散歩道

「あの時はどうしたらいいかわからなかった」って言いたい。いま、どうしたらいいかわからないから。そんな今から逃れたい。どうしたらいいかわからなかった過去を振り返って「もう今はどうしたらいいかわかってるし」って思いたい。なんであんなことで悩んでたんだろうとか言ってみたい。
でもそんな時は永久にやってこないだろう。
いつまでたっても、おなじようなことで悩んでいる。いつもどうしたらいいかわからない。

こちらが正しくてあちらが間違っているという正解はない。二者択一ならどちらかに判断を下すだけである。だが、大概は二者択一というほど単純ではない。だから、何かを決めて、判断を下すだけである。

子供の頃から不思議だった。自分以外のみんなはなぜ目的を持てるのか。夢、希望、目標、目的、ありきたりな生活を送ること。普通に生きていくこと。
自分にとってのそれは、ただ与えられるものだった。親から、社会的な空気、雰囲気から、漫画から、メディアから、、、同級生から。

「しっかりやっておけばいい」私の父親の口癖だった。護送船団方式、終身雇用、年功序列の世の中であればそうであったかもしれない。
しかし世の中はかわっていく。だから価値観もかわっていく。現状は「しっかり」しているだけでは収入を得るのはなかなか厳しい。もし自分に子供がいたら「自分の頭で考えて稼ぐことが大切なんだよ」と教えるだろう。しかし、その考え方も数十年経てばまた陳腐化していく。

何週間ぶりかの休みに、夕方散歩に行こうと思ったら、雨が降っていた。その次の休みに夕方散歩に行こうと思ったら、ちょうど雨があがった。日がしずんでいく。その中でぶつぶつ独り言をいいながら立ち尽くす。あたりはだんだん暗くなっていく。

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