『ららほら』震災の真実を語る
自然への恐怖や怒り。
悲しみを表へ出すことへの狼狽、怖さ。
ある母親が書く、ひらがなしかまだ読めなかった娘宛の手紙は、今年はどれくらい漢字を混ぜればいいのだろうという、二重の年月を生きる悲しみ。
『寄り添うという生易しい言葉では回収しきれない言葉がそこには明らかに存在する。』
いつ、どこが被災地になるかわからないようなこの島で、どんな言葉をもって書いていけばいいのだろう。
ムーンプランナーという、月の満ち欠けで区切られた手帳がある。その発案者の方が、「何も書けない、振り返れない日というのはあります。空白でいいんです。振り返るとその空白にも意味があります」と仰っていたことを思い出した。
さまざまな書き手が、ためらいながら綴る。
1.17を体験した。それから何十年経っても、揺れるたびに純粋な恐怖と、わたしの現世はこれで終われるという安堵の気持ちがぶつかる。
わたし、わたし、だけの生き方だ。こうやって『ららほら』を読んで、わたしはどうやったら自分のことを救えるのかを探している。
『ららほら』編者・藤田直哉/響文社
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