【カーボンニュートラル推進企業紹介㉖】社会福祉法人神奈川やすらぎ会~「やってみよう!」から始めるカーボンニュートラル~


特別養護老人ホーム第二森の里

カーボンニュートラル。脱炭素への取り組みは国際レベルのものから個人での活動まで様々です。
 厚木市内で脱炭素の取り組みを進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組み理由や具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介します。取り組みを始める一歩に、また活動を促進させるヒントにしてはいかがでしょうか。
 26社目は1983年に特別養護老人ホーム森の里(現・高齢者総合福祉サービスセンター森の里)を開所した社会福祉法人神奈川やすらぎ会。同施設のほか特別養護老人ホーム第二森の里、居託介護支援事業所森の里、小鮎・緑ヶ丘地域包括センター、厚木市認可保育園みらくる保育園を運営しています。

コスト資源の両方を削減できる照明のLED化


LED化された事務所

 特別養護老人ホーム第二森の里では8年前に全棟全室LED照明に入れ替えました。また照明を必要としない日中や場所での節電を心がけています。一番、節電意識が高い西迫哲理事長は率先して節電を心がけ、職員への声掛けを行っているそうです。2015年に開園した厚木市認可保育園みらくる保育園には、太陽光発電が設置されています。非常時にも園児の保育を安心安全に継続できる配慮でもあります。現在、特別老人ホーム第二森の里でも太陽光発電の設置を検討しています。
 LED照明は、一般照明と比べて圧倒的に長寿命で、省電力を実現します。 40形蛍光灯(安定器込み42W)の場合、LED照明化により、およそ71%のCO2排出量の削減が可能といいます。

食品廃棄物を肥料として活用

 食品廃棄物は可燃ごみとして焼却する際に二酸化炭素を排出します。 排出される二酸化炭素=温室ガスは地球温暖化の原因につながります。そのため、まだ食べられるのに廃棄される食品を減らす食品ロス活動や廃棄する食品の再利用が推奨されています。
 特別老人ホーム第二森の里の食品廃棄物は、入居者にあわせ日々の食事に、おかゆや介護食と水分を多く含んだものが多く出されます。そのため、ごみとして出す際には水分を切る必要がありました。時にはゴミ回収業者が回収しないこともあったそうです。

24時間稼働しているバイオ生ごみ処理機


 そこで2年前にバイオ式生ごみ処理機を導入しました。24時間稼働するごみ処理機で、1年間に食品廃棄物2,700キログラムを処理することができました。また処理機からは液体肥料が作られます。この液体肥料は高齢者総合福祉サービスセンター森の里の畑の野菜や厚木市認可保育園みらくる保育園のプランターで育てられている草花に利用されています。「畑に植えられたトマトやナスなどの野菜の成長を助けてくれる優秀な肥料」との声も上がっています。

水道水の使用量を削減



災害時には地域のライフラインを担う井戸水

 一般家庭で蛇口をひねって出る水は、川や湖などからくみ上げられた自然水を浄水場で処理したものです。水道水を使えば使うほど、それに伴うエネルギーは必要となります。そこで特別老人ホーム第二森の里では2023年に井戸水ろ過システムを導入し、施設で使用する飲料水をはじめ生活用水の90%を井戸水でまかなっています。システム設置場所に案内をしてくれたスタッフの八木浩一さんは「災害時に断水となっても、自家発電装置により井戸水ろ過システムが稼働し水の供給が可能なため、入居者も地域の人たちのライフラインを担うことができると思います」と話しました。

ペーパーレス化やクリーンエネルギー車の導入

 社会福祉法人神奈川やすらぎ会ではITシステムを導入し、ペーパーレス化を図っています。紙を焼却する際には多くのCO2が排出されます。ペーパーレス化によるカーボンニュートラル達成のために、紙の利用量を減らし、焼却する紙の総量を減してCO2排出量を削減を図るほか、古紙リサイクルや再利用などが取り組まれています。同会では給料明細をはじめ勤怠管理はデジタル化を図りました。勤怠管理も行う八木さんは「デジタル化は本当に便利です。デジタル化以前はタイムカードを1枚1枚チェックし、打刻漏れを把握していましたが、今は画面を見るだけで、ひと目で打刻漏れが把握できます。給料明細も印刷、糊でとじ込みと時間がかかっていましたが、デジタル化のおかげで時間を大幅に短縮できました」とカーボンニュートラルを図ることで、仕事の効率化も進んでいます。 
 
 今、新時代のエネルギーとして二酸化炭素を発生させない「水素」が注目を集めています。入居者の送迎など車が欠かせない福祉施設は複数台の送迎車などを有していますがガソリン1リットルあたりのCO2排出量は約2.3キログラムになります。 西迫理事長は先々ガソリン車から水素自動車やエコカーへの移行を検討するため、昨秋に水素自動車を購入しました。「乗り心地はガソリン車と大きく差はないものの、ガソリンスタンドに代わる水素ステーションの数が少ないのが現状は課題だと思う。まずはやってみよう!の精神色々なことに取り組んでみています」と話しました。

次世代モビリティー水素自動車は排気ガス0




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