セミのお母さん、最後のとき(裏返しに落ちていたら木に止まらせてあげて)
門の外にセミが裏返しになって落ちていた。
足が動いていた。
そこでふわっと手で包んで持ち運んだ。
セミはヨロヨロとわたしの人差し指の先のほうに這い上ってきて。
あー、まだ歩く力が残っていたんだなぁ。
ちくっ!
痛い!
見ると、なんと!
セミはお尻から産卵管を出して私の指に刺そうとしていた。
お母さんのセミだったのだ。
えー、ここで卵を産んでしまうの。
私、木じゃないんだけど。
慌てた。
背中の方からそっとつかんで指から外した。
急いで近所の木につかまらせた。
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