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<第51話>外務省をぶっ壊す!~私、美賀市議会議員選挙に出ます!~

月曜日~金曜日更新
 この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

<第51話>

今日やらねばならない大事なミッションは2つ!
掲示板の番号を党本部にメールする事。
そして新聞に出る候補者の選挙公報用クーポン券を新聞社に奪われないように党本部に速達で送る事だ。
後者が最も大事なミッションだ!
国費で負担されるこの広告枠を各社が美味しい仕事として狙っているのだ。

とにかく、三重県全域のポスター掲示板のリスト、細かい地図、腕章、演説の時に必要な標旗、プラスチック板で出来た選挙事務所看板プレートなど、祐に20キロはあるどっさりの荷物の上に額縁、胸章まで貰って持参したショッピングカートが満杯の大荷物になった。
これをエッチラオッチラ押して車に積み替える。

せっ突かれるようにジャンジャン電話が鳴っている。
私の一挙手一投足をどこかで見ているようだ。
「クーポン券を寄越せ」とまた新聞社からだ。
メジャーな社からマイナーな社まで、ひっきりなしにかかって来た。

一刻も早くクーポン券を党本部に送ってしまいたい。
また電話が鳴って立ち止まる。
「あ、あのー空日新聞です。選挙公報は弊社でという事でよろしいですか?」
「はあ?」
まるで空日新聞と党本部で契約が決まっているかのような口ぶりだった。
こうやってウブな候補者を騙してクーポン券をかすめ取る訳か。


ようやく第一声の場に到着した。
この時、初めて国政選挙に出る重圧を感じたと言っても過言ではない。
芸能人の結婚発表でもあるまいに記者やカメラマンに囲まれ揉みくちゃにされた
別に第一声をする義務はないのだがマスコミ向けにサービスとして行う事にした。
私のようなイロモノ候補者にまで他の優秀な候補者と同じ紙幅を埋めて記事にして下さるのだから、ギブアンドテイク、ほんの感謝の気持ちである。
そんな思いもいざ演説を始めると「それさっきも言うた!アカン!」と肥満体で小汚いカメラマンに怒鳴られる始末。
首にかけたタオルが黒ずんで本当に不衛生極まりない。
「仏の顔してりゃ良い気になりやがって!」
クーポン券搾取のための詐欺まがいの電話といい、私の第一声への野次といい、これがいつも正義を振りかざすマスコミの正体である。
「法務大臣になったら、あいつ絶対死刑にしてやる!」と心に誓って、県庁駐車場からコンビニへ走る。


3番目に見つけたコンビニからお急ぎ便にて「クーポン券」の送付完了!
ふ~っと息つく間もなく、また新聞社からの着信である。
とりあえず電話に出る。
「あのー、今、どの辺におられますか?」
「はい?もう隣の市まで帰ってきてます」
「一度、県庁まで戻ってもらえますか?」と若い記者が言う。
「え?何かありましたか?」と問うと「さっきの第一声がカメラの不具合でちゃんと撮れてなかったので取り直ししたいのです」
さっきの私の親切な第一声に野次ってきた肥満体の奴か?
「知らんがな」という返答以外が存在する世界を私は知らない。
「嫌です」
「否、せっかくなんで、これも良い機会なんでねっ」
盗人猛々しく食い下がる記者に疲れた分だけガチャ切り砲をお見舞いする。


「知るかっ!」
テメーの落ち度を棚に上げて「何が良い機会なのか?」
朝日新聞に東大生の応募がゼロになったのも頷ける。
これが外務省の事もNHKの事も支那朝鮮の事も糾弾しないマスコミの正体である。

つづく。

特別に19日(土)20日(日)も更新するよ。(^^)/

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