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異国の客であること

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フィリピンに住んでまあまあな時間が流れました。もう一度、感性を開いて世界を見たい。
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2018年8月の記事一覧

小説と視覚芸術

小説と視覚芸術

ー大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。
たとえば、星を見るとかして。ー

「異国の客」以来、池澤夏樹の本をいくつか読もうとしている。そして今日、小説「スティル・ライフ」を読んだ。88年初版発行、芥川賞を受賞している。

読後感は、なんというか、現代アー

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アートを所有すること・旧日本軍発行のフィリピンペソ札・Poch Navalの作品について

アートを所有すること・旧日本軍発行のフィリピンペソ札・Poch Navalの作品について

先程、友人のアーティストと会ってきた。彼とは前々から、作品をスワップする約束をしていた。マニラのアーティストたちの間では、作品をスワップする文化がある。私はまだ2人とくらいしか交換していないのだが、その行為はなんだかとてもハートフルで、友情を深め、よいものである。単純に、アート作品を手にすることはとても喜ばしい。

アートを持つということは、一人の個人の、魂のかけらを手にするようなことだと思う。

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異国の客であること

異国の客であること

先日個展がオープンし、2月、6月、8月の個展のための制作が一旦落ち着いた。また11月に小さい場所で個展はあるが、オープンしたばかりで今はようやく肩の力が抜けている。売ってくれるかどうかは、後はギャラリーの仕事だ。

今回は自分の限界を感じながらの制作だった。諦めていた、と言ってもいいかもしれない。たくさん作ることはきっと良いことだ。作れば作るほどアイデアも湧くし、作品は精錬されていく。でも根本

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