見出し画像

士業の皆様、READYFORの遺贈寄付サポートに力を貸して下さい!

READYFORは、「遺贈寄付サポート窓口(無料)」を開設するなど、遺贈寄付領域での取組みを開始いたしました(プレスリリース)。

週刊文春様向け画像

また、READYFORは、ご寄付者さまへのサポートを手厚いものとできるよう、三菱UFJ信託銀行さまとの提携も行いました(関連記事)。

READYFORは、遺贈寄付を一緒に推進して下さるパートナーを絶賛募集中です。
特に士業の皆様、どうかお読みください(※)。

※この取組みは、①遺贈寄付をご検討されているご寄付者の皆様、②遺贈の受入れを実施・検討している社会的な活動に取り組む団体の皆様、③遺言に関する業務に取り組まれている金融機関・士業の皆様のいずれにも関係します。
もっとも、私自身が弁護士ということもあり、このnoteを読んでくださる方の中には士業の皆様が多い気がいたしますので、主に士業の皆様を念頭に置いてnoteを書かせて頂きました。

READYFORとは?

「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」をビジョンに、「想いの乗ったお金の流れを増やす」ことをミッションに掲げ、国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を運営しています。

「READYFOR」は特にソーシャル領域(社会貢献領域)に強いクラウドファンディングサービスで、これまで、大学や病院、NPOを含め、多くの社会的な活動に取り組む団体のファンドレイジングをサポートしてまいりました。

個人から個人のクラウドファンディングの枠を超えて、多様な資金と、より多くの想いをつなげたいと考え、「想いをつなぐ金融機関」になることを目指しています。
このような考えの下で、基金の運営(例:コロナ基金)を行ったり、法人の社会貢献寄付の寄付先の選定をお手伝いさせて頂いたりしています。

この度の遺贈寄付領域におけるサポートの開始も、遺贈寄付という人生の集大成としての社会貢献をお手伝いすることを通じ、「想いの乗ったお金の流れを増やす」ことを目指すものとなります。

遺贈寄付の意義

遺贈寄付は、お亡くなりになった際、遺産の全部又は一部を、社会的な活動に取り組む団体などに寄付する行為をいいます。
※遺贈寄付の方法は、遺言による寄付に加え、他の方法による寄付も含めて考えられることが多いです(この点は後述します)。

遺贈寄付は、ご遺贈者の想いを亡くなった後も実現し、社会に役立てるための手段です。
シニア層の社会貢献への関心は高く(※)、相続に際しても、ご自身の財産を、人道支援、災害復旧支援、教育・子育て、医療技術や科学技術の発展・国際平和、環境保全、動物愛護、故郷の発展など、関心のある分野に役立ててほしいとして、遺贈寄付を前向きにお考えになる方が増えています。
実際、40歳以上の男女の21%が遺言寄付に関心があるという調査結果もあります(出典:寄付白書2011)。

内閣府の調査によれば、56.1%のシニア層がNPO活動に関心のあると回答しています(「関心がある」及び「関心はあるがよくわからない」の合計)。また、70歳代シニアの60.8%が2014年の1年間に寄付をしたという結果もあります(出典:寄付白書)。

遺贈寄付は、ご寄付者の想いとともに寄付先団体や身の回りの人々の記憶に残り、この世に生きた証を残すものでもあり、READYFORがミッションとして取り組んでいる「想いの乗ったお金の流れ」にほかなりません。

特に今、遺贈寄付に対する関心が高まっている

昨年、日本で初めて「遺贈寄付ウィーク2020」が開催されました(9月5日~14日)。
その期間は、新聞公告などでも遺贈寄付に関して大々的に取り上げられたり、NHKニュース7で遺贈寄付が特集されたりしました(関連記事)。

