恋愛の発生メカニズムから、夫婦の“恋愛の消失”を読み解く。

こんにちは。

最近この本を読んでいます。

1996年出版の古い本ですが、社会学者である上野千鶴子さんの論文が載っているので、それが読みたくて買いました。

以前からぼくは、「恋愛とはホルモンと神経伝達物質がもたらす幻である」と書いてきました。

今回は、社会学者の上野千鶴子さんや、セックスセラピストのエステル・ペレルさんが著書の中でも触れている「恋愛の発生は双方の差異から発生する」という主張を元に、「夫婦の恋愛の終わり」そして、その先にある希望について書いてみたいと思います。

恋愛は双方の差異に起源する

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人はどうやって恋に落ちるのか、これについて、社会学者の上野千鶴子さんはこう言います。

恋愛とは双方の魅力がその「差異」という距離に起源している。

つまり、相手と自分との間に大きな距離があると感じ、その距離を埋めたい、近づきたい、一体化したいと願う。

その時に恋愛が発生するということです。

確かに、「この人のことをもっと知りたい!」という感情って、恋愛中は強く感じますよね。

相手と自分との「距離」が、お互いの魅力になっている。

これは科学的にも証明されていて、1995年にスイスで「臭いTシャツ実験」と呼ばれる実験が行われました。

44人の男性が二日間着たTシャツを、49人の女性がそれぞれの匂いを嗅ぎ、どの匂いがもっとも好きかを調べたのです。

その結果、分かったことは「自分とはかけ離れた遺伝子を持つ男性の匂いに惹かれる」ということでした。

社会学にも、科学的にも、恋愛の発生メカニズムは、「お互いの距離」にあるということが、これらから分かります。

ですが、社会学的に言えば、「恋愛は2人の距離が縮まった時に消滅する」のです。

結婚し、夫婦となってしまったら、2人の差異はなくなり、恋愛は達成されたことになるからです。

簡単に言えば、「新鮮さがなくなる」ということですね。

ぼくも結婚して何年も経って、自分の気持ちの変化に驚いたことを覚えています。

結婚をした2人は、永遠に愛し合うものだと思っていました。

お互いへの恋愛感情は消えないものだと。

でも、そんなことはないんですよね。

恋愛というのが生理現象であり、ぼくらが動物であるかぎり、恋愛の終わりはいつかきてしまうし、しかも夫婦が同時に冷めることよりも、どちらかが先に冷めてしまうことの多いはずです。

そして、冷められた方は何が自分たちに起こったのか分からず、ただ戸惑うのです。

昔のぼくのように。

家族になると必然的に恋愛は消滅する

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夫婦になると、家族になると、必然的に恋愛は消滅する。

この理由は、確かに「一体化の達成」「恋愛ホルモンの効果切れ」で、ある程度説明ができますが、現在を生きるぼくらにとって、原因はそれだけでありません。

家事育児の女性への負担の偏りはもちろん大きいですし、産後が死ぬほど忙しくて(そして実際に亡くなる方もいる)、セックスどころじゃない!というのは大きいと思います。

とにかく睡眠不足になりますからね。

前回の記事にも載せましたが、女性と男性の家事育児時間の差って、共働きであっても5倍の開きがあるんですよね。

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一番多い緑の線が30代で、次に多い赤い線が40代です。

男性はこちらです。

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ここまでの差がつくと、妻と夫の家事育児スキルの差が開いていきます。

うちの妻は、「子どもを産んだ女は鎧を身につけている。それを脱がして欲しいのだ」と以前言っていました。


産後の女性の体がどのように変化するのかについても、ぼくら男性は知る機会がないため、自分から知識を得ようとしないと、まったく分からないままです。

三男が産まれた病院では、母親学級はありましたが、父親学級はなく、「これじゃ子どもが退院しても、父親はなにしていいか分からないままだな」と思ったのを覚えています。

長男次男の時には、病院で沐浴の方法など色々教えてもらったのです。

なんというか、父親としてのやるべきことや心構えのようなものを、病院や行政で啓蒙した方がいいと思います。

なにも知らないまま親になる男が増えてしまいますので。

ちなみに、産後の女性や、父親としてどう行動したらいいか分からない方は、この本がおすすめです。

今まで読んだ本の中で、一番分かりやすかったです。

それから、「男女がそもそも平等でないのに、妻に負担をかけさせることっておかしいよね」ということを最近は感じています。

詳しくはこちらの記事にまとめています。

このように色々と考えてみると、今の日本で暮らしていると、夫婦がお互いに恋愛的興味を失ってしまうのは、ある意味デフォルトというか、当然のことなのかもしれません。

ある一定の距離からパートナーを眺めることで情熱を取り戻す

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ぼくの妻がある日、レストランでランチを食べていた時、後ろに座っていた40代と思しき女性3人から、セックスレスに関する生々しい会話が聞こえてきました。

