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「甘いものの食べ過ぎが原因」はあり得ない


「君ねえ、甘いものの食べ過ぎだよ。問題は君自身にある。考え方を変えなきゃならんよ、考え方を」

 やや、高圧的な態度で、その医師はぼくに言いました。

「脱ステロイド中なんだね、かまわんよ。ステロイドを使わなくても、アトピーは治るよ。そのためには、考え方を変えなければならない」

 あまりに自信満々なその態度に、疑問を抱く余裕もなく、ぼくは圧倒されっぱなしでした。

 診察中、甘草という漢方薬的なものの注射と、顎下リンパ節にメディレーザーを照射する治療を受け、最後に、「アトピーを改善させるために」ということで、甘いものを控えること、睡眠を含めた生活習慣を正すことなどが書かれた紙を渡されました。また、ぼくはその時脱ステロイド中であったため、処方されたのは保湿のためのヒルドイドローション®のみでした。窓口での会計時、2万円弱を請求されて少し驚きましたが、「これだけ丁寧に診察してくれたのだから、仕方ない」と、一応納得しました。

 睡眠不足で疲れきっていたぼくは、帰宅してヒルドイドローション®を全身に塗った後、倒れるように眠りました。当時、痒み地獄で普段なかなか寝つけませんでしたが、この時はすぐに眠れました。その病院で診察を受けたことで、少しホッとした気持ちになれたからだと思います。

◆◇

「ウギャー!」

 強烈な痛みで目が覚めました。寝る前に塗ったヒルドイドローション®が、寝ている間に全身に沁みたことによる痛みです。すぐにシャワーを浴びましたが、しばらくは痛みが消えませんでした。

 診察を受けた病院に急いで電話してそのことを報告すると、「沁みる場合は使用を控えてください」という極めてドライな回答が返ってきました。

 この病院へ行ったいきさつがあります。もともと、どこの病院にもかからず脱ステロイドを実行していたのですが、二度目のリバウンドで痒みや炎症以外にも身体にさまざまな異変が起こり始めました。それでさすがに怖くなってきたため、自宅から行ける範囲で、ステロイド外用薬を使わないアトピー治療をしているところを探して行ったのです(総合病院の皮膚科)。

 病院のホームページには以下のようにあり、大いに期待して行きました。

理念

約45年前、医師になりたての私に『教科書は参考書、本当の教科書は目の前の患者さん』とおっしゃいました。これは私が『先生、先ほど患者さんに言われたことは教科書には出ていませんが・・・』と言った時の先生の言葉です。

この言葉の意味は『患者さんの皮疹をよく観察し、患者さんの話をよく聴き、検査を十分にした上で、教科書を参考にして治療する』ということであることが後でわかりました。

すなわち、『患者さん主体』の私達の診察方法は、この言葉を出発点としています。

ステロイドに対する考え方

ステロイドのおかげで多くの人の命が救われている反面、多くの人がステロイドのために苦しんでいるのも事実です。すなわち、ステロイドは『両刃の剣』であります。
 
アナフィラキシー・ショック、激しい苦痛がステロイドのみ有効と考えられる時はステロイドを使用します。

アトピー性皮膚炎、その他慢性の皮膚病の患者さんの場合は本人が希望しなければステロイドの使用はしないようにしています。

ただし、治療の途中で、苦痛が激しく我慢できなくなってきた場合は、本人の了承のもとにステロイドを使用することもあります。

 診察や治療は既述のとおりで、最初は疑問も湧きませんでした。逆に、ここで診察を受けたことでホッとした気持ちになれたほどです。しかし、ヒルドイドローション®の件で目が覚めました。

 まず、そもそも真っ赤に炎症しまくったぼくの皮膚を見れば、医者ならば、診察の時点でヒルドイドローション®が沁みることくらい分かりそうなものです。なので沁みる可能性の低い他の保湿剤を処方するか、それでもヒルドイドローション®が適していると判断したならば、沁みる可能性のあることをぼくに伝えておくべきでしょう。

 それに「甘いものの食べ過ぎ」と言われましたが、ぼくがそう申告した訳ではありません。医師が勝手に決めつけて、一方的に言ってきたのです。

 その時は圧倒されてただ聞いていたのですが、後から冷静に考えると、甘いものの食べ過ぎということはあり得えません。なぜならば、幼少期からもともと甘いものはあまり食べていないですし、さらに、ぼくはこの時しばらく甘いものを徹底的に控えていたからです。痒み地獄で睡眠こそまともに取れていませんでしたが、それ以外は、もう二度とあのようなことはできないと思うくらいストイックな節制生活を送っていました。ぼくの肉体美(皮膚はボロボロながら試合前のボクサーのようなバキバキに仕上がった体型)からも、それは一目瞭然のはずです。

『本当の教科書は目の前の患者さん』『患者さんの話をよく聴き、検査を十分にした上で、教科書を参考にして治療する』『患者さん主体の私達の診察方法』…ホームページに書いてあるこのような内容は、ただの建前である――ぼくにはそうとしか思えません。

 ちなみに、甘草の注射や顎下リンパ節へのメディレーザー照射は、ぼくには全く効果がありませんでした。

◆◆

「添加物の摂り過ぎが原因」のはずがない


「皮膚科・アレルギー科 漢方・ホリスティック医療」

 そう謳う看板を見て、そのクリニックへ行ってみました。駅から徒歩数分のところにあり、立地は抜群。また、自院のとてもおしゃれで綺麗な建物です。平日の夕方に行ったのですが結構混んでおり、1時間ほど待って診察室へ通されました。

