クリスマスイブとラッキーアイテム

12月24日。

今日はクリスマスイブだ。
別段いつもと変わらない朝。
変わらないんだけど、今朝はやたらと彼の顔が思い浮かぶ。


今日のラッキーアイテムはパープルのアイシャドウ。
自分では買わない色だったけれど、妹からの誕生日プレゼントで貰ったアイパレットの中にその色はあった。
何気なくメイクの時にその色を少し瞼にのせる。



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ごくたまに、駅に向かう途中で彼とすれ違う時がある。
少し向こうから歩いてくる彼を見つける。
私はすれ違うかもしれないと思っているから、いち早く彼に気づく。
どんどん近づく。鼓動が少し速くなる。

すれ違うときに、挨拶をするわけではく、ただ会釈するだけ。
彼が明後日の方を向いていて、気づかないで、会釈すら空振りな時だってある。その程度。
言葉を交わすわけではない。
それでも一目見れるのは嬉しかった。
それは本当に一瞬だけれど。
それでも、嬉しい。

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木曜日は休みだと誰かから聞いて知っていた。
だから、今日は絶対すれ違うはずがなかった。

だけど、曲がり角で、すれ違った。
少し下を向いてたから見間違いかと思った。
会いたい気持ちが幻を見せたのかと。

すぐに振り返ったけど、見失った。
幻覚かと思った。けれど、一瞬とはいえあの距離で見間違えるはずがない。でも、それを確かめる術はなかった。


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仕事が午前中で終わってしまったので帰宅。
ロッカーで着替え、バス停に向かう。
バスを待ってる間、また、彼の事を考える。
病院も今日は午前中で診療が終わる。
もしかしたら?なんて事を思う。
見間違うはずがない。でもやっぱり、見間違いだったかもしれないんだから、それはないよ、と思いを打ち消す。

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バスが予定時刻より遅れていた。
反対側のH駅行きのバスが通ると、もしかしたら彼が乗っているかもしれないと、見てしまう。
乗っていたとしても見えるわけないのに。

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バスが駅のロータリーにゆっくり入る。
どの番号の乗り場で降車するかは、その時によって違う。

以前彼が一番のバス乗り場に並んでいるのを見かけた事があった。
私の乗っているバスもどうやら、一番乗り場に停車しそうだ。

彼が並んでいないかな。並んでたらいいな。そんな事あるわけない。
などという考えが浮かんでは消える。
一番乗り場につく手前で、乗り場に目をやる。
私は息を飲んだ。
彼の姿を目に捉えたから。
信じられなかった。まさか、こんな事が起こるとは。


朝すれ違ったのは、紛れもなく彼だった。幻覚でも、見間違いでもなかった。

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バスから緊張した面持ちで降車する。
彼との距離が近くなる。
彼に目線を向ける。
彼は正面を向いていた。
私に気づく。
私が会釈をすると、彼も会釈を返してくれた。
少し緊張したせいか、ぎこちない会釈。
そして私は駅に向かう。
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ドラマならこの後何か展開があるのかもしれない。
だけど、私にそんな事が起こる訳がない。そんなに上手くはいかない。

だけど、私にとって、朝と午後に起きたこの出来事は色々な偶然が重なって起きた奇跡と言っていい気がする。

クリスマスイブにラッキーアイテムがもたらしてくれた奇跡だったのかもしれない。

         end
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今まで書いたnoteの中で一番長い文章になったのではないかなと思います。
拙く読みづらい点が多かったとは、思いますがご容赦ください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました
m(_ _)m

最後までお読み頂きありがとうございます!貴方のほんの少しになったら嬉しいです(*´-`)