「気」とか「心」の話

「反応しない練習」/草薙龍瞬/KADOKAWA

”世の中は世の中だし、他人は他人。
感覚で感じていることが事実としてそこにあるだけなんだ。”

「刺激と反応の間には、スペースがある。そして反応は選択できる」
キングオブ自己啓発書「7つの習慣」の、私が最も衝撃を受けた言葉。

当たり前のように感じる、嬉しさ、悲しさ、楽しさ、寂しさ。ひいては熱さ、冷たさ、不満、悩み、感動…。これらは全て何らかの「刺激」に対して自分が選択している反応である。

人間は思考力によって社会を作り出し、言語やエネルギー、お金、そして現代では0と1で物事を表すようになった。これらは偉大な発明であると同時に、多くの人々の頭に余計な悩みや不安といった空想も生み出した。どの存在が必要不要という話ではない。

社会の進化とともに当たり前に刺激がそこにあって(しかも量が増えて)、当たり前に感情を抱いているように見えて、実はそこには人間の選択が生じている。

この「反応しない練習」も仏教の考えをもとに刺激、選択、反応の3段階で人間の思考や感情を分け、幸せな人生のために大切な考え方、在り方の選択方法を伝えている。
気になった部分だけ抜粋しよう。

1.刺激をあるがままに理解する

「心は求め続けるもの」
「人間の心は満足することがない」
「欲望は人間が自然に兼ね備えているもの」
こうした、悩みのタネになり得るもの全てをいったんあるがままに理解する。つまり、まずその存在を認めることだ。そこにあって良いものだと、肯定から物事を見つめることができる。
 肯定の土台を作ることが大事。

2.執着を避け、選択を自覚する。

「今、自分は欲望を満たしている」
「世の中に競争は当たり前だ。それを分かったうえで乗っかればいい」

 人間の苦しみは"執着"によって生ずるという。追い求めすぎや引きずりすぎは全て"執着"である。この執着による苦しみを自覚した上で、あえてその道を選択する。

「何に執着し、苦しむか」は選べるんだ。

例えばSNS、YouTube。つい見すぎちゃう理由は、怠惰欲を満たすためだ。スポーツや社会人として優れた成績を残したいと願うのは、承認欲かもしれない。どちらも欲を満たそうとしていることには変わりないし、求め続け執着すれば苦しむ。

そう、何に苦しむかは、選択の自由がある。

3.幸せに生きるには、反応を選ぶ努力が大事

ここまできたら単純。

”幸せになりたいなら「快の反応」を大事にする。
不幸になりたくないなら「不快の反応をしない」ように努力する”

当たり前だけど、この当たり前こそが人生の肝要。感覚を大切にして、よく気づく。そして反応しない、あわよくば反応の源を断とう。

理論的スピリチュアル

仏教や禅って、どうしてもスピリチュアルな部分が強調されがちで、瞑想だの集中だの呼吸だの、なんかよく分からん「気」とか「心」の話をするザ・宗教と思っていたのが本音。でも世の中の有名人が瞑想や禅問答にハマるわけもなんとなく理解できてきた。

常に自分が敵であり、自分の納得感を判断基準にする。自分の人生に対し「きっとうまくいく。必ず最高の納得にたどり着ける」そんな絶対の信頼を置く。そして、1時間、1日、1月、1年、何度でも正しい心がけ(=刺激に対する正しい反応の選択)に戻る。感情を理論にぶち込んだ超絶ストイックなトレーニングって言っても過言じゃない。筋トレは自己肯定感を高めると言うけど、筋トレは仏教に通ずるものがあるのかも。

今回はほぼ備忘録のような文章でした。
たぶんここまで読んでくれた方はいらっしゃらないと思うのですが(いたらごめんなさい。とてもとても感謝しています)反応に流されない生き方ってのは自分の理想であり、最も難しいなと実感しているものです。この本を読むことで、再度大事な自分の感情と向き合うことができました。いい本でした。
ありがとうございました。

「いつだって、正しい心がけに戻る」


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