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狩りの神様 オショーシ Oxóssi

狩りの神様オショーシは森に生きています。またの名前を「オデー」といい、狩りをすることから人びとを飢えさせない、豊かさの神様とされています。オショーシを守護神に持つ人達は、好奇心旺盛で、単独行動派、エレガントです。忍耐強く、友好的で、無邪気。見た目は陽気で、いつも何か探しているように見えます。約束に現れる義務を感じていません。(思い当たる人が何人かいますね…笑)オショーシは狩った動物、子ヤギ、トウモロコシとココナツでできた料理を好み、はちみつに目がありません。「オケー、アロー」と叫ぶのが挨拶で、オファーという弓矢を持っています。ターコイズブルー、黄緑色をシンボルカラーとし、木曜日、6番の担当です。

Oxóssi(オショーシ) 背後にいる鳥とのお話をこの後ご紹介します

有名なブロコ・アフロのバンド、イレ アイエーの「Negrume da Noite」でオデーは歌われています。

マリエーニ・ヂ・カストロも「Oxossi」で歌っています。歌詞の中で「バイーアでは聖ジョルジ、リオでは聖セバスチァン」歌われているように、カトリックでは二人の聖人に合わされています。

東京オリンピック・サッカーでは、パウリーニョがドイツとの試合でゴールを決めた時に、オショーシのポーズをとって話題になりました。(新聞記事

恐ろしい鳥に立ち向かった狩人

イファー・預言者がまとめた、いくつものお話の中に、イファーがお話するのが好きなお話がありました。ただ弓しかもっていなかったのに、のち人々の英雄となった若い狩人のお話です。

おはなしはだいたいこんな感じです。

アフリカ、ケトゥの王国はお祭りをしていました。王様は宴の準備を命じて、その辺りの人たちみんなを招きました。
幾日もの間ひとびとは踊り、食べ、歌いました。
その村に住んでいた人たちだけでなく、周辺の人たち、森、山、平野の人たち、沿岸部の人たちも田舎の人たちも皆、招かれました。
近隣の街の王様たちは、代表する人を派遣しました。

朝早く
ひとびとは、一番立派できらびやかな服を見せびらかしながら、王様の宮殿の前の広場に集まりました。
大きな声で笑い、宝石を見せ合いました。
王様は広場の真ん中で、巨大な日よけの下にある王座に座っていました。
権威あるひとたちが挨拶にやってきます。
女の子たちと青年たちはいちゃいちゃしていて、子供たちはあっちこっち走り回り、太鼓の音と、たっぷりのごちそうがありました。

ですが、悪いことがもう始まっていました。ひどいことが起こったのです。
急に、太陽が恐ろしい鳥に包まれてしまい、広場に恐怖が拡がりました。
巨大な鳥が街のたてものの屋根をかすめて飛んできます。
そして王宮の屋根のてっぺんにとまりました。
逆立った黒い羽、ガラスの目ん玉、はがねのくちばし。
鳥がひと鳴きしたら、樹から葉っぱが落ちました。
食べ物は腐ってしまい、ひょうたんに注がれたワインは酸化してしまいました。
ふた鳴き目には、飼い慣らしていた家畜が荒れ狂い、イニャーミ芋の畑は枯れてしまい、井戸の水は塩の味になりました。
三回目に鳥が鳴くと、大地が揺れました。
王様は、重大な過ちを犯したのだなと理解しました。
全員をお祭りに招いていて、そこには魔女・フェイチセイラは招いていません。
フェイチセイラ・魔女は、復讐をしたいに違いありません。
馬鹿にされたと、軽蔑されたと思ったのでしょう。
そうですとも、それでこの恐ろしい鳥を遣わしたのです。
年寄り魔女鳥
あれは年寄り魔女鳥のしわざ、その土地の言葉で、イアー ミ オショロンガーと呼ばれています。

王様は急いで命じました。
「我が国で一番有能な狩人を呼び、あのひどい鳥を殺させろ」
イラレーの街から、50の矢を持ってオショタドターがやってきました。
モレーの街からは、オショトジーが40本の矢を持って。
イドーの街からは、オショトグンが20本の矢を持って。
みな、あの邪悪なけものを殺さなければ、自らの命もないと、王様に誓いました。
しかし、3人が皆、すべての矢を使いきってしまいました。
どれも、魔女・フェイチセイラには当たらなかったのです。
矢は虚しくはずれ、王様の命令で3人は捕らえられました。
鳥の攻撃はひどくなるばかりです。
王様は次にこの鳥が鳴いたら、男も女も子供たちも、みんな命を落としてしまうだろうとわかっていました。

イレンの街からオショトカンショショという狩人が、ただ一本の矢を持ってやってきました。
王様はこう言いました。
「鳥を殺すか、既に失敗したほかのものと一緒に死ぬかだ」
狩人は了解して、確認しました。
「魔女の力などわたしには恐ろしいことではありません」
オショトカンショショーの母は、群衆の中にいて、たったひとりの息子の命を思って魂が揺さぶられるような思いです。
もしあのケモノを殺せなかったら、息子を失ってしまう。
人生で一番大切なもの、息子を。
まもなく、狩人の母はひとだかりから抜け出て、イファー・預言者に助けを請いました。彼はブジオスを投げてこう言いました。
「あの鳥は、怒った魔女が送ってきたものだ。宴に招かれなかったので、復讐している。魔女をなだめなくてはいけない。その苦しみは、悪意に満ちている。悪の起源なんだ。」
ブジオスの占いを終えて、絶望している母にこう勧めました。
「鳥の女主人に捧げ物をするんだ。そして、彼女が落ち着くまで待とう」

狩人の母は、イファーが勧めたことをしました。
五羽の太った鶏を、デンデー油と塩、玉ねぎとピーマンで煮たものを魔女に捧げました。
イニャーミ芋のピューレで覆われて、上に16個の卵が乗せられて、はちみつと、椰子のワインが一緒です。
年寄り魔女が住んでいる樹の下にそれらを置いて、謙虚にこう願いました。
「このお供え物を受け取ってください、母上。そして私の息子を生かして。」
大喰いの魔女は、このお料理の香りに耐えられるはずもなく、
料理は美味しくて、全部食べて舌なめずりをしました。
五羽の鳥とその付け合わせを全部貪り食べたあと、ちょっと昼寝をしようとしました。
「ガリニャーダ(鳥の料理)に勝るものはないな」
そう言って、あくびをして、こう言いました。
「王の祭りはもう興味はない」

その間、広場では
狩人が、唯一の矢で射るべく準備をしていました。
狙いを定め、悪どい鳥の心臓に向けて、弓をめいいっぱいひいて、放ちました。
魔女が眠りに落ちている間に、狩人のただ一本の矢が弓を離れて、広場に長い大きな軌跡を描いて、群衆の沈黙に見守られながら、命中しました。
鳥の心臓を貫き刺し、有害な鳴き声をだそうというその瞬間。
あの卑しい鳥は、死んで、広場の地面に潰れ落ちました。
これでケトの王様は鳥と、魔女から自由になった!
狩人は人々の肩に担がれて、より歓喜に満ちて再び祭りが始まりました。
より一層の喜びと、より一層意味のあるお祭りになりました。
人々は起きたことを忘れることはありませんでした。今なお、その一本だけの矢の狩人のことを崇拝しています。
それから、彼はオショーシ、その土地の言葉で、「ひとびとの狩人」と呼ばれるようになりました。


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