【遊戯王】植物族デッキのすすめ

はじめに

私はマスターデュエルから遊戯王を本格的に始め、(幼少期にカジュアルにやっていた頃を除くと)遊戯王歴はちょうど1年ほどです。
これまでHearthstoneやシャドウバースを程々に遊んだ経験があります。特にオリジナリティのあるデッキ構築をするのが好きで、ブログなどで発信などもしました。

そんな私が遊戯王を始めて何種類かデッキを組みましたが、その中で一番構築が面白いと感じたデッキが植物族デッキです。正直まだ納得のいくデッキが組めていない状況ではありますが、現状分かっている範囲で植物族デッキについて解説していきます。

植物族の特徴

植物族モンスターはおおむね以下のような特徴があります。

  • 展開力や継戦能力が高い

    • 蘇生や特殊召喚効果持ちが多め

  • 攻撃力/守備力がかなり低い

  • モンスターに対する妨害や除去が強い

  • 魔法・罠に弱い

  • 植物族汎用カードが豊富

  • 型によってはその他の汎用サポートカードの恩恵も受けられるため、初動が安定する。

この中で今回の話題で着目していきたい特徴が、下2つの汎用カードに関する特徴です。

植物族汎用カードについては、ローンファイア・ブロッサムバラガールスポーアをはじめとして、特定のテーマに属さない強力な種族サポートを持つカードが多く、多様な選択肢の中から採用カードを自分なりに選べる楽しみがあります。

また、植物族に関するテーマのうち"サンアバロン"を組み入れる場合、1枚初動札がレベル1通常モンスターの"聖種の地霊"となります。予想GUYワン・フォー・ワン苦渋の決断などの通常モンスターやレベル1に関する強力な汎用サポートカードがあるため、初動札にアクセスできるカードを好きなだけ積めるようになります。

このようにサポートカードが多く用意されていることから、以下の観点でデッキ構築の幅が広がります。

  • 1枚初動札を多数採用できる

    • サンアバロン型の場合、12-13枚程度は無理なく1枚初動札を積める

    • 初動の安定性が非常に高いため、遊戯王のデッキ構築の定石である"40枚デッキ"にこだわらなくてもあまり弱くならない

      • ほとんどのデッキでは初動に繋がるカードの数は限られるため、40枚デッキにして初動の安定性を可能な限り高めるのが良いとされる

  • 展開パーツとして使うカードの選択肢が広く、展開ルートに個性を出せる

植物族のテーマについて

植物族デッキでよく使われるテーマについて解説していきます。


サンアバロン

サンアバロンはレベル1通常モンスターが1枚初動となるテーマで、展開パーツを4枚(メインデッキ2枚、EXデッキ2枚)用意するだけでモンスターを4体並べられるという驚異的な展開力を持ちながらも、前述のように非常に高い初動安定性も兼ね備える点が魅力のテーマです。特に、召喚権を使わずに初動札を場に出せる予想GUYとワン・フォー・ワンを採用できる点が強く、1妨害では止まらないこともよくあります。
植物族デッキでは、安定した初動と大量展開のパーツとして、真っ先に採用が検討されるテーマと言えるでしょう。

基本となるサンアバロンの展開はリンク1モンスターしか使いませんが、後述するアロマージの展開を経由しつつ、リンク3, 4と繋げることもできます。しかし、リンクモンスターを増やす方向でデッキを構築する場合、最終盤面の妨害数は多くなるものの、EXデッキのほとんどを1ターン目に消費してしまうことになります。継戦能力と最終盤面の妨害数はトレードオフの関係にあり、そのバランスの取り方が難しいです。

また、サンアバロンの初動展開を使うと、EXデッキから植物族以外のモンスターを特殊召喚できなくなる縛りが付く点は注意が必要です。

アロマージ

LPの回復をトリガーとした効果や、相手よりLPが多い状態で有利な永続効果を発動するカードが多いテーマです。サーチやリクルート効果が使いやすいアロマセラフィ-ジャスミン (リンク2ジャスミン)、恵みの風をサーチしつつ、恵みの風の回復効果をトリガーにカードを破壊できるアロマセラフィ-スイート・マジョラム、展開を伸ばしつつリンク2ジャスミンのサーチ効果を起動できるアロマージ-ローリエが良く使われます。

サンアバロンのリンク3以上を出したい場合は、ローリエなどによって展開兼LP回復を行い、リンク2ジャスミンの(なぜか同名ターン1制限のない)サーチ効果を起動させることで、リンク数を稼いでいくことになるでしょう。
スイート・マジョラムを採用する場合、特殊召喚と再利用がしやすいレベル3チューナーであるバラガールも合わせて採用すると、展開の途中でスイート・マジョラムを出しやすくなります。

