映画『ラッキー』リクガメのようにゆっくりと
90歳近い老人が自分の死を想う作品。
事件らしい事件は無い。
友人の飼っているカメが逃げた。
酒場でけんかを吹っかけた。
コンビニ店員の息子の誕生日会に呼ばれた。
なんでもない日々と、死の対比。
行間に漂う、老人の想いを想像する。
音楽も良い。
ゆっくりと進むストーリーのおかげで、
切り取られた画面を味わうこともできる。
主人公ラッキーはクイズ番組が好きだ。
耳の悪いわたしの亡き祖父もこんな風に
テレビの音量がバカでかかったことを
思い出してじんとする。
ラッキーとわたしの祖父は同世代だ。
老人ばかりの画面に、
絶対に高齢化社会を生きるだろう
自分の未来も想像する。
ラッキーは第二次世界大戦で船に乗っていた。
ドカンといったら確実に死ぬ日々を過ごした。
そんな死と隣り合わせの戦争を体験しても
まだ「死」について恐怖を感じるのだろうか。
この作品に暗さはない。
アメリカの砂漠のようにドライで静かで良い。
好きだった。
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