その背景は、なんといっても日本社会で急速に進行する高齢化です。
生涯未婚率も高まっており、いわゆる「おひとり様」も増えています。
国も、これらの社会情勢の変化を受け、2018年(平成30年)に大々的に相続法を改正し、その一環として、自筆証書遺言の利用を促進するため、自筆証書遺言の方式緩和や、遺言書保管制度の創設も行っています(その内容は後述します)。

他方、社会課題も個別化・多様化しており、行政のみならず、社会課題の現場で活動に取り組む団体の重要性がいっそう高まっています。
また、少子高齢化社会において、すべての社会課題の解決に必要な資金を税金で賄うことは困難です。
日本の毎年の相続額は年間37兆円とも言われており、非営利団体の継続的な活動を支えるため、遺贈寄付の受入れが注目されているのです。

これらの状況を背景に、遺言寄付に対する関心がいっそう高まっている状況にあります。

遺贈寄付を推進するために

遺贈寄付に対する社会的な関心は高まっているとはいえ、遺贈寄付を普及するために克服すべき課題もあるとされています。

(1)寄付者の課題

遺贈寄付を検討される方の課題として、まず、遺贈寄付の方法がよくわからないということが挙げられます。
法務省の調査でも、遺言書の作成や相続に関する不安として「書き方・法知識」が最も多く挙げられています。
また、国境なき医師団「終活と遺贈に関する意識調査2017」でも、遺贈で不安に感じることとして最も多かったのは、「遺贈の方法」となっています(5割以上の回答者が不安と回答)。

遺贈寄付に関しては、寄付先選びに関する不安感も課題となっています。
上記国境なき医師団の調査結果でも、約半数近くの回答者が、「寄付する団体選び(詐欺にあわないか不安)」、「寄付した遺産の使い道(どのようなことに役立てるかわからず不安)」、「寄付する団体の活動内容(公益性があるか不安)」などの回答をしています。

(2)遺贈寄付を受け入れる団体側の課題

他方、社会課題の解決に取り組む団体側でも、遺贈寄付の受入れ体制が整っていない場合は少なくありません。

団体側の遺贈寄付の受入れに関しては、たとえば、
①寄付者から遺贈寄付相談を受ける場面や遺言執行の場面で一定の法知識が必要となる。
②包括遺贈を受け入れた場合に債務を負担するおそれがある。
③不動産遺贈を受け入れた場合に、換価できなかったり、みなし譲渡として課税される可能性がある。
④遺留分を侵害しているとして相続人との間で紛争に発展するおそれがある。
⑤遺贈寄付が多額である場合、その使途について団体内で意見が分かれるおそれがある。
⑥公益法人の場合は収支相償の原則との関係で整理が必要となりうる。
などの特殊性、リスクがあります。

団体側としては、上記のような事項も踏まえつつ、遺贈寄付の受入基準や、個別事案における意思決定の体制(機関決定の要否等)の整備、関係規程の整備などの体制整備が必要となります。

もっとも、専門的な知識が必要であったり、人員体制が十分でないなどの理由から、遺贈寄付を受け入れるための体制整備にまで手が回らないことも少なくありません。

(3)士業・金融機関側の課題

遺言書の作成や、遺言信託・相続信託の設定、遺言の執行などの遺言に関する業務には、弁護士、司法書士、税理士、会計士等の士業や、信託銀行、銀行等の金融機関が関与しています。

もっとも、士業の皆様や金融機関において遺言寄付に関する相談を受けても、寄付先の団体に関する知識が十分でない場合は多いと思います。
その結果、ご相談者の想いに沿った寄付先を選定したり、ご遺産を原資とした基金の立上げをサポートすることは難しいという課題がありました。

READYFORと三菱UFJ信託銀行さまが遺贈寄付の領域で提携を行ったことは冒頭で記載したとおりですが、上記のような課題の解決のため、直近で、NPOや大学などの受入団体が、信託銀行、銀行と遺贈寄付に関して提携する事例が顕著に増えています。

とはいえ、社会課題も個別化・多様化し、ご相談者としてもさまざまな想いがある中で、適切な寄付先を選ぶサポートをできる仕組みは、まだまだ十分に整っていないのが現状です。

READYFORは遺贈寄付の領域でどのような取組みを行うのか?