サンアバロンの展開を伸ばす目的ではEX枠を多く消費するものの、スイート・マジョラムを出すだけに留めるのであれば、メインデッキ・EXデッキ共に採用枚数は少なく済みます。しかも、スイート・マジョラムとリンク2ジャスミンを最終盤面に残す場合、恵みの風によるリソース回復、スイート・マジョラムによるカード1枚破壊、リンク2ジャスミンによる植物族のサーチが毎ターン行えるため、継戦能力が非常に高くなります。

スイート・マジョラムを採用する際の欠点は、チューナーのサーチがリンク2ジャスミン頼りになることと、スイート・マジョラムのレベル6シンクロの出し方がローンファイア・ブロッサム+バラガールかスノードロップ+バラガールのほぼ2択のため、展開ルートがかなり制限されてしまうことです。

六花

継戦能力と対モンスターの妨害・除去が強力なテーマです。六花来々の②効果のリリースによるモンスターの除去と、六花のしらひめによる使いまわせるモンスター効果無効が凶悪です。

効果は強力ではありますが、メインデッキも含めて植物族モンスターしか特殊召喚できないという重い縛りが付きます。植物族以外を特殊召喚するテーマを組み込む際には注意が必要で、基本的に六花の展開は最後に回すことになるでしょう。

また、六花単体では展開力が低めで、用意できる妨害数も少ないです。ランク5以上の植物族エクシーズを自由に採用できるため対応力はそれなりにありますが、メインデッキ・EXデッキ共にデッキスロットをかなり消費します。採用カードを減らすと六花の良さの1つである継戦能力が落ちてしまいますが、かといってこれらのカード枚数を増やしすぎると、六花単体でのポテンシャルの低さにつられてデッキパワーが頭打ちする懸念があります。採用枚数の調整が難しいテーマです。

セリオンズ

セリオンズ自体は植物族テーマではありませんが、植物族であるセリオンズ"リリー"ボレア1枚から、召喚権を使わずにセリオンズ"キング"レギュラスのカードの効果に対する無効効果、またはセリオンズ・クロスによる対モンスターの妨害に繋がる点が優秀なデッキです。魔法・罠に弱い植物族にとって、種族が異なる不便さはあるものの、キングレギュラスの万能1妨害はぜひとも欲しい効果でしょう。

また、攻撃力が総じて低めの植物族において、セリオンズはメインデッキだけで完結する高い攻撃力を提供してくれます。さらに、これらのモンスターはレベル8であるため、六花でも用いるランク8エクシーズに繋がる点も優秀です。

セリオンズの出張セットは2ターン目以降にキングレギュラスが墓地に残ってさえいれば、リリーボレア1枚で召喚権を使わずに万能1妨害を使い回せます。そのため、リリーボレアは可能な限り3枚採用しておきたいところです。

ちなみに、セリオンズの出張セットを採用するのであれば、セリオンズ・クロスも1枚採用しておくと良いでしょう。円盤闘技場セリオンズ・リングを素引きした場合でも、リリーボレアで自身を墓地に送ってサーチ効果を発動できるため、ニビルケアが安定します。

その他の植物族カード

植物族の制圧カードとしては、サボウ・クローザーが採用の選択肢に含まれるでしょう。
互いに特殊召喚できなくなる効果は、噛み合えばゲームが決まってしまうほど強力です。しかし、以下のデメリットも持ち合わせており、採用するリスクも高くなります。

  • 他の妨害を用意しにくくなるため、召喚権が余る展開の時しか他の妨害とサボウ・クローザーによる制圧を両立できない

    • 上振れの時しか役に立たないカードの採用により、デッキの安定感が下がる

植物族のその他の汎用カードとして、光の王 マルデルがあります。場に出たときに植物族をサーチできて展開を伸ばせるため、特にサンアバロンの展開に特化したタイプで輝くでしょう。
もちろんその他の型でも便利なカードで展開ルートが柔軟になりますが、マルデルに割けるデッキの枠がないことが多く、最終的に採用カードに残らないこともよくあります。


もちろん上記以外にも植物族テーマは存在しますが、サンアバロンや六花と良く噛み合ったカードはこのあたりになると思います。

植物族デッキ構築が難しい理由

最後に植物族デッキの構築の難しさについて解説します。

展開パーツが多すぎる

サンアバロン型の場合、メインデッキには最低でも聖種の天双芽聖蔓の播種を採用する必要があります。聖種の天双芽は素引きによって腐ってしまうタイプのカードであることと、聖蔓の播種は1枚採用時に妨害されるとほぼ負けなので、どちらも2枚採用が好ましいでしょう。

