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若い教員を育てる研修会での講演~「子どものやる気・大人の気づき」後編

令和5年度大崎地区教育フォーラム
主催:大崎地区高等学校・特別支援学校長協会
共催:大崎地区中高連絡協議会、大崎地区高等学教頭・副校長会
日時:令和5年9月11日(月)14:20~15:20
会場:古川学園高等学校
話者:志学塾 塾長 畑山篤

 去る9月11日、20年来の友人である私立古川学園中高の校長俣野聖一先生とのご縁で、70名余りの学校の先生方を前に、お話しする機会を賜りました。宮城県大崎市の校長会の皆様が主催する「先生になって1年目、2年目の教員を育てる研修会での講演」と伺い、私なりにテーマを『子どものやる気・大人の気づき』とし、拙い話しではありますが、小一時間お話させて頂きました。以下、その後編の内容を記します。<前編に続く内容です>
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■先生って何? 教えるって何を?

OK!学習法とは…>> https://www.okgakushu.net/

子ども達は、やるべきことは分かっています!

でも、何か良い方法…ないかなぁと思うものです。
魔法はない!ということも分かっています。
でも、今より 合理的・効率的な方法があれば良いなぁと思います。
学校では、宿題やってこい❗と言います。
親は、宿題やってから遊びに行きなさい❗と言います。
塾では、解き方は教えてくれるけど、やる気は出ない💦
家に帰ると、ついついタブレットを見てしまう💦
自分の部屋に入ると、ゲームや漫画本…誘惑ばかり💦

「やる気」ってどうしたら引き出せますか?

 やる気を引き出すために、先ず一人ひとりの「目標と〆切」を意識させます。教室には、子ども達一人ひとりの「役割」を知る指導者の言葉掛けがあり、ちょい誉め!と言います。

一人ひとりの目標は異なります。一人ひとりの役割を敬うことが大事です!

 子ども達に「将来は?」と聞くと十中八九「まだ決まっていません」と答えます。
 しかし、大人なら、子ども達一人ひとりの役割があることは分かります。

先生は、その役割を知ることから始めます。

 誰でも、例えば、学校で、部活で、会社で、家族の中で、お前じゃなくてもいいと言われたら…。誰でも一人ひとりに役割があり、可能性があります。
 しかし、例えば野球なら、全員がピッチャーでも、4番バッターでもないし、もしかしたら補欠だったりします。補欠でも、エースになりたい!と目標を掲げれば、可能性は生まれます。

やる気の出る目標とは、”乗り越えられない目標”です。

 やる気の出る目標とは、”乗り越えられない目標”です。”乗り越えられない目標”に向かって”乗り越えようとする”勇気が「やる気」です。やる気は自ずと湧き上がります。やる気とは、乗り越えられない目標に向かって乗り越えようとする勇気そのものだからです。 

■先生は、尊敬される指導者ですか?

 子どもたちは、成績を誉められると嬉しいが、ても「やる気」は…。やる気は意欲であり、感情です。実は、子ども達は尊敬できる指導者の承認がほしいのです。
 だからこそ、「私は、子ども達から尊敬、信頼される人かどうか…」と常に問いかけます。そして、「私は、先生として、子どもの何を誉めているだろうか…」と。問題が解けた、解けなかった、点数が上がった、上がらなかったことではなく、例えば、当たり前のことを今日も続けているねとか、顔つきが大人になったねとか、教材や点数より、その子どもを知り、その子どもの取り組みを認めることが大事なんだと子ども達から学んでいます。
 

敬うとは知ることである

 一人ひとりの役割を知るというのは、敬うことではないでしょうか。尊敬される指導者は一人ひとりの子ども達の目標と役割を知っている先生ではないでしょうか。

◇ちょい誉め!

子どもの「やる気」の引き出し方を模索している先生がいたら、

子が「やるべきことをやっていない」と指摘する前に、「偉いね」を何回言っただろうかと振り返ってみたいものです。子ども達一人ひとりの目標と役割という物語を大切に!

