GIANT TCR試乗
GIANTが新型TCR(第10世代)を発表して、自転車でも行ける近場で試乗会を開催すると聞き、参加してきた。マイバイク以外の自転車に乗るのは実に久しぶりで恐らく2019年以来4年以上ぶり。なのでどんな自転車なのか楽しみにしていた。以下はその試乗して私が感じた記録として残しておく
・試乗車のスペック
スペックは公式HPに記載の通り
・フレーム:TCR ADVANCED SL(Sサイズ)
・コンポ:DURA ACE R9270 Fr52-36 Rr11-34? クランク170mm
・ホイール:CADEX MAX40 DISC
・タイヤ:CADEX RACE GC TUBELESS 700x28C(約4bar)
・ハンドル:GIANT CONTACT SLR 370/400
・ステム:GIANT CONTACT SLR AEROLIGHT 90mm
・サドル:CADEX AMP
・本人のスペック
身長:175cm
体重:約65~6kg(年間で61~68kg変動)
レース参加歴:年に7~8回、ヒルクライムやロードレースに参戦
FTP:300W前後
練習量:冬はインドア主体、春以降は実走と半々。平均50時間/月
脚質:ルーラー〜クライマー(自称)
・マイバイク
試乗会場までは自走。このバイクとの比較評価になる
・Emonda SLR (disc) + Aeolus RSL51
・試乗の感想
会場まではEmonda SLRで自走したので、その感触がしっかり残ったまま試乗車に乗った感想である。あくまでその日の天候(晴天/ドライ/やや強風/気温8℃)、体調、脚の疲労度、走ったコース、時間(40分)という特定の条件下で自分が感じ取った内容を以下に記す。
受け取って持ったとき
まずは「おぉ、軽い」。スペック表でMサイズ6.4kgと情報見ていたのでその印象通りである。ちなみに試乗車の重量は6.73kg(強風で値が揺らいでいたが6.8kg位前後だと思って良い。条件はペダル込(Favero assioma Duo)、サイコンなしだが台座あり、ボトルゲージ1つあり)。ペダルが300gくらいなので、紙面情報通りの重量だろう。優秀。
乗り出し
スッと走り出し、滑らかである。滑らかさはチューブレスタイヤの恩恵だろうと思う。私の体格にしてはハンドルまでの距離が少し短く(ステム90mm)レバーも上向き気味なのでアップライトな姿勢になってしまう。よって風速5m/s位あるこの日は向かい風は特に進み辛く、その点はバイク起因ではないと理解する必要がある。
平坦
ペダルを回すとスルスルっと加速していく。40km/hに乗せる労力もマイバイクと大した差異はない。でも決してエアロロードではないのでそれ以上スピード上げるには割と頑張る域である。vengeとは違う。巡航時の安定性はemonda+aeolus RSL51の方が良い。フレームもホイールも軽いTCR はやはりそうだよなという感じ。このバイクのタイヤは28Cであり、それでこの安定感だとすると25Cにすると不安を覚えるかもしれない。横風による煽られ方はTCRの方が少ない。
コーナリング
コーナーの挙動はとても素直に感じた。狙ったラインをちゃんと走れる。切れ込みもしないし、アンダーでもない。ハンドリングの重さはemondaよりやや軽いかというレベル。25Cだとキビキビするだろうと想像する。
下り
軽いバイクだが直線的な下りでは何ら不安を感じさせない。この軽量で流石だと感じる。
登り
ここが一番気になっていたところ。まず一言で表現すると「速い」。もう少し細かく感じたことを書くとトルクかけるよりケイデンスを少し上げ目で登った方が良く思った。踏み心地がemonda比較で硬い。しなりやタメというかそういう余裕はほとんど感じない。よってトルクをペダル回転方向以外に力かけてしまうとその反力が脚にそのまま返ってくる。綺麗にトルクかけられる人ならばトルクフルに走れるが、そうでない場合や疲れてきた場面では踏み負けて進みにくく感じるのではないか。
ダンシングに切り替えてペダルを下に押し込むと、これもしなる感触なく踏み下ろした瞬間に車体が進む。
硬さについて勘違いしてはいけないと思ったことは「踏み心地は硬い」のであって「サドルから来る振動や突き上げは非常にマイルド」だ。踏み心地は硬く、座り心地は非常に良い。
試乗会場に向かう途中に3.8kmほどの細かいアップダウン込み緩斜面(Ave1.6%)のタイムをemondaで計測しておいた。そしてTCR で同じコースを走ってみると以下だった。
・emonda:8:11 249W NP252W 76rpm 130bpm
・TCR :8:01 249W NP251W 74rpm 132bpm
パワーメーターはassioma duoで同じである。風向きや強さの違い、ポジションのずれもあるが、TCR の方が速かった(N=1)。斜面での機敏さがTCR の方が良く、恐らくホイールの軽さが寄与していそうだ。
スプリント
グッと力かけていくとわずかにBB周りがしなるか?と感じさせながらグングン加速する。全力スプリントではないがヘッド・ハンドル部分も不安になることは全くなく力をかけられる。クリテリウムとか加速を繰り返すレースには持ってこいだと思う。
・総評
GIANTのバイクを乗ったのは初めてだが、TCRは非常に良いバイクだと感じた。登り特化する人で高ケイデンスが得意な人、又は綺麗にトルク掛けられる人にはこの試乗スペックで不満も少ないだろう。(勿論カッコいい、欲しい、乗りたいというだけでも十分買う理由として良いと思う。趣味の世界としては大事な要素。)
ホイールを50mmに変えるとよりロードレース向きになるだろう。タイヤは振動吸収やハンドリングを考慮して28Cが良いと思う。
一方で今回試乗だけで(懐があったと仮定して)すぐ購入したいかと言われれば、Noかなと思う。emondaに飼い慣らされた脚には"踏み心地"がやや硬い。そしてしっかりと合ったポジションでもうちょっと乗ってみたいと思った。TCRへのトルクの掛け方が分かればたぶん走りが化ける、そう感じさせるバイクだった。
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