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『牛たちの知られざる生活』

ちょうどNHKでやっていたアニマルウェルフェア特集を観て、言いたいことはわかるんだけど私には理解できない……と思っていたところだった。
動物の幸せってどういうことなんだろう?
極端にスケールダウンすると、わたしはペットを飼っていないし、動物とふれあう機会もほとんどない。そんな折に、この本を貸していただいた。

牛、羊、豚たちの友情や、家族の死に対する行動、人間との関係をどう築くのか。ていねいに描かれている。
それらは、浅はかに擬人化したかわいさやお利口さではない。本能が持つ美しさと完璧さだ。その完璧な世界には人間もありがたいことに介在させてもらっている。それをコントロールしようとする人間の傲慢さを、思い知る。

重要なのは、彼らに必要なのは生きていくための知恵であって、人間の中途半端なしもべになるための知性ではないということだ。

猫と暮らしている人たちのツイートを好んでよく読む。そのひとたちは、「猫ってなんてかしこいんだろう」とよくつぶやく。生きているだけで、かしこいのだと言う。
わかったような、よくわからないような思いでそんなツイートを眺めていたが、この本を読んで、やっとわかったような気がする。
本能に従ったうえで、それを自らコントロールできるのが、動物の知性なのだ。

この本は、直接的にアニマルウェルフェアについて語るわけではないが、データとして牛にとって不自由な生活は牛の脳を縮ませることや成長を阻害することについて軽くふれている。

そんなことより。
アニマルウェルフェアや人間と動物の環境を考えることはとっても大切だけど。
そんなことよりも、動物たちの生活の美しいこと。
訳者あとがきにこの牧場のYoutubeが紹介されていたので、さっそく見た。もっと牛動画をください。

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