決算書から企業のビジネスモデルを読み解く #20代マーケピザ 養成所 2019/09 課題

20代マーケピザ 養成所 2019/09の課題である「決算書から企業のビジネスモデルを読み解く」についてのnoteです。スマホゲームを中心に事業を展開している企業を3社ピックアップしました。

1. 何のための課題か

・決算書を読めるようになる
・決算書からビジネスモデルを読み解けるようになる
→日頃集めている情報に対する感度を上げる
→上記3つで得た情報を元に戦略構築や施策のブラッシュアップなどアプトプットに活かせるようになる

2. 選定した業界とその理由

■選定業界:スマホゲーム
■選定企業:mixi、ガンホー、DeNA

・様々なコンテンツをスマートフォン1つで楽しめるこの時代に、スマホゲーム業界は可処分時間の奪い合いが激しくなっていることが考えられる。そのため、「業界的に業界や業績が厳しい企業が多いのではないか」という仮説がある。そうした課題に対しての打ち手が決算書から見えるのではないかと考え、業績がぐんぐん伸びている業界よりも学びが多いと考えた。

・また、自分が普段スマホゲームをほぼしないため、そもそもどんなビジネスモデルで事業が行われているか知りたかった。

・mixiなんかエモかったから。高校生時代にお世話になったこの2社は、今ではすっかり名前を聞かなくなってしまったので、この機に調べたくなりました。

3.スマホゲームの売上の公式はなにか

<決算書見る際に重要なのは因数分解しながら見ること>
1ユーザー、1社当りの売上=横比較が可能な数字までブレイクダウンする

上記に従ってスマホゲームの売上を因数分解すると、「売上=MAU×課金ユーザー率×ARUP(一人当りの平均月額課金額)」であることが考えられます。スマホゲームは基本無料でプレイできるため、無料ユーザーの中から課金ユーザーを増やし、一人当たりの課金金額を上げることで大きな収益につながりそうです。

4.株式会社ミクシィ(1社目)

▼サマリー
売上高:20,780百万円
営業利益:1,637百万円
利益率:7.9%
FY2020 Q1 決算説明資料

・YonYで売上高▲39.9%、営業利益▲85.2%と大幅に減収
・主力の「モンスターストライク」でMAUとARUPが前年同期比で低下
・ライフスタイル事業でも前年同期⽐で減収

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①企業選定の理由
・2018年の国内モバイルゲーム課金売上ランキングで933億円の数字で1位を獲得した「モンスターストライク」を運営する会社であり、国内スマホゲームのTOP会社であるため。
・従って、国内TOP課金コンテンツを有する運営会社の動向を調査すること=スマホゲーム業界の理解にも繋がると考えたため。
・高校生の時mixiにお世話になっていてエモかったから。

②決算書から読むビジネスモデル/業界内の立ち位置
・エンターテインメント事業は「MAU×課金ユーザー率×ARUP」で売上高が決まるビジネスモデル
・月額課金制のアプリ中心のライフスタイル事業は「課金ユーザー数×ARUP」のビジネスモデル
・売上高の大半はゲーム中心のエンターテインメント事業で成り立っており、「モンスターストライク」一本で勝負している。課金売上ランキングで933億円をたたき出し1位を獲得するなど、業界内TOPのコンテンツを保有している(https://www.famitsu.com/news/201902/06171527.html)

③企業の強みと今後の課題
▼強み
・「モンスターストライク」で他社IPと継続的なコラボレーションを実施することで、MAU増加や新規ユーザーの獲得が期待できる。
・「モンスターストライク」で培ったマーケティングやゲーム運営、開発のノウハウを転用し、他社IPを活用したゲーム開発ができる。

▼課題
・「モンスターストライク」のコンテンツがコアユーザー向けになり、ライトユーザーの消費意欲が低下している(前回の決算説明資料より)ため、全体のARUPをあげられるような施策に取り組まなければ、ライト→コアへの歩留まりが発生/拡大し、事業不振が拡大する可能性が高い。
・事業不振の挽回策が「モンスターストライク」頼みになっているため、「モンスターストライク」以外の収益基盤を確立しなければ、「モンスターストライク」のリバイブ施策が失敗した際に危機的な状況に陥る可能性が高い。

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5.ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(2社目)

▼サマリー
売上高:23,603百万円
営業利益:7,436百万円
利益率:31.5%
2019年12月期第2四半期決算説明会

・YonYで売上高+13.4%、営業利益+30%と増収(Bクラス成長率)
・YoYでは増収だがQoQでは売上高▲33.7%、営業利益▲42.9%と減収
・上記は、2019年1Qに行った「パズドラ」の年始や周年イベントが好調だった反動で減収

ガンホー1

ガンホー2

①企業選定の理由
・2018年の国内モバイルゲーム課金売上ランキングで487億円の数字で3位を獲得した「パズドラ」を運営する会社であり、国内スマホゲームのTOP3に入る会社であるため。
・従って、国内TOPクラスの課金コンテンツを有する運営会社の動向を調査すること=スマホゲーム業界の理解にも繋がると考えたため。
・他の2社と比較して利益率が非常に高かったので、取り組みや課題の差分を明らかにするため。

