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【お悩み回答】「夫への愛情はあるが、触れられたくない。どうしたらいいんでしょう?」

「夫に愛情はあるけれど、それは家族としてであって男性としてではないんです。」

「夫は育児も家事も仕事もがんばってくれていて感謝しているけど、触れられたくはないんです。」

「夫に夜の営みを拒否するのは申し訳ないのですが、どうすればいいんでしょうか?」

そんな経験はありますでしょうか?

仕事も家事も育児も夫はかんばってくれているけれど、出産後、徐々に夫のことを男性として見れなくなってしまった。

でも、夫は夜の生活を求めてくる。

夫に触れられたくないけれど、拒否し続けるのも申し訳ない。

どうしたらいいか分からなくなってしまいますよね。

夫に対して家族としての愛情があるから、なおさら悩んでしまいますよね。

今日は、そんなお悩みにお答えしようと思います。

いただいた、お悩みはこちらです。

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夫を男性として見れないのは当然のこと

3歳の娘さんと1歳の双子さんがいらっしゃるとのことですので、この時期なら、夫を男性として見れないのは当然だと思うんですね。

たぶん、ほとんどの女性が夫を男性としては見れなくなってしまっていると思うんです。下のお子さんが1歳ならなおさらですよね。

ぼくも双子の子どもがいるので分かりますが、ご相談者さんがおっしゃるように、本当に「怒涛」の育児生活ですよね。

2歳違いのお子さんがいながらの双子育児がどれだけ過酷か、ぼくも当時の記憶が蘇ってくるのが恐ろしいくらいです...

毎日、子どもを生かし続けるだけでも精一杯、「今日もなんとか(親の自分も)生き延びた...」と思う毎日ですよね。

そもそも性欲なんてどこに行ったのか?という状況ですので、そんな気持ちにならないのは当然なんですよね。

基本的な睡眠欲や食欲が満たせていない状況ですからね。そんな状況で欲情しろなんて言われてもムリなんですよね。

このグラフは日本家族計画協会の「男女の生活と意識に関する調査結果」をまとめたものですが、既婚女性がセックスに消極的になれない一番の理由は「面倒くさい」なんですよね。

既婚女性のセックスレス理由

これって、子どもの世話や家の仕事もあるのに、セックスなんてしてられるか!ということだと思うんですね。

でも、自分ではなぜ性欲が消えてしまったのか分からず、夫を拒否することにも罪悪感を感じて苦しんでいるんだと思います。

まだまだホルモンのせいにできる

「最近はホルモンのせいにはできなくなってきた」とのことですが、大丈夫です。まだまだホルモンのせいにできます。

子どもの相手をするとオキシトシンというホルモンが分泌されるのですが、その副作用でテストステロンというホルモンが減少し、人は誰もが性欲が減少するんです。

ですので、お子さんが一歳で、もしご相談者さんがまだ働いていらっしゃらないなら、子どもと接するたびに性欲はどんどん下がっているはずです。

ちょっとおすすめしづらいかもですが、ラジオでも女性の性欲の仕組みについて話していますので、もしできそうだったら夫にこの放送をシェアしてあげてください。

そもそも、女性と男性では性欲の力が違うということや、女性の性欲のメカニズムについて知らない男性が多いので、そのことをきちんと知ってもらった方がいいと思うんですよね。

ぼくもそうでしたが、妻も自分と同じように「いつでも」性欲を感じるはずだと勘違いしている男性って多いんです。

年齢を重ねるにつれて、女性の性欲は排卵期に集中するようになることや、産後一年では子どもに対してオキシトシンがまだまだ分泌されますので、夫に対しては性欲は感じないってことを、夫は認識した方がいいと思うんですね。

ぼくも妻から拒否されるのが辛い時期がありましたが、「そういうもの」ということを知ってからは気持ちが楽になりました。

自分でどうにかできることと、できないことがあるって分かったからです。

夫との距離感が近ければ近いほどその気にはなれない

夫のことは「家族として」愛情はあるけれど、触れられたくないということですが、「性的対象物」として夫に飽きたということもあると思うんですよね。

愛着はあるけど性欲は感じないということですよね?

