にアクションを起こすことだけが正解ではない。

時間が熟成してくれるものもあるのではないかと思う。

兄は兄で、僕は僕で変わるきっかけがあった。

兄はとても素敵な方と結婚してから、とても穏やかになった。
奥さんと一緒に時を過ごす中で、心の中にあった氷が解けてきているのだろう。
もちろん弟である僕への歩み寄ってくれているところもあるだろう。

そして僕の方は主に、執筆活動を通して変わっていった。
はたから見たら、時々インタビューをして、引きこもって文章を書いているようなものだが、一人ひとりの素晴らしい人生の原風景に、学びに触れさせていただくことで、様々な学びを受け取っている。

それによりいかに自分の言動が未成熟かを知り、顧みるきっかけをいただけている。
同時に、どんな形で命を使っていけるのか、様々なヒントを受け取っているような感覚もある。


和解への「消極的歩み」のススメ

少し話がそれてきたが、時間が解決してくれることもあるから、大切な人との和解は無理に頑張ろうすべきものではないように思う。
自分が頑張りたければ頑張るのが良いが、強迫観念や焦りから動く必要はない。

僕の場合、言葉で向き合っても平行線だから、一度自分のやることに集中して兄と距離を取ることを選んだ。

少し前までは兄と距離をとろう、向こうが声をかけてきたらそれとなく避けようと意識していたところがある。
しかしここ最近は、あえて近づかないけれど、あえて避けもしないようになった。

消極的ながら、壁を作らない意識だけはするようになっていたのは、自分の中では大きな変化だと感じる。


和解の時期ややり方は人それぞれ。

しかし、

時の流れに任せること、
そしてその間は自分からは相手を拒まないこと、

これだけでも、きっと水面下では何かが動いている。

そんな春の雪解けのように、じわじわ進んでいく和解も少なからずあると思う。


最後の一行だけポエムになってしまいました。笑

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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