午後の紅茶のマーケティングトレース
初のマーケティングトレースに挑戦してみます。
記念すべき最初のお題は、日頃から愛飲している「午後の紅茶」。特に「おいしい無糖」は甘さ控えめでスイスイ飲みやすく、どんなシーンにでも合う飲み物で、最近はアナ雪2とタイアップしたキャンペーンを展開しています。
マーケティングトレースの生みの親である、黒澤さんが2月20日に出版する書籍の4章を公開していたので、そちらを参考にして書きました。温かい目線で読んでいただければ。
企業概要
会社名:キリンビバレッジ株式会社
従業員数:3,615名(2018年12月31日時点)
資本金:84億1,650万円
売上高:2848億円(2018年度実績。キリンHDとしては1兆9305億円)
PEST分析
黒澤さんのこちらのフォーマットを引用して作成しています。
この中でも特に注目したいのが、「原料、物流コストの高騰」と「健康志向の強まり」です。
健康志向については、国策的な流れもあり、各メーカーが糖質を抑えた商品を開発したり、ジム通いが一般的になりつつあります。
その中で当初からの午後の紅茶ラインナップであるストレートティー、ミルクティー、レモンティーは「甘すぎる」という印象が消費者にとっては強く、昨今の健康志向の強まりの影響も受けて、20代後半以降の層が離れているようです。
その流れの中で、8年前にリリースされた「おいしい無糖」はまさに健康志向のユーザーにはぴったりの商品でした。当初のプロモーションとしては「おにぎり公式飲料」としての紅茶でした。
「米と紅茶は合わないもの」という既成概念を覆す大胆なプロモーション施策を展開することで、離れたユーザーを再度獲得することに成功します。
ミルクティーに関しても甘さ控えめの商品を新規で展開しています。「カフェラテ、卒業しました」というキャッチコピーを打ち出し、甘くない本格派のミルクティーとしてブランディングしています。
また、原料・物流コストの向上は、輸入元のスリランカでの茶葉の価格が上がったり、原油高騰による物流コストの値上げ等があります。その中で、安定的に売上を出すためには、新規ラインナップを充実させるよりも、現状のファン層にしっかりとリーチして、なるべくコストを抑えた戦略を取りに行く必要があります。
4P分析
(文字小さくてすみません。。。)
プロモーションに関しては、CMを展開しており、起用モデルは深田恭子さん、新木優子さん、リリー・フランキーさん。
ターゲットとしている20代後半〜30代と同世代の方を起用することで、共感を得るCMプロモーションを展開しています。
また、特筆すべきはTikTokによる、小型の温かいボトルを用いたプロモーション戦略。
TikTokのユーザー層は10代の若者ですが、そのセグメントに対しては、ミニボトルを用いたプロモーション戦略を展開し、見事に成功しています。同じブランド内でも、商品ラインナップごとに訴求するターゲットを変えて、異なるプロモーションを展開しているのは、素晴らしい戦略だなと思います。
商品・流通に関しては、上記のミニボトルの他、冬用のホットティーに加え、自販機専用サイズ、コンビニ専用サイズと2Lサイズがあります(コンビニと自販機専用サイズはおいしい無糖限定)。
おいしい無糖のボトルサイズが大きい理由を推察するに、コンビニの600mlサイズは、オフィス内で飲んで欲しいということがあるのでは、と考えます。
三菱地所のオフィスにて、無料でおいしい無糖を配布し、パフォーマンスがどれだけ向上するのかの実証実験をしているようで、恐らく今後はオフィスワーカーが常飲するポジションを狙っていきたいのではないかと考えています。
オフィス街にあるコンビニで、500mlボトルと同じ値段で600mlボトルが売られていることで、お得感もありますし、お弁当を食べ終わった後でも定時まで飲み切れるちょうど良いサイズ設計になっているのではないかな、と思いました。
自分がCMOだったら
自分がCMOだったら、無糖のプロモーションを、オフィスで働くシーンをメインとしたCMで展開して、仕事中に常飲するポジションを狙っていきたいなと考えました。
現在、コーヒーが従来の缶コーヒーからペットボトルでの販売戦略に切り替わってきたことが、オフィス飲料の競合として非常に大きい存在に見えます。
お茶・コーヒー・紅茶という三者の競争で考えた時に、よりターゲットに訴求するためには、カフェインレス等ではなく、お茶とコーヒーのいいとこ取り(食事にも合ってカフェインも摂れる)というプロモーション戦略を展開し、オフィスビルの自販機に関しては600mlのボトルをラインナップに加える等のマーケティング戦略を図っていく、ということを考えました。
最後に
初マーケティングトレース、まずはアウトプットすることを目標にしていたのですが、もっともっと内容を向上させられる気がしますね。
それにしても、マーケティングトレースをやると、企業のかなり細かい部分まで知ることが出来ます。
例えば、キリンHDとFANCLが協業関係にあり、R&Dや医薬品開発に乗り出している、という情報も恥ずかしながら今回で初めて知りました。。。
「自分がCMOだったら」も、なかなかに難しい。思慮の浅さを思い知らされます。。
まずはどんどんアウトプットしていきたいので、フォローいただけると幸いです。
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