「世界が引き裂かれる時」

https://www.unpfilm.com/sekaiga/#modal

つくづく思う、
戦争は映画を作る、しかし、映画は戦争を作らない。

2014年のウクライナ上空でマレーシアの旅客機が撃墜された事件を背景にした映画だが
制作時期は今のウクライナ戦争直前という何ともいえないタイミングだ。

マレーシア航空機墜落事件の現場となった村が舞台、
映画を見る前にこの事件を振り返ってみる必要がある。

2014年、
オランダのアムステルダムからクアラルンプールへと向かっていたマレーシアの旅客機が
ウクライナ上空で撃墜され乗客乗員298人が死亡した事件。
オランダの裁判所で審理が行われ
旅客機を撃墜したのはロシアから持ち込まれ、ウクライナの親ロシア派が支配する地域から発射されたミサイルだったと断定し
ロシアの治安機関の元大佐などロシア人3人とウクライナ人1人の合わせて4人が殺人などの罪に問われ
2022年11月に終身刑が言い渡された。
これに対してロシア外務省 “客観性や公平性ない”と判決は政治的で認めていない。

事件の時期すでにクリミア半島はロシアに併合され
ウクライナ東部では反ロシア派と親ロシア派の対立は激化していた。
その東部(今や有名な地名となった)ドネツク地方が舞台。
ラストシーンで親ロシア派の主人公に反ロシア派の義弟が言う
「お前は親ロシア派ではなく奴隷だ!」。

ともかく
ロシアのウクライナ侵攻が始まる直前の2022年1月、
第38回サンダンス映画祭ワールドシネマ部門で監督賞を受賞、
続く第72回ベルリン国際映画祭でパノラマ部門エキュメニカル賞を受賞、
さらに第95回アカデミー賞®最優秀国際長編映画賞ウクライナ代表にも選出される
など世界各国で41冠の栄誉に輝いた作品。


2023年6月17日 公開

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?