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二十歳(はたち)の誓い

 先日、成人式をニュースで見た。今は二十歳のつどいともいうのかな。色鮮やかな振袖姿の若者達は見ていてパワーがもらえる。まあ、パワーがありすぎて毎年酒を飲みすぎ救急車のお世話になったり、殴り合ったりお馴染みの光景をみるが。車で暴走しないように警察が張り付いたり警備は徹底しているなと(歩道に車で乗り上げる暴走車もいた危険である)

 あれは20年以上前だったか、成人式を少年院の中で迎えた。少年院の中で19歳から20歳になってしまった少年少女はおそらく院内で祝い事を全国でやると思う(他の少年院はわからないが)。少年院の中でもその日はなんとも言えない気持ちになる。服装はワイシャツにブレザーを貸しだらされビシっとさせてくれる。少年院側も並ならぬ気持ちのこもった、配慮の効いた大イベントである。イベント名は「二十歳の誓い」である。体育館で催されるこのイベントには保護者や関係者など呼ばれ、式を観にくる事ができる。

 院生は静粛な式の進行を粛々と見守り、最後に1人1人壇上にあがり(ここが緊張するのだが)自分で時間をかけて書き上げた「二十歳の誓い」というお題の作文を皆の前で読む。
皆それぞれその時の気持ち、未来への希望(野望?)を話すのだが、今は何を話したのかもう覚えてない。ただ虚勢を張りいきがった文だったようなくらいしか‥ それでも緊張を振り払い大声を出した。

 式典の後、一番皆が楽しみにしていたのが面会である。シャバの新年の様子や地元ネタや交際相手の事、好きな相手の様子、聞きたい事が山ほどあるからだ。(出院後だいたい別れてしまうのだが 笑) 

 立派な式典であった。施設側、先生側の心遣いが伝わる。こういうイベントは他の国の更生施設でやるのかわからないが続けてほしいと思う。

 少年院とは罪を犯した未成年者の更生施設である、常時4千人近くの少年少女が収容され、反省と社会適応のため規律ある日々を過ごしている。青春の日々、少年達の胸底深く燃えさかるものは、果たしてなんだったのか‥と。ふと成人式のニュースなど見ると密かに記憶が蘇る。

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