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センター試験に失敗した京都大薬学部志望の女子から2次の出願先について相談が…

●学校の進路指導って信じていいの?

 地方の学習塾で高校生コースをやってきて34年。地方の進学校(簡単に言えば、国立大に合格者が複数出る普通科高校というイメージ)の進路指導に人生を左右される子ども達を毎年のように見てきた。
 例えば、国立山形大医学部看護を志望する高3女子に、名寄市立大保健福祉学部看護学科を強く押した進学校の担任の先生とか、国立岩手大学工学部を志望する高3男子に、釧路公立大経済学部なら合格できる(ここしか受からないだろう)と助言した進学校の進路の先生…34年間の経験でこのようなケースは枚挙にいとまがない💦

 そもそも、”進路指導”に免許や資格はあるのだろうか…

●後悔を抱えた親の気持ち

 話しは中学生コースに変わって、高校受験の志望校選びの面談。この地域には、八戸高校(SS63点※)、八戸北高校(57点)、八戸東高校(55点)、八戸西高校(54点)…と偏差値50以上の進学校?(=国立大学に合格者を出す普通科高校)が4校ある。※青森県全県テスト志望校判定60%偏差値

受けたい高校を受けさせたい

 進路学習相談で母親から「実は、この子には、受けたい高校を受けさせたい…と思っています」と言われることがある。聞けば、自分の受験の話しになる…「私のときは、本当は八戸高校を受けたかったんです。でも、親に合格可能性の高い二番手校を受けた方が良いと言われ…」とか、「兄が八戸高校を受けて落ちたので、家族の空気がお前は安全にと…」とか。

後悔には2つあると思う

 そんな親子との進路学習相談の席では、後悔には2つあるという話をする。「やったこと、言ったことで悔やむことはよくあります。例えば、電車やバスで席を替わることを言い出せなかったとか、言ってみたが、相手に断られたとか…。 
 後悔には、やったことで悔やむこととやらなかったことで悔やむことの2つがあります。どうでしょう、やったことの後悔はやがて記憶の中で薄れて行きますが、やらなかった後悔は、何年経ってもなかなか消えないものだったりします…」と。

 塾では、行ける学校ではなく、行きたい学校に行けるように一人ひとりを導く。そのため一人ひとりの目標と〆切を大切にする。もし、〆切から逆算して、第一志望に届かない場合、日々の取り組みと確かなデータから、合格できる受験校を選べるよう最後の進路指導を行う必要がある。

 私たち受験のプロは、常に受験データを分析し、確かな進路指導のスキルを学び続けなければならない。”進路指導”に免許や資格はないのだから。
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■【子のやる気、親の気づき/勉強部活】後悔を乗り越え、挑戦せよ!

デーリー東北新聞大型コラム「私見創見」2019年2月7日(木)掲載

https://www.okgakushu.net/bukatu

◇2011年、仙台市で全国初の「勉強部活」が始まった!

 2011年、仙台市の私立高校で志学塾が提唱する全国初の「勉強部活」が始まった。学校の先生が部活のコーチに就き、生徒が選手という感じで、正規の部活動。いわば志学塾の指導法を実践する"学校内学習塾"だ。私は部活の"監督"として仙台に日帰り出張を続け、たくさんの子どもと出会ってきた。

日本初の「勉強部活」となった「生文塾」の授業風景

◇どうしても薬学部なら国立を諦め私立にと担任に勧められ

 今年も大学入試センター試験が終わり、3年の部員はここから私立大、国立大2次に挑む。先日の部活では、センター試験に失敗した京都大薬学部志望の女子から2次の出願先について相談があった。

 大手予備校の示す合格判定のボーダーライン(A~Eの5段階のC判定)より下だから、どうしても薬学部なら国立を諦め私立にと担任に勧められたと悩んでいた。私は志望理由を尋ねた。彼女は「母が脳溢血で亡くなりました。だから薬を開発して母と同じ病気を治したい。絶対薬学部なんです」と答え、「でも判定が…」とうつむいた。

◇A判定でも落ちるし、E判定でも受かる

 ボーダーラインの意味を尋ねると、「合格最低点ですか…」。私は「合格者と不合格者の人数が同数になる得点帯だ」と資料を見せながら説明した。「大学入試は、A判定でも落ちるし、E判定でも受かる者が出る。逆転合格の秘策を授けるから最後まで諦めずにやれるか?」と続けた。すると「はい、頑張ります!」と背筋が伸びた。


◇バスの中で「席を替わります」と声を掛けられ…

 その翌週、仙台駅前から学校に向かうバスの中で、先日の薬学部志望の女子から「先生、席を替わります」と声を掛けられた。「大丈夫、まだ若いから」と言って断った。

 バスを降りて道すがら国立2次の出願先は決まったか尋ねた。父親も交えた三者面談で、判定値で合格の可能性の高い北大工学部を担任から勧められたと。そして、親に学費で迷惑をかけたくないので…と言って涙を浮かべた。

 私は「京大に挑んでみたかったね」と気持ちを察しながら、これからの進み方を助言した。「誰でもやっことで後悔し、やらなかったことで後悔する。そして、高齢になるにつれ物忘れが多くなる。しかし、記憶力が衰えても消えない記憶がある。それは知識ではなく、やらなかったという後悔だ。京大に挑まなかった後悔は、次の機会に挑むことで記憶としては更新される。北海道でどんどんチャレンジしてね」と伝えた。

◇いつの時代も子どもは私たちの未来であり希望だ。

 彼女は歩みを止め直立不動でうなずいた。「バスで席を替わりましょうかと言えたしね。若者よ、当たって砕けろ!でも砕けちゃいけないよ」と言ったら笑顔になった。
 一人でも多くの子どもが、自分の夢に向かって挑戦してほしい。いつの時代も子どもは私たちの未来であり希望だ。
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■タイトル 勉強部活
■見出し 後悔を乗り越え、挑戦せよ!
■掲載日 2019年2月7日(木)

畑山 篤(はたやま あつし)/OK!学習法ネットワーク会長
◇有限会社ハタヤン代表取締役/志学塾塾長。1960年生まれ、青森県八戸市出身。◇県立八戸高校、明治学院大学経済学部を卒業。東京の公認会計士事務所を経て、1989年(平成元)年4月青森県八戸市に志学塾を創立。◇1993年八戸学習塾協議会を立ち上げ、以来8年間は事務局長、副会長として「青森県全県テスト」を企画運営。◇2009年9月1日OK!学習法ネットワーク設立。正会員249名(2023年5月1日現在)◇公益社団法人全国学習塾協会理事、社会福祉法人楽晴会理事、ウイング高等学院学院長も務める。◇長男、次男は独立し、妻と長女と三人で八戸市に在住。

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