【お悩み回答」「家事育児をしている自分に満足している夫」に困っています。
「夫は家事育児をしているつもりだが、周りから褒められるためにやっているように見える」
「こうして欲しい」という要望を夫に伝えても、もう十分やっていると思っているせいか話を聞いてくれない。
そんな経験はありませんか?
ぼくは(夫側として)同じような経験をしたことがあります。
(これだけやっているのになんの文句があるのか?)
(夫婦関係がギスギスするのはまだ子どもが小さいからであって、自分のせいではない)
そんなことを考えていました。
でも、今ならそれは盛大な勘違いだったということがよく分かります。
盛大な勘違いとはどういうことか?
どうすれば、夫にそれを分かってもらえるのか?
いただいたお悩みにお答えしながら考えてみたいと思います。
父として夫としての評価を社会に求めている。
男性の育休取得率って、2020年は12.65%だったんです。
これって、過去最高の数字なんですが、それでも10人に1人くらいってことなんですよね。
2010年の1.38%に比べればかなり増えてはいますが、だれもかれもが育児に熱心に参加しているというわけじゃないんですよね。
ちょっとだけレアな存在なんです。
この「ちょっとだけレア」というのがくせもので、「自分は特別」「自分はしっかりやっている方だ」という評価を自分でくだしやすくなるんですよね。
なぜなら、社会からそういう評価をもらえるからです。
会社に行けば、「◯◯さん、早く帰って子どもの面倒みてるの?えらいねー!」と言われたり、テレビをつければイクメン特集をしていたり、そんな社会の中にいると勘違いしちゃうんですよね。
「自分は偉い」って。
そして、Twitterとかインスタで「#男性育休」とか「#イクメン」などハッシュタグをつけて、今度はSNSでも「いいね」を集めようとします。
ぼくもそんなことをやってました。あれって、もっと褒めて欲しい!という承認欲求なんだろうなって思うんですよね。
「こんなにすごいことをやっている俺をみて!」という。
2017年あたりにちょっとだけ話題になった記事があるんですが、男性が数ヶ月の育休を取得して、毎日インスタ映えするような豪華料理を作って、Facebookに毎日投稿しているという記事があったんです。
妻のためというより、誰かに褒めて欲しいためにやっているような料理でした。そもそも褒められることを求めないとFacebookに毎日投稿しないですよね。
その記事の中で男性が「今は家事をする男性が”いいね”を集めやすい時代だ」なんてことを言っていたんですね。
今なら炎上しそうな発言ですが、この精神っていまだにぼくら男性の中に残っているんですよね。
「イクメン」という言葉に代表されるように、育児をただするだけで偉いと社会から認めてもらえる。
でも、それって「父親として評価」を社会に求めているわけですが、本来「父親としての評価」って社会からもらうものなんでしょうか?
同じ家庭の中で暮らしている妻からの評価が、もっとも妥当な評価なんじゃないでしょうか?
ぼくら男性が「俺はやっている方だ」と勘違いしやすい理由って、社会からイクメンだなんだともてはやされているので、それで満足してしまって、妻からの評価をないがしろにしているからだと思うんですね。
「周りの旦那たちより自分はやっているのに、満足しないのは高望みしすぎ」と、あなたの夫は言っているんですよね。
これって、まさに「父親としての評価」を妻以外から引っ張ってきている証拠ですよね。
”周りの旦那がどうとか関係ないの。あなたと結婚している私がどう思うかが大事なの。周りの夫婦と私たちはまったく同じ人間じゃないでしょ?他人と比較してどうするの?あなたが父親として、この家庭にどれだけ貢献できているかが分かるのは私だけなのよ?”
などと、「父親としてのあなたを評価するのはわたし」という姿勢を見せるのはいかがでしょうか?
もしくは、仕事に置き換えると分かりやすいかもです。
”あなたがある商品をお客さんに売ったとして、その商品が本当に良かったかどうかって誰が評価するの?
あなたの同僚?違うよね?市場(しじょう)よね?お客さんが評価するんだよね?
お客さんから、その商品を「いい商品だ。また買いたい。」と言ってもらえることが評価だよね?
じゃあ、あなたが家事育児をしたとして、それを評価するのは誰なの?
あなたの同僚なの?違うと思わない?”
