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東洋のサグラダ・ファミリア?

先日、タイ・パタヤに行った際に、唯一訪れた観光スポットの事を記す。

パタヤは1960年代にベトナム戦争時の米軍保養地として栄えた、バンコクから車で約2時間の場所にあるリゾート地。その名残か、街には欧米人の比率がバンコクや他の街よりも高い。今は外国人観光客も入っておらず、海岸沿いの観光客目当ての土産物屋、レストラン、ホテル等はかなりしんどそうな雰囲気があった。実際、閉店しており for rentになっている所も多かった。

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特にパタヤ周辺でどこに行こうという計画もなく、当初からピンとくる観光施設はなかったのだが、一応検索をしてざっと見ていると、「東洋のサグラダ・ファミリア」という何とも胡散臭そうなワードに引っかかってしまった。

正式名称は、サンクチュアリ・オブ・トゥルース(The Sanctuary of Truth)
=真実の聖域。
何やら1981年から作り続けているが、完成時期は未定の現在進行形で作られている高さ100m程の巨大建築物で、古典芸術、彫刻、技術保護を目的としているとのこと。中心地からもタクシーで10分と遠くはなく行ってみることにした。

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入場料は500バーツ(約1,800円)でかなり高かったが、ここは経験を買うといういつもの整理で入ることにした。
因みに、500バーツというと、タイではビール1缶500mlで50バーツくらいで買えるので10本相当。バンコクの2020年の最低日給は336バーツとあるため、この建築の作業に貢献されている方の日給に該当するかもしれないくらいの入場料です。

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建物は、タイの建築様式で四つの切妻(チャトゥラムック・パビリオン)が特徴で、タイの職人によって数種類の広葉樹から精巧に彫刻され、金属の釘を一切使わず建てられている。20人くらいの従業員の方が、木彫りで創作に従事されていた。

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タイだけでなく、インド、中国、カンボジアなどアジア諸国の神々を織り込み、仏教やヒンドゥー教、アジアの宗教を一体化させた荘厳な木造彫刻。創設者であり設計者でもあるレック・ビリヤファント(Lek Viriyahbhun)氏の願いは、「この世界を束ねる宗教的な信仰心、東洋哲学、精神と強い信仰心の大切さを芸術作品を通して讃える。善を修めて悪を避ける。」というお釈迦様の教えに従った道徳と徳のある文化を示しているようです。

追記:
このLek Viriyahbhunさん、後々分かったのですが、バンコクの奇抜なミュージアムで知られるエラワンミュージアムのパトロンの他、タイの損害保険業界でマーケットシェアNo1を長らく維持しているViriyah insuranceの創設者でもありました。Viriyahの名前は人名が由来だったんですね。
2020年時点で約60社存在するタイの損害保険会社の中で、M/S18%を獲得するとは相当すごい会社であることが分かります。
教訓としては、ビジネス活動に邁進しながらも、文化を広める精神を持ち続けるとか後世へ何かを残す活動を生前から行っていたLek Viriyahbhunさんに心より敬意を表します。

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木造建築の高さ・幅は約100m、総面積は約2,115㎡。建築中につきヘルメットを被っての見学となり、これもアトラクション性を高めますね。本当に何か落ちてくるリスクも完成後の建築物よりも高いのだろうけど。

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今は観光客がほとんどいないので厳しいと思うけど、この価格設定だとずっと未完成のままで、実際に作業している人が作り上げていく過程を臨場感を持って見学できるというアトラクション性を残しておく方が経済的にも良いのかもと思った。完成時期にコミットせず、未定としておくのがビジネス上のミソですね。周辺敷地も潤沢にあるし、いくらでも拡張できます。
そもそも、ここのオーナーは中華系の財を成した人なので、財政面の心配はないはずなんだけど、きっちり入場料価格は観光客の足を見まくりの設定ですね。

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海を背にした壮大な木造建築空間と精巧な彫刻物は、なかなかの創作の月日を感じさせるもので感動に値するものだと思います。行ってよかったです。

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