1人の方は、長らくセックスレスになっていて、夫とセックスする気になれなかったのですが、最近セックスレスを解消したという話をしていました。

「どうやって、そんなことができたの?(なんで夫を抱く気になれたの?)」

と、他の2人の女性が聞くと、その方はこう答えたそうです。

「夫の会社仲間とバーベキューをしたのだけど、その夫の会社仲間たちと夫が喋っているのをみた時に、ちょっといいなって思ったの」

この女性は、いつもとは違う夫と触れ、夫と自分の間にある距離を感じたのだと思います。

そして、久しぶりに発生した「夫と自分との差異」によって、夫を魅力的だと思うようになったのだろうなと。

セックスセラピストのエステル・ペレルさんも、「人はある一定の角度からパートナーを眺めた時に、もっとも魅力的だと感じる」と言っています。

ぼくは、ここに夫婦の愛情を呼び起こすヒントがあるんだろうなと思っています。

夫婦の恋愛は取り戻さなくてはならないものなのか?

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でも、一方で、夫婦の恋愛は取り戻さなくてはいけないものなのかな?とも、ぼくは思うのです。

恋愛が脳内ホルモンの作用によるものならば、かつての出会った頃のような感情に戻るには、なかなか難しくなります。

今の自分を変化させ、妻に新鮮さを与えられたとしても、それは出会った頃のような激しい恋愛感情を呼び起こすことはないのだろうなと思うのです。

2人が出会った頃に感じた、あの激しく求め合う感情は、あの時だけのものであり、あの時代、あの場所で、あの瞬間にだけ存在したものなのです。

小さな雪が舞うスノードームの中の美しい冬景色のように、思い出の中で愛でることはできても、その時の感情をスノードームの中から取り出すことはできないのです。

そう考えると、もう戻らない過去を取り戻そうとする行為は、ただ辛いだけになってしまいます。

決して手に入らないものを欲しているわけですから。

変化し続け、旅のように生きるということ

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とはいえ、ぼくは夫婦の愛に希望はあると思っています。

それは、2人がともに家庭をマネージメントし戦友となることで作り上げられる絆や愛着関係によって、恋愛関係とはまた違うステージに上がることができるからです。

このことは何度か過去記事で書いてきました。

それと、やはり、変わり続けることも重要かなと思います。

妻を支え、戦友になり、愛着関係を結ぶ

これを前提条件とした上で、自分自身が変わり続けることで、妻に新鮮な感情を与えることは、ぼくらの夫婦関係の改善において効果があったと感じています。

妻はよく、「あなたと一緒にいると旅をしているようだ」と言います。

ぼくらは別に実際に旅をしながら暮らしているわけではないのですが、ぼくが自分のやりたい仕事を求めてなんども転職をしたり、その時に暮らしやすい家を求めてなんども引越しをしたり、興味があることを探究して、自分の考えをどんどん変えたり深めているところをみて、そう思っているのかもしれません。

例えば、ぼくは夫婦関係の改善を探る中で、進化心理学、家族社会学、ホルモンの知識などに出会いました。

今は、明治期に日本人の性に関する認識がどのように変化していったのかが面白くて、専門文献を読みあさっています。

知識によって人は自らの考えをアップデートできるのだと思います。

妻との関係に悩む男性には、自分の興味を深掘りすることや、これからの人生について深く考えてみることをおすすめします。

それでは、また!

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今日は"夫婦間のオキシトシン分泌不足"が招く、セックスレスについてです。

産後の夫婦のセックスレスがなぜ必然的に起こるのか?

ぼくなりに考えられる要因と解決策を、今まで書いてきましたが、今回は最近ぼく自身が実感している角度からお話しようと思います。

それは、夫婦間の触れ合いによって発生するオキシトシンの分泌不足が、セックスレスを招いているのではないかと仮説です。

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