READYFORは、ご相談者様の想いと社会活動に取り組む団体とをつなぐため、「レディーフォー遺贈寄付サポート窓口」を開設しました。

経験豊富な遺贈寄付コンサルタントが、ご相談者様の想いをお聞きしながら、適切な寄付先を選ぶサポートをさせて頂きます。
その際、遺贈寄付に関する一般的なご説明をさせて頂いたり、ご相談様の全体の資産の中でどの程度を寄付に回すことができそうか等、関連するお悩みについても一緒に考えさせて頂きます。

なんといっても、多くの団体を寄付先からお選び頂けることが特徴であり、強みです。
READYFORは、特にソーシャル領域における強みを発揮しながら、10年以上にわたりクラウドファンディングのサポートを行ってきました。
その結果、2万件の団体・個人社会課題に取組みを支援したネットワークがあります。
遺贈寄付での取組みを公表した後は、ありがたいごとに遺贈寄付の受入れに関心をお持ちの団体様からご連絡を頂いており、ご紹介できる団体数がどんどん増えている状況です。

また、上記のとおり、遺贈の受入れには団体側でも体制整備が必要となりますが、いくつかの団体様との間では、外部の専門家とも連携しながら、遺贈受入体制の構築のサポートもさせて頂いています。

この遺贈寄付における取組みを、士業の皆様や金融機関のご助力も頂きながら加速させていきたいと考えております。

士業の皆様へのお願い

士業の皆様におかれても、たとえば、相談者の方が遺言寄付を希望されている場合もあると思います。

また、遺言執行の場面で、遺言書の付言事項で寄付に関する記載があった場合や、相続人が相続財産の一部を寄付することをご希望されている場合など、寄付先を選定する場面もあると思います。
私も知合いの弁護士からそのような相談を受けたことがあります。

逆に、「レディーフォー遺贈寄付サポート窓口」で遺贈寄付を検討されている方に関し、遺言書の作成やご遺言の執行など、専門的なサポートが必要な場面もあると思います。

READYFORは、遺贈寄付を検討されている寄付者の想いによりそいながら、社会活動に取り組む団体の皆様、士業・金融機関の皆様とのパートナーシップを構築しながら、遺贈寄付の領域において、その課題を解決するための取組みを行いたいと考えています。

そして、人生の集大成における社会貢献の実現を後押しし、社会的な活動に取り組む団体への「想いの乗ったお金の流れ」を増やすべく、取り組んでまいります。

どうか、READYFORのこの取組みに期待・共感して頂けるなら、遺贈寄付推進パートナーとして、ご一緒させて頂ければと思います。

(ご参考)遺贈寄付の方法

遺贈といえば、典型的には、遺言の内容に従って遺産を贈与すること(遺言による寄付)が想定されますが、遺贈寄付の方法としては、以下のようなものがあるといわれています。

①遺言による寄付

遺言者が生前に、遺贈先(非営利団体等)へ遺贈する内容の遺言書を作成し、遺言者の死亡後に遺言内容に基づき寄付を実行すること。

②死因贈与契約による寄付

贈与者が生前に、受贈者(非営利団体等)との間で贈与者の死亡を起因として贈与者の特定の財産を受贈者に無償で譲与する旨を約する契約を締結し、贈与者の死亡後に当該契約に基づき寄付を実行すること。

③信託による寄付

委託者が生前に、受託者(信託銀行など)との間で信託契約を締結し、委託者の死亡後に、受託者が信託財産を管理して信託の目的を実現するために、信託契約に従って受益者または帰属権利者(非営利団体等)へ寄付を実行すること。

④生命保険による寄付

保険契約者が自らを被保険者とし、死亡保険金の受取人を非営利団体等に指定する生命保険(主に終身保険)を契約し、保険契約者の死亡後に当該契約に基づく死亡保険金の給付として非営利団体等への寄付を実行すること。

