「居場所」とはなにか 【備忘録】

テーマ:「居場所」「安心できる場所」とは?

参加者:僕、Gくん、Mさん

背景

僕とGくんの2人で近況報告を行うなかで、出たキーワードが「安心できる場所」と「居場所」でした。Gくんは、直近行っている活動で『コミュニケーションの生まれる場』を目指した空間設計をしています。僕は彼からこの活動の話を聞いて、「集う人々にとって安心できる場所」が活動のキーワードではないかと感じています。また、Gくんが会話のなかで発した「俺、居場所っていう言葉あんま好きじゃないんだよね」という言葉が、僕のなかに強く残っていたことから、本テーマについて語ることとなりました。

3人の共通項

3人の共通点は島根にゆかりがあることです。
僕とGくんは、ともに島根県外の出身で、地域みらい留学を活用し、島根県内の高校に入学しました。対して、Mさんは、島根県松江市の出身で高校卒業まで島根で過ごした島根県人です。このような3人の間で話題に挙がったのが、地域別での人との距離感でした。

「地域住民との距離」 と 「安心」

Gくんの母校がある地域の人口は約7600人で、住民のタイプを大きく3つに分けることができます。古くから町に住む住民、一度町外に居を構えたのちに戻ってきたUターンの住民、そして他地域の出身でIターンした住民です。高校の生徒も同様に分けられ、Gくんのような県外入学生はIターンと似た立場になります。この町の特徴としてあげられたのが、地域の住民との距離感の近さです。Gくんは。高校の地域系部活動に所属していて、本活動をとおして学外(地域活動)にでると、出た先の地域住民とつながりのある大人に、Gくんが活動していたことが伝わることがあります。これは地域活動だけに限ったことではありません。誰がどの地区の家に住んでいるのか等も知られています。この現象は、僕が過ごした地域も同様に起きていました。地域活動のような比較的印象のよい内容であれば地域住民の良い評価となります。しかし、未成年での飲酒や遊び盛りの生徒がはめを外す姿が伝わると、最悪の場合には安心できる場所を失うことにつながりかねません。このような2人の経験から、顔が知られた地域に住む大変さが垣間見えました。
 
一方で、良い点もありました。お互いに顔が見えて大まかな素性が知られていることは、すなわち地域内に共通の知り合いが多数いることを示しています。その結果、食事にいく相手が都会と比べて多かったり、提案してから実際に食事するまでの時間が短く済むことが多くあります。つまり、周りのみんながフッ軽です(笑)。また、町に住む人たちの得意分野が大まかにわかります。だから、自らの興味を相談したいとき、誰に相談にいくか瞬時に判断することができることも大きな特徴です。

「地域の風景」と「安心」

続いて、話題は3人が過ごした地域の風景につながりました。Mさんは、高校まで島根県内で過ごし、大学進学で東京へ移住しました。東京にはコンクリート建築の高層ビルが立ち並んでいます。Mさんは、このような環境から島根に帰省した際に印象の変化を感じたそうです。大学に進学する以前は、松江市にある宍道湖に対して何も感じなかったのに、現在は宍道湖を含む松江市の風景を見てどこか心が落ち着き、安心するといいます。僕はこの話を聞いて、僕自身も 似た経験がありました。僕は、島根県の民家の特徴である赤瓦の家を目にしたとき、いつも充実感と安堵の気持ちに包まれます。この感情は、松江駅をみたときにも同様に発生し、島根に帰ってきたことを実感するときにおこるものでした。

「県外出身生」と「居場所」

最後に、Gくんは、「高校を過ごした地域は、安心できるから私の居場所だ」と語る高校生・卒業生に対して違和感があるといいます。前提として、高校生の送る生活や行う活動は、周りにいる地域の大人の支えがあり、できていること。つまり、高校生は大人がしたことを享受している立場であるから、高校生はまちの住民ではないのではないかと感じると話していました。この違和感に対して、Gくんは母校にインターンという形で、自らがまちに関わるという選択肢をとりました。自らがまちに貢献できるものは何か、という問いを抱き、最低限の生活ができる程度の給料を得るための角度を探ったそうです。インターンが終了した現在は、一程度の貢献ができる視点が見つかり、これ以降にこの町で生活できるという目安がたったと語っています。

最後に

以上3つの話題から、居場所や安心できる場所について話を進めました。今回の話は、3人にとってどれも共感しうる話題であり、今後も話を深めたいと感じるものでした。しかし、お互いの経験から「居場所」をテーマに話していたことから、自らの考える居場所のニュアンスとは異なる点も存在したため、今後より深めていくために、居場所に対する3人の共通の定義を設定することにしました。次回以降は3人それぞれが1つ居場所に関するテーマを持ち、考察をすすめます。この3つの考察から、私たちなりの居場所の意味を言語化することを目標とします。

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