薬局にて学んだこと17 豆まき

先日、ある子どもさんを診ていて、頭の重さを感じるのだけれど、日を遡ると節分の日だけそれがなく調子が良かったようです。なぜ節分の日だけ良かったのか?「じゃあ、毎日豆まきするか」と、そんな会話になりました。豆まきは邪気祓いなので、たぶん家の中に邪気があるのでしょう。豆まきをすることにより、その日は邪気が祓われていたと考えました。ちょうど手元にあった猿田彦神社のお砂をお渡しして、それを家にまいてもらうことで解決しました。
 
 小さな子どもさんは、邪気にとても敏感です。赤ちゃんの夜泣きは、肝(かん)が立って起こすこともありますが、それ以外に家の中に邪気があることでも起こします。そんな時は、先ほどのように部屋に神社のお砂をまくことや、氏神様などのお札を貼ることをアドバイスします。神社のお札を貼ることで、赤ちゃんの夜泣きが治まるのは実証ずみで、貼ったその日から夜泣きが治まったという話はよくうかがいます。
 
 さて、節分の豆まきが、なぜ邪気祓いに効果があるのでしょう。節分はもともと、立春や立夏、立秋、立冬のそれぞれの前日の年4回あったそうですが、現在は一番大切な1年の初めの、春の節分だけを言うようになりました。
そして、豆まきの起源は、平安時代の方違え(かたたがえ)の中の豆打ち(まめうち)という行事からきているそうです。邪気祓いのために、節分の日に恵方の家に宿を取る風習があったそうで、それが簡略化され、家の中の恵方の部屋に移るという形になり、移る部屋に入る前に豆をまいて邪気祓いをするようになったということです。そして、なぜ豆が使われるかというと、大豆は米や麦などの五穀のひとつで、精霊が宿るとされる穀物だからなのです。


考えてみると、2月の豆まきに限らず他の節分の時期にも、紙で作った人形で体をなでて水に流したり、端午の節句に菖蒲湯に入ったり、夏に茅の輪くぐりをしたり、いろいろな行事で私たちは邪気祓いをしているのですね。今回は、その邪気祓いの効果を改めて知ったできごとでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?