 脱ステロイド中であることを伝えると、まず、口の中を診られました。風邪をひいた時に内科で行われる、あれです。皮膚科でこのようなことをされたのは初めてです。

「あー、やはり食品添加物を相当摂っておられますね、舌の付け根を見れば分かります」

 20秒ほど診て、院長はそのように言ってきました。

「失敗だ、ここもダメだ」

 すぐにそう思いました。なにせぼくは、無添加無農薬生活をこの時点で7~8年継続していたのです。食事に使う食材のすべては、おそらく日本で一番厳しい基準で食材を扱っている自然食品宅配会社のA社から取り寄せたものです。時々、付き合いで外食することはあるものの、基本的にはずっと無添加無農薬の生活をしてきていたのです。

 ですから反論しようとも思いましたが、「この後、どんなことをされるのだろうか」と妙な興味が湧き、何も言わずそのまま診察を受けることにしました。

院長:
「では、この女性と手をつないでください」

 助手の女性と手をつなげとぼくに言ってきています。言われたとおり、ぼくは女性と手をつなぎ、女性のもう片方の手は、院長の手を握ります。つまり、ぼく、女性、院長という順番で、三人で一直線に手をつないでいるのです。

 その状態で、院長は何やら天秤のような機材を持ち出し、そこに、(容器に入った)何種類かの薬を載せたり降ろしたりして、首をかしげながら、ぶつぶつ独り言を言っています。

 少しして、「これだ」という感じで薬が決定されました。

院長:
「これと、これが、今のあなたには合うはずです」

ぼく:
「はぁ…」

 どんな理由で「これが合うのか」といった説明はありません。ぼくは、処方箋については丁重にお断りし、診察料千円だけ払って病院を後にしました。

 帰宅してこのクリニックのホームページを見ると“日本ホリスティック医学協会”“ドイツ振動医学推進協会”などという言葉が見られます。また、以下のようなモットーで診察を行っておられるようです。

皮膚およびアレルギーに関するあらゆるトラブルの診療をおこなうクリニックであるとともに、ホリスティック医療を積極的に実践するクリニックでもあります。

ホリスティック「Holistic」とは、「全体」「総合的」という意味です。つまり先生が実践したいホリスティック医療とは、患者さんの体を丸ごと診る医療。

例えば、全身に広がるじんましんやアトピー性皮膚炎、原因は、肌表面だけにあると考えますか?それとも体の抵抗力の低下と考えますか?両方考える方が、お肌も身体もハッピーになりますよね?!

院長が実践したいのは、そんな「ホリスティック医療」なのです!!

「病は、気から」という言葉があるように、東洋医学では「気」という概念があり、この気の乱れが、病や精神の不調をきたすと考えます。ですから漢方は対症療法(例えば、痛みなどの不快を和らげる。)だけでなく、体質改善(たとえば、痛みを引き起こしている原因が血行不良なら、血流も促す。)が可能なのです。

この「気」を英語に訳すと「エネルギー」。西洋では、このエネルギー療法がまた東洋とは異なる形で発展してきました。バッチフラワーは、お花のエネルギーを、お洒落として定着しつつあるパワーストーンも、元は天然石のエネルギーを利用した療法なのです。

先生がお薬の選定をする際おこなう「不思議なテスト」もエネルギー療法を活用したものです。

お薬の成分・お薬が持つエネルギー・患者さんの身体のエネルギー、全てを総動員して先生は、診察をおこないます。

西洋医学が、飛躍的に発展した日本ですが、実は代替医療後進国。エネルギー療法はまだまだ身近ではありませんが、決して不思議、奇妙な療法ではないのです。

 『先生がお薬の選定をする際おこなう「不思議なテスト」』に魅了されてか、待合室には何人もの患者さんがおられたので、一定の需要があるということなのでしょう。確かに、看板やホームページを見ると、何かやってくれそうな雰囲気があり、一度受診してみたくなる気持ちは分かります。

 しかし、ぼくはもう二度と受診しませんでした。

◆◆

空論による屈辱を決して忘れない


 先の2つの病院の医師は、ぼくの実際の生活を知らずに「甘いものの食べ過ぎや食品添加物の摂り過ぎが原因」と決めつけてきました。実態とかけ離れたことを言ってきたのです。つまり、少なくともぼくのアトピーに対しては「空論」(現実とかけ離れた、役に立たない理屈)であり、2人の医師はただ、持論を諳(そらん)んじたに過ぎないということです。

 “持論”と言えば聞こえが良いですが、日々の診察でアトピー患者の実態から得た見識ではなく、受け売りの説をそのまま言っているに過ぎないと思います。なぜならば、診察において患者であるぼくの実態を無視しているからです。いずれにしろ、「アトピーが酷い奴はどうせこんな奴だろう」という偏見をもって接しているとしか思えず、「だらしない奴」と侮辱された気分になりました。

 しかし、これらの病院で味わった屈辱により、反発心から「アトピーの(本当の)正体をぼくが絶対に暴いてやる!」という気持ちがより一層強くなりました。そして実際に、アトピーの正体を暴くことができたのですから、その意味では、必要な経験だったのかもしれません・・・

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アトピーは、本当は『完治』する。
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