【世界の健康経営レポート】世界の急成長企業から学ぶヘルスケアビジネスのこれから
こんにちは!アツラエnote編集部、UXプランニングチームの山下です!
今回は「世界の健康経営レポート」の第2弾として、前回に引き続き情報コンサルタントの菊池健司さんに、世界で急成長中のヘルスケアビジネス最先端事情をお聞きしました。イタリアで人気の「長寿サロン」やアメリカで広まりつつあるメンタルヘルスケアのサービスなどを参考にして、新たなビジネスのアイデアを考えてみませんか。
プロフィール
菊池健司
株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク(MDB)でエグゼクティブ・フェローを務める。ラジオNIKKEI「ソウミラ〜相対的未来情報番組」でパーソナリティとしても活躍中。
3000%超の急成長を遂げた欧州のヘルスケア企業
ヘルスケア関連業界は法規制などが厳しく、社歴の浅い企業が新規参入で成功を収めるのは難しい分野とされています。ところが、世界に目を向けると近年急成長を遂げた新規のヘルスケア企業も存在します。
英国の経済誌「フィナンシャル・タイムス」では、世界各地域の急成長企業ランキング「FT1000」を発表しています。2024年のヨーロッパ地域におけるランキング上位には再生可能エネルギーやフィンテック分野などの企業が並びますが、その中でイタリアの「The Longevity Suite」というヘルスケア企業が37位にランクインしています。
今回で8回目の調査となるFT1000のランキングは、一定以上の規模を持つ上場・未上場企業数百万社を調査対象としており、2019年から2022年の売上高の伸び率に基づいて計算されます。The Longevity Suiteの売上高成長率は3139.4%、年平均成長率は218.8%となり、2022年の収益は9,362,000ユーロ(約16億円)を記録しています。
では、わずか3年間で業績を3000%以上成長させたヘルスケア企業のThe Longevity Suiteの事業内容は、どういったものなのでしょうか。
公式Webサイトを見る限りでは、高級コスメやエステサロンなどをイメージさせるようなデザインとなっていますが、サービス内容はアンチエイジングの検診、専門家や医師からのアドバイスが中心です。現地ではヘルスケアに対する意識が高い層にとって、憧れのブランドとして認知されているようです。
心の健康管理にも世界の注目が集まる
ヨーロッパ地域以外の急成長企業にも目を向けてみましょう。例えば、アメリカではマーケット情報の専門チャンネルCNBCが、斬新な発想でビジネスモデルを構築した企業ランキングとして「CNBC Disruptor 50」を発表しています。
2024年最新版の1位はChatGPTで名を馳せたOpenAI社となりますが、ここでランキングの45位に入っている「Spring Health」という企業に注目です。同社は2016年にニューヨークで設立されたスタートアップで、メンタルケアをサポートするアプリなどのソリューションを企業に提供することで急成長を遂げ、現在の時価総額は25億ドル(約3900億円)にまで伸びています。
また、前述したFTの調査では、アジア・太平洋地域の2024年の動きについてもランキングを公表しています。ヘルスケア関連の成長企業としては、オーストラリアでフィットネス関連サービスを提供しているFitstopが33位、シンガポールで医療従事者向けのアプリを提供しているMaNaDrが41位にランクインしています。
少子高齢化が進み、社会の「課題先進国」と言われることもある日本のヘルスケアビジネスがこれらのランキングに入っている企業が少ない現実に寂しさもありますが、見方を変えれば現在日本国内で起きている問題はいずれ世界のさまざまな国や地域でも大きな問題となる可能性が大いにあります。今回紹介した海外で急成長するヘルスケアの技術や、画期的なビジネスモデルに学びつつ、新たなサービスを世界に展開するチャンスが訪れていると捉えてみてはいかがでしょうか。