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黙食と共食。 用法用量を守り、正しく味わいたい

一連のコロナ禍で新しい集団慣習も生まれています。食の分野でも様々な変化がありますが今回は「黙食/ソロ食」、その対比としての「共食(一緒に食事をすること)」について考えてみたいと思います。

誰かと食べること(共食)は、人類だけの行動。

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分子調理学者で『「食べること」の進化史』などを執筆されている石川伸一先生がTwitterで藤原辰史氏の「絶食論」を紹介されていました。

今、多くの人たちが外出の制限を続けている。「共に食べる」という行為が、家庭のなかでしかできない。共食は、ほかの動物にはほどんどみられない行動である。しかも、人間は食べることを通じて、家族以外の人間とも関係を深めていく。つまり、人間が、動物でも植物でもなく人間であることを絶えず証明し続ける重要な機会のひとつを、私たちは停止している(藤原辰史氏の「絶食論」)

石川さんは原田信男著『「共食」の社会史』も紹介されていて、下記のメッセージも紹介しています。

”共食がどのような理由で始まったのか、どのような社会的機能を果たしてきたのか、を考えれば、わたしたちの豊かな食生活の拠りどころは、人と人との絆を育む共食という食事行動以外にはありえないことになるだろう。”

「誰かと一緒に食事をすることは当然である」と、道徳的に幼少期に教えられ、「一緒に食事をすることは良いことだ」と学生時代に生理学的な(消化に良いとか)観点で刷り込まれてきたけれど、人類史的な事実を知ったとき、ふとジェフ・ベゾスの名言にある「変わらないものを軸に‥」をその時思い出しました。

人類は本質的に共食を前提とする生き物なんだ。と思った時、今後も共食する人類であることは変わらず、それを前提にしたビジネスには消えはしないのだ。とふと安心しました。


今年から始動した”誰かと話すことが目的”のランチ会。

そんな共食への理解と時系列的には前後しますが、私は今年の1月から「TakingLunch」noteのサークルメンバーと楽しんでいます。特定曜日の30〜45分程度Zoon越しに会話をしながらランチをするというものです。

実施の意図は下記にまとめていますが「親交を目的にした食事」をコロナ禍で制限していることに歯痒さを感じていたことや、在宅ランチが孤食・欠食になりがちな背景から、メンバーとたわいのない会話をすることにしたのです。


アジェンダのない時間。 実感する”豊かさ”の意味。

このTakingLunch、私にとっては気分転換の時間でありセレンディピティな情報や視点に出会える有益な時間になっています。この制限された暮らしの中で思ったんですが、「充足した気持ち」というのは、インプット量とアウトプット量がバランスよい状態の時に感じるものなのかもしれません。「発見を得ながら誰かと情報をシェアする」と心の風船がぐんと膨らむ感覚があります。


食の多様性のあらわれでもある「黙食」。

「共食」の対比としてある「黙食(ソロ食」ですが、私はこの食事のあり方も、どんどん普及してほしいと思っています。コロナ禍で安全に外食を楽しむには欠かせない要素ですし、今回のパンデミックを抜いてでも、「ソロ食」は人の多様性の現れとして遅かれ早かれ需要は高まっていたと思います。

「ハレの日×ソロ食」は新市場な気もする。

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この「黙食/ソロ食」。まだまだ拡張できそうですよね。
例えば、ハレの日に行くお一人様専用のレストランの設計。一人で自身の誕生日や仕事の成功を乾杯したい瞬間ってあると思います。そんなシーンに共食前提のお店ではなくて単身でも楽しめるような設計や配慮があると、選ばれる理由が高まりそう(儲かるのかわからないけれど)。


ソロ食こそ、目線は皿の上から、空間全体へ。

ハレの日×「黙食/ソロ食」のことを考える時、ヒントになるのは友人とも行けるけど単身でいける少しお金のかかる場所・体験なのだと思います。例えば美術館や美容院、エステ‥。その時に「孤独・寂しさ」とか「居心地の悪さ」なんて感じないわけで、そのトリガーがあるはずな気がします。

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これからの時代は、共食と黙食をバランスよく味わおう🎉

いろいろ書きましたが言いたかったのは一つで、共食も黙食も一方に偏るのではなくてシーンに合わせて目的に合わせて楽しんでいきたいですねというところ。黙食ばかりの食事も寂しいですが、共食に囚われすぎないほうが新しい発見に出会えるかもしれません。

おいしい食事を、複数でも単身でも、普段でも華やかな日も楽しめる‥そんな食のあり方にとても可能性を感じますし、考えるだけでワクワクします。素晴らしい食体験が生まれる未来にすべく私も当事者意識でエンパワメントしていきたいと思っています。


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