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#17 修学旅行 京都編(1)

剛は、制服のズボンのポケットから携帯を取り出した。メールが一件来ていた。受信ボックスを見ると、彩世からだった。
『今日の夜は、自由行動なんだろ?一緒にどこか行かないか?』と書かれている。剛は、『修学旅行なので、同じグループで行動することが決められているので、無理です』と打って、彩世にメールを送信した。
すぐに彩世から返信が来た。
『グループで行動するなら良いんだろ?俺も一緒に行きたい』とメッセージが来ている。剛は、携帯の画面を眺めて、立ち止まった。
「剛。どうしたの?」
柴咲が剛の携帯の画面を覗き込んだ。
「彩世さんからじゃん!」
剛は柴咲に画面が見えないように画面を手で覆った。
「勝手に見るなよ」
柴咲は、剛から携帯を奪うと、ボタンを操作し始めた。
「おい!何してるんだよ?」
柴咲は、剛から逃れるように走っていく。剛は柴咲を追いかけた。
「おい、どこ行くんだ⁉」と勇が柴咲と剛に声をかける。
「あ、彩世さん、柴咲です。夜の自由行動、大丈夫ですよ。一緒に回りましょう」と柴咲は言った。剛が柴咲から電話を奪い取った。
「彩世さん、困りますよ。学校のイベントに学校以外の人が来たら…」と剛が言った。
「俺…修学旅行って行ったことなかったんだよね。だから、一度は行ってみたかったんだ」
「え?そうなんですね。………それじゃあ…一緒に行きますか?」
「良いのか?」
「俺が許可するのも変ですけど、良いですよ」
電話越しに彩世の笑い声が聞こえる。
「ありがとな。どこに行けばいい?」
「そうですね。そうしたら…八坂神社に7時でどうですか?」
「わかった。着いたら連絡するな」
「はい。分かりました」
「ははっ…他人行儀だな。じゃあ、また後でな」
剛は電話を切って柴咲を睨んだ。
「何してくれてるんだよ」
「一緒に回った方が楽しいじゃない?」
「お前なぁ~彩世さんと歩いたら、どんなことになるか、想像がつくだろ」
「夜だから、大丈夫でしょ」
「二人とも、どうしたんだ?」と勇がやってきて、剛の肩を掴んだ。
「何でもないよ。次は、どこに行くんだっけ?」
「天龍寺だ」
「じゃあ、早く行こう」
柴咲が勇と剛の腕を取り、知多、吉見が居るところに向かった。


 彩世と夢幻は、京都駅で降りてコインロッカーに荷物を預けた。駅前のタクシー乗り場でタクシーに乗り、八坂神社へ向かうようにお願いする。タクシーは、彩世と夢幻を乗せて、発進した。
「俺も一緒に行っていいんですかね?」と夢幻は隣に居る彩世に声をかけた。
「良いよ。と言っても、俺はすぐに剛と行っちゃうけどな」
「柴咲さん、凹むと思います」
彩世は、夢幻の方を見て含みを持った笑いをした。
「だから、お前が必要なんだ」
夢幻は、彩世から目を逸らして笑った。
「なるほど」
道はバスやタクシーで混雑をしている。彩世は、タクシーの窓から道を歩く人たちを眺めた。ショッピングを楽しむカップルやスーツを着たサラリーマンに混ざって、制服を着た部活帰りの学生が見える。空は、日が沈みかけており、暗くなりつつあった。
「ようやく、俺らの活動時間帯だな」
「確かにそうですね」
10分程で八坂神社の前に着いた。夢幻がお金を支払い、二人はタクシーを降りた。彩世は、剛に電話を掛けた。
「…着いたんだけど、何処に居る?」
「彩世さん、どの辺りですか?」
「う~ん…交番が見えるけど」
「じゃあ、そのまま待っててください」
彩世が夢幻と一緒に待っていると、向かいの道から白いTシャツにジーンズ姿の剛が見えた。その姿に諭を思い出し、兄弟で同じ服装かと思うと笑いが込み上げてくる。彩世は、被っていた帽子を取った。ピンク色の髪が露わになる。剛は彩世に気付き、駆け寄ってきた。剛の後ろから、柴咲、知多、勇、吉見がついてくる。柴咲は、黒いシャツにチェックのスカートを履き、腰にチェーンをたくさんぶら下げている。制服の時とイメージは変わらなかった。知多は、黒いロングワンピースに長袖の黒いカーディガンを羽織っている。勇は、ゆったりとしたベージュのⅤネックのシャツに紺のパンツを履いていた。吉見は、白のTシャツに迷彩柄のカーゴパンツを履いていた。
「わ~彩世さんの服装、やっぱり違うね」
彩世は黒のストローハットにサングラスをかけて、モノトーンの柄シャツに黒のスキニーパンツを履いていた。
「一緒に写真を取ってもらってもいいですか?」
「いいよ」と彩世は笑顔で応えた。
柴咲が吉見にインスタントカメラを渡す。
「あ、彩世さんとツーショットで。その後、夢幻さんとも」と柴咲が言った。
皆で写真撮影をした後、彩世は剛の肩に手を回した。
「じゃあ、俺らは、ここから別行動ってことで。じゃあ、夢幻、後でな」
「え?ちょ…彩世さん」
剛は抵抗するが、彩世は、構わずに手を挙げてタクシーを拾い、滑らかな動きで剛を乗せて去っていった。その場に居た全員は、彩世と剛が乗ったタクシーを見送った。


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