「夫としての評価」が抜け落ちている
それから、ぼくら男性って「夫としての評価」という考え方が抜け落ちているんですよね。
ぼくが家事育児をするとき(これを妻にやらせたら大変だな)という感覚を感じるときがあるんですが、それって妻がいない生活があったから分かるんです。
3ヶ月の育休を取ったときに、ぼくは家事育児をしていると思っていたけれど、実は妻が整えてくれていた世界の中でイクメンを気取っていただけという事実に気がついたんですね。
「夫としての評価」って、「どれだけ妻のことをケアしているか?」だと思うんですね。
もっと言うと、「どれだけ妻がケアされているという感覚を持てるか?」だと思うんです。
夫というのは、父親としての行動だけじゃなくて、夫としての行動も必要なわけですが、そこがごっそり抜け落ちて、妻のことを同じ部署のライバルみたいに思うようになるのかなって思うんです。
「家事育児をお互いがやってあたりまえ」と思うようになるのって、お互いのことを思い合ってないのかなって思うんです。
互いのことをケアし合ってないから、そういう状態になるのかなって思うんですね。
ぼくの場合、2週間の「妻がいない生活」を強制的に過ごしたことと、妻から「こうして欲しい」とか「こう言って欲しい」など、どうして欲しいのかを教えてもらえたことが大きかったなと思っています。
どうして欲しいかを話すときって、ぼくの妻は感情的に怒ったりはしなくて、ものすごく冷静に淡々と話すんですね。
それが逆に怖いんですよ。こっちとしては。ものすごく重要なことを言われているなって気がするんです。
なぜ、そんなに効果があるのかというと、「それをやらないと何が起こるか」をこちらに想像させるからだと思うんです。
この先、わたし(妻)がどうなるかを伝える
おそらく、あなたはこの状態があと2~3年続いたら、夫に愛想を尽かして、完全の心のシャッターを閉ざして、どんなに夫が家事育児をがんばったとしてもなんの感情も抱かなくなると思うんです。
そうなってしまった男性からの連絡がぼくのところにくるのでよく分かるんです。
そういう未来は夫に感じさせてみてはどうでしょうか?
”あなたがわたしのことを大切に扱ってないと感じるの。
他人と比べてどうとか関係ないの。わたしの感情はわたしのものだから。
このままだと、わたしはあなたを嫌いになると思う。
あなたがなにをしてもなんにも感じなくなるわ。
なぜだかわかる?
あなたには大切なものが見えてないの。
あなたに家事育児をして欲しいわけじゃないの。
わたしをいたわって欲しいの。わたしのことを大切に扱って欲しいの、わたしの体を、わたしの心を、あなたには大切に扱って欲しいの。
それだけなの。わかってもらえる?”
男性が変わろうとするときって、恐怖を感じたときだと思うんです。
「このままだと妻に嫌われる」
「一生、セックスレスのままかもしれない」
そんな恐怖を感じたときに、(なんとかしないと...!)と、男たちは焦りだすんですね。
妻の心理状況によっては、心が閉じてしまっているので改善までものすごく時間がかかるケースもあります。
でも、今のあなただったらまだ間に合うと思うんです。
あなたの心が完全に閉じる前に、夫に「この先、わたしの心になにが起こるのか?」を伝えて、夫を変えることはまだできると思うんです。
夫に(なんとかしないとまずい)と思わせ、そのあとに具体的にどうすればいいかを言ってあげてください。
あなたがどうして欲しいかですかですね。
そのときには、遠慮せずにして欲しいことをきちんと伝えてあげてくださいね。
「おつかれさまって言って欲しい」
「疲れてない?大丈夫?とか気にして欲しい」
「わたしが寝不足で辛い時は、いつでも変わって欲しい」
とか、遠慮せずに伝えないと、ぼくら夫って本当に気づけないんです。ぼくも今でもそうです。
たぶん、あなたの夫が自分から気づくことは難しいと思います。だから、あなたの方からぜひ伝えて欲しいなって思います。
少しでも参考になれば嬉しいです。
Podcastでもお話しておりますので、合わせて聴いていただければと思います。
※手前味噌ですみませんが、ぼくの相談者さんで「ラジオを聴き続けたおかげで、妻への考え方や接し方が変わった」と言ってくださる方がいるので、夫にこのラジオ(アツの夫婦関係学ラジオ)をおすすめするのもありかもです。
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