その他の展開パーツは、スイート・マジョラムを出す場合ではバラガールと恵みの風。サンアバロン側の展開を伸ばすなら、ローリエやアロマセラフィ-アンゼリカあたりが1枚ずつ採用されます。

この展開パーツに加え、1枚初動札の聖種の地霊と、それをリクルートできるロンファ、予想GUY、ワン・フォー・ワンはほぼ確定でフル投入。さらに初動札の安定感を重視する場合は苦渋の決断なども採用されます。

もうこれだけでもメインデッキが16枚以上埋まりますが、まだデッキパワーが足りません。
主力モンスターを採用したいのであれば、基本的にサンアバロンの展開を伸ばすか六花のテーマを加えるかの2択になりますが、今回は六花のテーマを加える場合について考えてみましょう。

六花の基本展開では、少なくとも以下のカードを使うことになります。

上記の基本展開1回分のセットを用意するだけでも、メインデッキの枚数は6枚増えます。六花の強みである継戦能力を活かすのであれば、しらひめ、ボタン、絢爛、来々の採用枚数を増やし、六花精スノードロップやテーマ内の罠(六花深々六花の薄氷)も1枚採用する必要が出てくるでしょう。

これらも(ひとひら以外は)単体で活躍できるカードではないため、15枚程度は展開パーツとなってしまいます。最初の手札で引く必要のないカードが多すぎるのです。

40枚デッキの物足りなさ

上記の展開パーツと初動札に対して汎用カードを加えれば、ひとまず40枚デッキの完成です。

この40枚デッキは一見隙のない構成に見えるかもしれません。しかし、先述の通り展開パーツが非常に多いことから、素引きする価値がないカードを素引きする可能性がかなり高いです。使ってみると分かりますが、初動展開では手札をあまり消費しないものの、手札で腐って役に立たないカードがずっと手札に居続けることになります。

その他、致命的ではないものの、以下のようなあまり良くない点がいくつかあり、物足りなく感じることが出てくるでしょう。

  • リンク2ジャスミンで毎ターン植物族をサーチできるのに、サーチして強いカードが少ない

  • 主力モンスターがエクストラデッキに偏っているため、相手の永続罠などで封殺されやすい

    • 特に攻撃力の低さが深刻で、メインデッキの攻撃力は全て1200以下

  • 魔法・罠による全体除去に弱すぎる

初動札が多いため、デッキ枚数を自由に変えられる

幸い、このデッキは苦渋の決断やひとひらによって初動札を増やせるため、以下の要素をバランス良く追加しデッキ枚数を増やせば、上記の不満をうまく解消できるでしょう。

  • 初動札

  • 手札誘発

  • 魔法・罠の除去カード

  • メインデッキに採用する主力級の植物族モンスター

    • 相手の魔法・罠を妨害できるモンスターならなお良い

デッキ枚数を自由に増やせる分、デッキをどこまで増やすか、何を重点的に強化するかによって、採用するカードとデッキ枚数は変わってくるでしょう。

従来の実質的な40枚固定のデッキ構築とは違い、デッキ枚数まで変えることができるため、デッキ構築の自由度が飛躍的に高まります。これこそが、植物族デッキの構築が難しくなる一番の理由です。

60枚デッキの一例

先に紹介した40枚デッキからカードを足していった結果の一例が以下の60枚デッキです。

主な追加カードと採用意図は以下の通りです。

  • セリオンズのテーマ一式

    • 自己特殊召喚効果持ちで、かつ妨害効果を使いまわしやすいため、採用枚数に対して継戦能力の伸びが非常に良い

    • リンク2ジャスミンでの植物族サーチの選択肢が大幅に強化される

    • メインデッキで完結する高い攻撃力を持つ

    • 魔法・罠に対する妨害手段を得られる

  • PSYフレームギア・γ

    • 相手の増殖するGを無効化できるカードの割合を極力減らさずに済む

  • 三戦の才

    • 相手の妨害に対するカウンターとなるカードの割合を増やす

  • スモール・ワールド

    • 初動札にも上振れ札にもなれるカード

    • 2:1交換だが、このデッキは手札消費が少ないため相性が良い

    • 基本的にどのモンスターカードからでも、主に聖種の天双芽を中継して、ロンファやセリオンズモンスター2種、各種手札誘発のサーチに繋がる

      • 聖種の天双芽の2枚採用を活かせる

  • 倶利伽羅天童

    • スモール・ワールドにより、ロンファか灰流うららを経由してサーチができる捲り札

    • 使う場面は少ないが、捲りの選択肢として1枚あると便利

その他の汎用カードはお好みで選びましょう。

なお、このような60枚デッキであっても、ひとひらを含む16枚の1枚初動札を先攻1ターン目で引く確率は80%程度あります。非常に安定感の高いデッキとなっています。


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