②決算書から読むビジネスモデル/業界内の立ち位置
・「パズドラ」を中心としたゲームは「MAU×課金ユーザー率×ARUP」で売上高が決まるビジネスモデル
・「パズドラ」は国内課金売上ランキングで487億円で3位を獲得するなど、業界内でもTOP3のゲームコンテンツ(https://www.famitsu.com/news/201902/06171527.html)。

③企業の強みと今後の課題
▼強み
・RPGゲームとは異なり、パズルゲームという点でどんな年齢層にも楽しめるゲームコンテンツになっている。
・そのため、他社IPとのコラボレーションにより幅広い年齢層のユーザーを新規獲得できる。
・また、同じくらいの売上のmixiと比較して利益率が約4倍強高いため、MAUに対しての課金率、もしくはARUPがmixiの「モンスターストライク」よりも「パズドラ」のほうが高くなる設計がなされていることが考えられる。

▼課題
・「パズドラ」ユーザーの課金率を向上させる施策を打つ必要がある。2019年1Q(1月-3月)に行った「パズドラ」の年始や周年イベントが好調だで売上高とMAUともに増加していたが、両者ともに2Qでは減少している。また、課金率はサービス開始から横ばいで推移しており、MAUが増減しても著しい上昇の兆しが見られない。そのため、新規で獲得したユーザーの定着率が低く、ライト層→コア層への歩留まりが悪そう。

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6.株式会社DeNA(3社目)

▼サマリー
売上高:31,383百万円
営業利益:2,319百万円
利益率:7.4%
2020年3月期 第1四半期 決算説明資料

・YonYで売上高▲7%、営業利益▲5%と減収減益
・主力のゲーム事業は既存タイトル中心の運営となり前年同期比で減収減益
・一方で野球を中心としたスポーツ事業は増収増益

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①企業選定の理由
・他の2社と比較して課金ランキング常連のゲームが存在しない中で、今後利益をあげることが難しい業界で、どのように業績回復を図るのか知ることが学びにつながると考えたため。
・他の2社と比較して売上高がTOPだが、利益率ではmixiとほぼ一緒であり、ガンホーに大きな差をつけられており、何か学びになる課題が存在していそうだから。
・横浜DeNAベイスターズのファンなので、気になったため。

②決算書から読むビジネスモデル/業界内の立ち位置
・こちらも「MAU×課金ユーザー率×ARUP」で売上高が決まるビジネスモデル
・課金ランキングに掲載されるようなゲーム展開はないが、ゲーム業界最大手の任天堂と協業しており、コンテンツ力が非常に高いゲーム開発をしている。また、株式会社ポケモンとのゲームも展開しており、国内のどの年代にもハマるIPと手を組めている。

③企業の強みと今後の課題
▼強み
・任天堂やポケモンとのゲーム開発ができるため、継続率高く幅広い年代に支持されるゲーム展開ができること

▼課題
・国内外のユーザーの課金消費額がYonYで▲9%となっており、課金ユーザー率の減少や一人当りの平均課金金額が減少していることが考えられる。そのため、既存のタイトルでの収益増加が厳しいこともあり、突破口として任天堂やポケモンなどとの新規ゲーム開発に費用を投じていることが考えられる。オリジナルコンテンツでの収益獲得が難しくなってきていそう。

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7.まとめ

▼業界の今後の課題
・「モンスターストライク」「パズドラ」などの根強いファンを持つオリジナルコンテンツを持っている企業じゃなければ、今後オリジナルコンテンツで収益を上げていくことが難しいと考えられる。背景として、①新規タイトル数の増加によるユーザーの奪い合い、②スマホスペックの向上や新規参入によるゲームの高クオリティ化で開発費が増加、③任天堂やポケモンのような既存の強力なIPを活用する企業のほうが全体的なコストを抑えられる、などがあげられる。
・また、中国ゲームの「荒野行動」が2018年の国内モバイルゲーム課金売上ランキングで4位を格闘するなど、海外ゲーム参入が増えることで国内企業のユーザーシェア奪い合いが一層激しくなることが考えられる。

▼新規参入するなら
正直、新規参入したくはないです。レッドオーシャンを超えてブラックオーシャンに見えます。。。「MAU×課金ユーザー率×ARUP」が売上を決めますが、今回市場を調べたり決算書を見て分かったのは、そもそも市場競争が激しすぎて参入障壁が非常に高くなってしまっている実態でした。売上の前提となる変数として、「開発力×コンテンツ×獲得のための広告宣伝費」があり、もはやSMBなどでは太刀打ちできそうにありません。

そのため、スマホユーザー数とスマホゲーム市場が増加傾向にある、インドネシアなどの東南アジア地域に参入する。

(以下、引用)
東南アジアのユーザー規模から見ると、2017年は1億8000万人、2018年は2億500万人と増加しており、市場規模は19億USドルから23億6,000万USドルに増加した。このことにより、ARPUも目に見えて増加している。2022年までに、東南アジア市場におけるスマホゲームのユーザー数は2億7,800万人に達し、収入規模は45億USドルに倍増すると予測されている。中でも、東南アジアで最大市場を持つのはインドネシアで、2017年には5億1000万USドルとなっており、それに比べマレーシアとシンガポールはたった1億1000万USドルとなった。(http://blog.livedoor.jp/sugochina/archives/1073706746.html)

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