子どもへのオキシトシン分泌の副反応としてテストステロンが減少し、性欲が下がっていることや、3人のお子さんの育児でそれどころじゃないというのもあると思うんですが、どうしても「飽き」ってくると思うんです。

世界的な離婚のピークは結婚から3~5年後と言われていて、社会学的にも人類がつがい関係を維持できるのは、同じく5年間程度だと言われてます。

離婚の真相に迫るため、国連の人口統計年鑑を開いてみよう。

この年鑑は1947年に、フィンランド、ロシア、エジプト、南アフリカ、ベネズエラ、アメリカなど文化的に多種多様な国々の国勢調査で、国民に離婚について訊ねたときから始まっている。

国連統計局が10年おきに数十の社会から集めたデータのなかから、次の三つの質問にたいする回答を探してみた。

結婚して何年めに離婚したか。離婚したときの年齢はいくつか?そして、離婚したときに何人の子供がいたか?

〜中略〜

いちばん驚くのは、いっぱんに結婚後早い時期に離婚しているということだ。ピークはだいたい結婚後4年めがいちばん多く、その後はだんだん減少していく。

出典:「愛はなぜ終わるのか? 結婚・愛・離婚の自然史」ヘレン・E・フィッシャー著

これは、国連が調査した世界62ヵ国の離婚率の調査結果をグラフ化したものです。

これも見ると分かるのですが、1947年から2012年までの離婚率のピークってほとんど変わってないんですよね。結婚後3~4年がもっとも多いんです。

離婚率データ(1947_1989) (2)
離婚率データ(2003_2012) (1)

夫婦生活が長くなると恋愛感情は次第になくなり、その代わりに愛着関係を築けるようになるわけですが、その関係の中で、セックスをお互いが求めて維持できる夫婦もいらっしゃいます。

その違いはなんなのか?というと、ぼくは「ある一定の距離と角度」かなと思っています。

出会ったばかりの頃を思い出してもらいたいんですが、夫のことを「もっと知りたい!」と思っていましたよね?

なぜなら、出会ったばかりで、お互いのことを全然知らなかったからですよね。

でも、結婚生活を送るうちに、相手のことで知らないことはほとんどなくなっていったと思うんですね。

そうこうするうちに、長女が生まれ、2年後に双子が生まれ、今はお子さんたちを「生かす」ために、毎日を必死で戦っているんだと思うんです。

夫は育児に積極的ということなので、きっとお二人で「育児」と戦っていると思うんですね。

そうなると、相手のことで知らないことなんて、もうまるっきりないと思うんですよ。

結婚後にパートナーに性的魅力を感じなくなるのはなぜか?

心理カウンセラーのエステル・ペレルさん(ニューヨーク大学医学部精神科勤務)のこのTEDスピーチがたぶん役に立つと思います。

真剣な恋愛関係において、欲望を維持するための柱は二つの基本的なニーズを両立させることだと考えます。

一つ目のニーズは安全、予測可能であること、安心感、信用、信頼感そして永続性です。

これらは私達の生活の基礎となるもので、家庭と呼ばれます。

もう一つは男も女も同じく抱く強いニーズです。

冒険、目新しいもの、謎、リスク、危険、未知のもの、予測できないもの、驚きなどです。

ご納得いただけますよね。放浪や旅もです。

つまり、安全性と冒険性があいまったものを男女関係に求めているのです。

「安全性と冒険性があいまったものが、男女関係に刺激を与える」ならば、今のご相談者さんの生活は「安全性」サイドの比重が高いと思うんですね。

これは、小さなお子さんが3人いらっしゃるからしかたないと思うんです。

3人の未就学児を育てながら「冒険」なんてできないですからね。

だから、夫を拒否することに罪悪感を感じる必要はなくて、そういうものなんだということを夫婦二人で理解することが大事だと思うんです。

あと、2~3年経てば、「安全性」と「冒険性」の比率が変わってくるとは思いますが、もし、今すぐなんとかしたい場合は、下のお子さんを保育園に預けて働きに出られてはいかがでしょうか?(もし、すでに働かれていたらすみません。あと保育園の定員の問題で預けられない問題があったらすみません。)