■やったこと、言ったことで悔やむことはよくある。

 電車やバスで席を替わることを言い出せなかったことはあっても、やらなかったこと、言わなかったことで後悔をしたことは少なかったと思う。しかし、そんな私も60歳を前に何人かの同期と突然の別れを経験し、会っておきたい人には会えるうちに会っておこうと思うようになった。

1月下旬、友人と2人で神奈川県大和市を訪ねた。

 この地を終(つい)の棲(す)み家と決め、移住した恩師に会うために。 毎年、丁寧な直筆の年賀状をいただいてきた。あれから50年がたってしまった。部屋のドアを開けると91歳の先生は、あの頃のように背筋をピンと伸ばし、私たちの顔をしっかり見つめた後、「はたやまあつしくん!」と名前を呼んでくださった。

先生は、「あれ-、何から話したらいいの…」と

涙ぐんでしまった。3人でどのくらい語り合っただろう。外はすっかり陽が落ちていた。

 私は「小学1年の時、先生から読み書きを教えていただきました。先生でよかったです」と伝えた。
 すると先生は

「教え子さんにたくさんたくさん教えていただきました。

本当にありがとうございました」と、何度も繰り返しながら私たちの手を固く握りしめてくれた。

 いつでも、誰とでも、共に過ごすひとときは一期一会なのだろうが、恩師との再会は、やはり感無量だった。


勉強部活の詳細…>> https://www.okgakushu.net/bukatu

■2011年、仙台市の私立高校で志学塾が提唱する全国初の「勉強部活」が始まった。

 学校の先生が部活のコーチに就き、生徒が選手という感じで、正規の部活動。いわば志学塾の指導法を実践する"学校内学習塾"だ。私は部活の"監督"として仙台に日帰り出張を続け、たくさんの子どもと出会ってきた。


2011年全国初の勉強部活「生文塾」の授業風景

京都大薬学部志望の女子から2次の出願先について相談が

 今年も大学入試センター試験が終わり、3年の部員はここから私立大、国立大2次に挑む。先日の部活では、センター試験に失敗した京都大薬学部志望の女子から2次の出願先について相談があった。

 大手予備校の示す合格判定のボーダーライン(A~Eの5段階のC判定)より下だから、どうしても薬学部なら国立を諦め私立にと担任に勧められたと悩んでいた。

 私は志望理由を尋ねた。彼女は「母が脳溢血で亡くなりました。だから薬を開発して母と同じ病気を治したい。絶対薬学部なんです」と答え、「でも判定が…」とうつむいた。

ボーダーラインの意味を尋ねると

 ボーダーラインの意味を尋ねると、「合格最低点ですか…」。私は「合格者と不合格者の人数が同数になる得点帯だ」と資料を見せながら説明した。「大学入試は、A判定でも落ちるし、E判定でも受かる者が出る。逆転合格の秘策を授けるから最後まで諦めずにやれるか?」と続けた。すると「はい、頑張ります!」と背筋が伸びた。

その翌週、仙台駅前から学校に向かうバスの中で

 その翌週、仙台駅前から学校に向かうバスの中で、先日の薬学部志望の女子から「先生、席を替わります」と声を掛けられた。「大丈夫、まだ若いから」と言って断った。

親に学費で迷惑をかけたくないので…と言って涙を浮かべ

 バスを降りて道すがら国立2次の出願先は決まったか尋ねた。父親も交えた三者面談で、判定値で合格の可能性の高い北大工学部を担任から勧められたと。そして、親に学費で迷惑をかけたくないので…と言って涙を浮かべた。

誰でもやっことで後悔し、やらなかったことで後悔する

 私は「京大に挑んでみたかったね」と気持ちを察しながら、これからの進み方を助言した。

誰でもやっことで後悔し、やらなかったことで後悔する。そして、高齢になるにつれ物忘れが多くなる。しかし、記憶力が衰えても消えない記憶がある。それは知識ではなく、やらなかったという後悔だ。京大に挑まなかった後悔は、次の機会に挑むことで記憶としては更新される。北海道でどんどんチャレンジしてね」と伝えた。

 彼女は歩みを止め直立不動でうなずいた。

「バスで席を替わりましょうかと言えたしね。若者よ、当たって砕けろ!でも砕けちゃいけないよ」と言ったら笑顔になった。 

いつの時代も子どもは私たちの未来であり希望だ。

 一人でも多くの子どもが、自分の夢に向かって挑戦してほしい。いつの時代も子どもは私たちの未来であり希望だ。

■先生とは…そして人はなぜ学ばなければならないのか…

先生とは、先に学び始め学び続ける人をいうのかも知れない…

そして、人は人に会うために生まれてきたのなら人は、会うべき人に会う前に、その人の言葉を学びたいと思うだろう。

ご清聴、ありがとうございます!

※認定講座のお申込みは こちらから>> https://www.okgakushu.net/nintei#section-58

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