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【カーボンニュートラル推進企業紹介⑫】「国産小麦と天然酵母ぱんの店 Booliss」~フードロスは大きな課題。工夫して販路を切り開く~

 カーボンニュートラルーー。脱炭素への取り組みは国際レベルのものから個人での活動まで様々です。
 厚木市内で脱炭素の取り組みを進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組む理由や具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介。取り組みを始める一歩に、また活動を促進させるヒントにしてはいかがでしょうか?
 
 12社目は、国産小麦と天然酵母ぱんの店「Booliss」(ブーリス)。国道129号「妻田」交差点から愛川町方面へとバス通りを進んでいくと、妻田郵便局の道路向かいにあるお店。横山夫婦を中心に天然酵母と国産小麦にこだわって作り上げられたパンは様々な種類があり、旬のものをはじめ豊富な食材を採用。見た目的にも大人から子どもまで喜ばれる品ぞろえとなっていいる。「地域の人に美味しいパンを食べてもらいたい」。横山大輔オーナーのそんな想いから2021年10月にオープン。また、横山オーナーは、SDGsやカーボンニュートラルにも意識が高く、「小さなことでもできることから取組んでいく」をモットーに、オープン当初から実践。実際に話を聞いてみました。
 

美味しそうなパンがずらり


 Boolissでは、オープン当初から店内と調理場のライトにLEDのダウンライトを採用している。横山オーナーは、「やはり明るさと電気使用量の観点から迷わずLEDライトを選択しました。照明が暗くてはせっかくの商品があまり美味しく見えなくなってしまいますし、明るくすればそれだけ使用量も増えますから、カーボンニュートラルの観点からも良かったと思っています」。「それに何よりもここ最近電気代も高騰していますから、その意味でもだいぶ助かっているのではないかと思います」と話す。

ベーカリーオーブン


 また、同店はパン店にも必需のベ―カリーオーブンなどの調理器具に一切ガスは使わず電気を使用しています。専門機関の話では、CO2排出量を削減するためには、まずはエネルギー消費量を減らすことが重要とされています。節電などの省エネ、エネルギー効率の高い新製品にすることで確実にエネルギー消費量を減らせるとしており、非電力分野では高エネルギーが必要で、脱炭素化が技術的に困難であったり、コスト高になったりする場合もあり、電力部門と比較すると、比較的CO2排出量を減らすことが難しいと言われているそうです。そのため、電力をエネルギーとして利用すること(電化)で、CO2排出量を少なくすることが可能と言われています。横山オーナーは、「オープンに向けて検討していた際にガスを引くか迷ったのですが、近年は電気器具でエネルギー効率がよく、CO2を抑制する製品が出ていますので、電気を選択しました」と話す。

毎日新たなパンが焼かれていく

飲食店にとってフードロスは大きな課題

毎日お茶碗1杯分のごはんが捨てられている

 脱炭素を実現する上で、CO2排出量削減に配慮した食品を選ぶことや、毎日の食事を残さず食べることも重要です。 
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が毎年廃棄されています。
 日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食料が捨てられているそうです。これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量。日本人1人当たりに換算すると、毎日お茶碗1杯分のごはんの量が捨てられている計算になります。
 もちろんBoolissでも毎日新しいパンをや焼いて店に出しているわけですから、当然売れ残るパンも出てきます。そうしたパンたちを店ではどうしているのでしょうか。横山オーナーは、こう言います。
 「食べ物を販売するお店にとって、フードロスは大きな問題です。その解決方法は店舗や企業によって違いますが、うちでは傷まないように冷凍し、インターネットを通じで全国に販売することで対応しています。うちのパンは無駄な添加物も入っておらず、解凍や召し上がり方のアドバイスもしていますので、おかげさまで『翌日以降でも美味しく食べれた』という声をいただいています」と笑顔だ。

様々な食材のパンに興味がわく

みんなが気を配れば目標に近づく
 カーボンニュートラルの取り組みは、地域に留まらず、世界全体の未来に関わる問題です。大切なのは「まずやってみよう」の思いであり、できることから取り組むことです。「あ、これもカーボンニュートラルに繋がるんじゃないか」と考えることも重要です。同店の口コミにはこんな声が寄せられています。「店の前の駐車場から店内へ入る際、2段ほど階段を上ることになるのですが、車椅子用のスロープがかけてあるという配慮がうれしい」「店内も、中央のテーブルと壁沿いの棚との間には、車椅子が通れるスペースが開いているし、衛生上に必要な高さと子どもでも見やすい高さを考えられて設置されている」(いずれも利用者)。
 一見カーボンニュートラルに直結しないと思われる取り組みでも、様々な事に気を配り、まず実践してみることが重要。横山オーナーは、「スタッフも含めて意識を共有し、今後も出来ることから取組んでいきたい」と話した。


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