2018.07.06 街が水没した日のこと。(1)
はじめに
僕は真備町住民ですが、今回の災害で幸運にも水没を免れました。
ですから厳密には被災者とは呼べません。
これはそのような視点から見た、災害発生からの初動の記録です。
その点ご留意の上、お読みいただければ幸いです。
また努めて客観的事実を述べるようにはしていますが、
随所に主観的要素が混ざっています。ご了承ください。
2018.07.06 18:30 ~
梅雨前線による連日の雨模様で少し憂鬱ではあったが、
定時に仕事を終えて帰宅。
身繕いしていた所、けたたましい音とともに緊急速報メールが届く。
この時点で自治体による避難準備・高齢者等避難開始の発令。
だが真備町が直接の対象ではなかったため、さほど警戒もせず
食事等を済ませる。
残っているデスクワークを片付け、それから速報メールの内容に沿って
情報を漁っていた気がする。
だがこの時点ではまだ、頭の中は仕事からの開放感と休日モードへの突入で事態をそこまで深刻に捉えてはいなかった。
この後、19:27, 19:28, 21:59, 22:01, 22:40 とこまめに緊急速報メールの
履歴が残っている。
19:27
土砂災害の危険性あり。倉敷市内の山沿いを対象に避難勧告発令。
21:59
高梁川、小田川の急激な水位上昇。真備地区全域に避難勧告発令。
22:01
高梁川、氾濫危険水位到達。堤防決壊及び浸水のおそれ。(国土交通省)
22:40
岡山県全域に特別警報。最大級の警戒をしてください。(気象庁)
事ここに至り、大変なことになってきたとは朧げに分かってきたけれど
僕はそれでも腰を上げずライブカメラの映像とにらめっこが関の山だった。
「高梁川が氾濫しないか心配だけど、仮に氾濫したら流域一帯は
どうしようもないなー」
というような事を、日常的に話題にしていた覚えがある。
つまり楽観視していたわけだ。
2018.07.06 23:30 頃
ベッドで横になって夢うつつだった僕の身体に、突然の衝撃が走る。
あまりの事に飛び起き(本当に飛び起きた。完全に)、
地震かと思って周りを確認するが地震らしき揺れも落下物も一切無い。
つまり、身体だけが揺れた、ということになる。
この時僕が感じたのは『とにかく、尋常ではない』ということだ。
この不可解な衝撃で、僕の頭は休日から一気に仕事モードに
揺り戻されたのを覚えている。
これが総社のアルミ工場の爆発の衝撃波だったと判明するのは後の話だ。
これに関しては、"総社" "爆発"などで検索すれば動画で確認できます。
※自宅は件の爆心地から直線距離にして3kmほどの位置
23:32
それと時をほぼ同じくして緊急速報メール。土砂災害のおそれ。
山沿いを対象に避難準備・高齢者等避難開始の発令。
今回は真備町も対象に含まれている。
この時点で僕は行動を開始。
・風呂に入る。まずは疲れた自身をリラックスさせたかったからだ
・同居の母親にも入浴を勧める。ただし入浴後もお湯は抜かないように。
・眠っても構わないが、いつでも避難できる準備はしておくよう伝える
23:49
緊急速報メール。小田川水位急上昇につき、南側が氾濫のおそれ。
小田川南側の住民に避難指示発令。
2018.07.07 00:00頃
日付が変わる頃、僕は情報収集と買い出しを兼ねて車で外出。自宅から車で5分ほど東にある、セブン-イレブン川辺店を目指す。雨足は激しいがこの時点では道中に浸水などはなく、無事到着。店舗は通常営業、物資もまだ半分ほど残っていた。弁当を数点とペットボトルの飲料を数本購入。
レジのスタッフに大丈夫なのかと尋ねた所、
「今のところなんの指示もないので営業してます、怖いですけど」
とのこと。
おそらくは店舗のオーナーのご家族の方だったと記憶しています。
ですが、再開後の店舗にはオーナーの姿は見られませんでした。
無事だとよいのですが
もう少し足を東に伸ばして、高梁川に架かっている川辺橋へと向かう。が、この時点ですでに警察により橋は封鎖されており、迂回して帰路につく。
店からの帰り道、避難所に指定されている岡田小学校に入る道を通過。
だが既に避難所は満員、道路では役所からの人員が2名ほど交通整理に
あたっているのを目にする。
この時点で避難先のアテが一つ潰れた事を実感する。
00:15
緊急速報メール。高梁川の急激な水位の上昇のため、倉敷市内4区域に避難勧告の発令。(真備は対象外)
この時点で僕が最も警戒していたのは、高梁川の氾濫だった。
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