家の中でお子さんの面倒を見ていると、ずっと気持ちが「安全性」に寄りすぎてしまうので、外に出ることで気持ちも変わると思うんですね。

家庭の外の「社会」に出ることで、気持ちが「安全性」から「冒険性」にちょっとずつ動いていくと思うんですね。

あと、外の世界の他の男性を眺めたり、会話をしたりすることで、性的なイメージが膨らみやすくなって、気持ちが乗りやすくなるということもあるかもしれません。

それと、夫と妻が別々の生活を(別々の仕事を始めたり、別々の趣味を持ったり)することで、お互いの間に「ある一定の距離と角度」が生まれると思うんですね。

でも、まだ下の子(それも双子)が1歳ということですので、外に働きに出つつ、自分の体調と精神を整えることに集中した方がいいのかもしれないですね。

男と女の「出産後のセックス」への向き合い方の違い

ぼく、思うんですが、女性って、結婚する前とか、結婚したばかりの頃は、夫に対して「この人とセックスがしたい!」と思っているんですが、子どもが生まれてからは「まぁ、別に(この人と)してもいいか」という感じでセックスをしているんじゃないかなって思うんですね。

「夫がしたいならしてあげるか」というと言い過ぎなのかもですが、男性よりも「この人(自分のパートナー)としたい」という感覚が薄いんじゃないかなって思うときがあるんです。

(まぁ、夫は家のこともしっかりやってくれるし、子どもの面倒もしてくれるし、私のことも大切にしてくれるから、別にしてもいいかな)

こんな感覚なのかなって思うことがあるんです。

ここで、大事になるのは、家のこととか子どものことをやってくれていることじゃなくて、「私のことも大切にしてくれているから」ってことなんじゃないのかなって思うんです。

ご相談者さんの夫は「家事も育児も仕事も」がんばってくれていて、そのことにご相談者さんは「感謝」もしているんですよね。

でも、ご相談者さんが「嫌だと言っていること」をやめてくれない。

これでは、ご相談者さんが「私のことを大切にしてくれている」という感覚を持ちにくいんじゃないかなって思うんです。

下の子が一歳でまだまだ大変な時期で、セックスどころではないし、夫との距離感が近すぎるので「性的対象者」として飽きてしまっているという根本的な問題もあると思うんですが、一番のポイントはここだと思うんです。

ご相談者さんが、夫から「大切にされているという実感」を心から感じることができた時に、(まぁ、してもいいか)と思えるようになるんじゃないかなって思うんですね。

(セックスがしたい)と強く思えるようにはならないかもしれませんが、(まぁ、してもいいか)と思えて、行為のあとも(まぁ、またしてもいいかな)と思えるくらいにはなるんじゃないかなって思うんです。

気持ちをはっきりと冷静に伝えた方が男性は変わりやすい

夫から「心から大切にされる」ためには、夫が「妻はなにが嫌なのか」をはっきりと知る必要があると思うんですね。

そして、妻からはっきりと言われた方が、夫も変わりやすいなって思うんです。

中途半端に拒否されていると、まだ「(セックスできる)希望」があると思ってしまうんですが、そうじゃないと分かると、解決に向けて本気になるんです。

そして、今回の場合は、夫に伝えた方がいいことは「わたしのことを大切に扱って」というメッセージだと思うんです。

”家事も子育ても仕事もがんばってくれていることは、本当に感謝してるの。

あなたのおかげで本当に助かっているのよ。

でも、それだけじゃないの。わたしがして欲しいことは。

わたしのことを大切にして欲しいの。

わたしの体を、わたしの心を、あなたには大切に扱って欲しいの

ということを夫に伝えるといいんじゃないかなって思うんですね。

そうすることで、「わたしが嫌だと言ったことはして欲しくないの」というご相談者さんの気持ちも、伝わりやすくなるんじゃないかって思うんです。

そして、夫の日々の行動が「あなたを大切に思ってのもの」に変わってきたのならば、あなたもおそらく(まぁ、してもいいかな)という気持ちに変わってくるんじゃないかなって思うんです。

もし、夫の行動が「あなたを大切に思ってのもの」じゃなかったり、途中から変わってきてしまったら「もっとわたしを大切にして欲しい!」と何度も伝えていいと思いますよ。

ただ、家事をすればいいんじゃない。ただ、育児をすればいいんじゃない。ただ、仕事をがんばればいいんじゃない。

それらの行動の目的は、それらの行動の根源には「妻を大切に扱う」という考えがあるんだということを、あなたがぜひ思い出させてあげてください。

うまくいくことを心から祈っています。

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