⑤相続財産からの寄付

被相続人の財産を相続又は遺贈により取得した相続人が、相続人の意思により、取得した相続財産の中から非営利団体等に寄付すること。

⑥香典返し寄付

葬儀やお別れ会などで遺族が受領した香典について、弔問者・会葬者や参列者へ物品で香典返しする代わりに、非営利団体等へ寄付すること。

これらの方法のうち、いずれを選択するかによって税務上の取扱いや、遺贈寄付の実行方法も異なることになります。

(ご参考)相続法改正~遺言による寄付に関連して~

2018年(平成30年)の相続法改正において、自筆証書遺言の方式緩和と、法務局における自筆証書遺言の保管制度を創設する改正が行われています(すでに施行済み)。
これらは、自筆証書遺言をより使いやすいものとすることによって、その利用を促進するという観点から行われたものであり、遺贈寄付(遺言による寄付)との関係でも注目される改正です。

(1)自筆証書遺言の方式緩和

自筆証書遺言に関しては、死後に本人に意思確認できないという遺言の性質も踏まえ、偽造・変造を防止し、遺言者の最終意思の確実さを担保すべく、その全文を自署しなければならないとされていました(改正前の民法968条1項)。

他方、このような厳格な方式性が、遺言者の負担となって自筆証書遺言の利用を阻害したり、遺言の無効を招来し、時に遺言者の真意に反する結果を生じさせる場合もあるとの指摘もありました。

そこで、財産目録に関しては、特則として、自署を要しない旨が定められました(新968条2項)。
これにより、PCで財産の一覧表を作成して印刷したものや、不動産登記簿謄本や銀行通帳の写しを財産目録として添付することが許容されることになりました。
なお、財産目録の各ページへの署名(自署)と押印は必要となります。

(2)法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設

自筆証書遺言の保管方法が各人に任されていることから(自宅であれば金庫、机の引出し、仏壇に保管する、自宅外であれば銀行の貸金庫、知人や遺言書の保管を業とする団体に預ける等)、作成後に紛失したり、隠匿や変造されるおそれがあるとの指摘がありました。
法務局における自筆証書遺言の保管制度は、かかる状況を改善するために創設されたものとなります。

遺言書保管制度の利点としては、大要、以下のような点が挙げられます。
①公正証書遺言を作成することに比べて費用が安い(参考:法務省のHP)。
②保管申請時、自筆証書遺言の形式的要件に関しては審査が行われる(方式違反により無効とされるリスクはなくなる)。
③家庭裁判所での検認が不要となる(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)。
④遺言者の死後、関係相続人等がその遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付を受けることができる(同法9条)。
⑤遺言者が希望した場合、遺言者の死亡時、遺言者が指定した者に対して法務局から遺言書が保管されている旨を通知する(死亡時の通知。遺言書保管事務取扱手続準則19条参照)。

特に死亡時の通知(⑤)は公正証書遺言にはない利点であり、今後の運用が注目されます。

(3)小括

これらの改正により自筆証書遺言の利用が促進されると考えられますが、以下のような限界はあります。
①(遺言書保管制度を利用した場合であっても形式的審査に留まるため)自筆証書遺言の内容に不備がある場合がありうる。
②公正証書遺言と比較して、遺言能力が争われやすい。
③自署が求められるため、手が不自由な人は自筆証書遺言を作成することはできない。
④遺言書保管制度の利用に関しては、本人が法務所に出頭する必要があるため、外出が困難な人は遺言書保管制度を利用することはできない。

公正証書遺言に関しては、公証人が遺言の作成に関与するため、自筆証書遺言と比較すれば費用が高い上、証人2名の立会いが必要となるなど、手続としては重い面があります。

自筆証書遺言と公正証書遺言のいずれを利用するかに関しても、個別具体的な検討が必要となると考えられます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?