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マスク姿の国民ぞわぞわうごめいて満員電車はこの世の終わり/令和2年3月1日締め切り分の原稿


液晶の文字は矢のごとく目を突く定時の頃には瞼の重し

甥っ子に会うための旅を取りやめる返金されないキャンセルボタン

一番にお世話になつた人なのに突然退職我は昇格

聖域は雑木林の秘密基地まるで子どもの遊び場みたい

久高島は人の優しき神の島おじぃのあいさつ挨拶おじぃに

出港の港間違へる全力で久高の集落走り抜けたり

マスク姿の国民ぞわぞわうごめいて満員電車はこの世の終わり

けだしくもものくさきこと物書きの筆の折れぬのは締切ゆゑに

消毒の液の冷たさよ手のひらの細菌どもの死滅の香り

牢獄の缶詰部屋で反芻すやうやく短歌の種の聞こえる

古語辞書の用法用例をつなげればぶらさがりの歌しどけなきこと

ふりこふりこよいつも同じ顔なのに今日はどうしてゆつくりなのかい

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渡部敦則 青森県三沢市出身、沖縄県在住。短歌詠みます。 国民文学所属 第二同人 最初は短歌を中心にしたかったけど、思ったより色々な物事を言葉にしたくなったので、色々のメモ
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