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令和元年の国民文学掲載歌よりピックアップ

モルヒネの数倍らしい口づけで痛みを奪ふ大丈夫だよ

国民文学では国民文学年間歌集というのがあり、会員が1年に掲載された歌から10首を選び年間歌集に載せる。

とりあえず、掲載歌72首(6首×12月)から33首をピックアップ。あれ、全然絞り切れてない。

今回テーマを考えようと思い、沖縄ついて3首、アニメついて3首、日常で写実が優れている歌を4首選ぼうかと考えている。

1月 38
モルヒネの数倍らしい口づけで痛みを奪ふ大丈夫だよ

月一のあの日の我に出会ふたび笑ひてしまふ結社誌届いて

2月 37
雲の上独りぼつちのボーイング周波数のゆらぎが聞こゆる

方角を示す地名が読めなくて地図のふりがなの小さいことよ

雲平線にゆつくり混じる夕の色飛行機西へ西へ沖縄へ

3月 37
切なさを蓄に隠して春を待つ江戸川水門桜のめでたし

戦争は相手の正義に踏み込みて我らの正義の斧の鋭さ

うらおもてひらひらかへでの色変りどちらも愛さう交代人格


4月 37
還暦の母を祝ふため遠方の姉と連絡LINEの弾む

5月 37
己による己の疑ひ晴れていくどこまでも蒼いわたしの空だ

誰がために詠ふのだらう原稿の一行一行真面目に見えて


6月 35
震災の年に気を病み職辞めつ再起の八年長し短し

層龍の層のバラバラ山盛りに私を捨つる哀れだ哀れだ

雲の色ゆつくり赤に変はりゆく憧性と呼ばふか春の虚しさ

36
働くは楽しいものだ賑やかなマクドナルドの分業作業

一発で「れいわ」を変換できなくてスペースキーを何度も叩く

7月 35
沖縄に束縛されて口詰まるただの詩人になぜ成れようか

午前零時令和のチャイム響きだす夜空の星のさらに輝く

8月 36
夕方のカーラジオよりあいみよんの歌ゆるい歌さよなら涙

物語を語りつくせり朗読劇幕張メッセを満席にする

10月 35

好きなものを燃やされてゐるテレビ画面スマホの画面にロックをかける

久しぶりにキミのアニメのポスター貼るときめく前にもう泣いてゐて

やはらかい線より浮かぶ産まれたてのいのちいのち頁を走る

他人ごとなのに涙が涙が止まらないアニメーターの命の燃えて

原稿の最後になるころ泣き止んで印刷をしてあした頑張らう

11月 35
署名書の名前と住所の枠の中ひとりひとりひとりの直筆

絵コンテに原画に美術にアフレコにアニメーションは命の重なり

12月 34
万葉のプロトコルは五七五七七時代を送受信する

長方形の紙に宿りし信頼を召喚させるキャッシュレスの神

絶望をうやむやにする黄昏の缶コーヒーと悲しいため息

もしこれが現実の言葉でないのなら見たことあるか夢の終はりを

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渡部敦則 青森県三沢市出身、沖縄県在住。短歌詠みます。 国民文学所属 第二同人 最初は短歌を中心にしたかったけど、思ったより色々な物事を言葉にしたくなったので、色々のメモ
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