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少しずつ歩くこと poetry note No.12
この頤は船の舳先だ ぐいと突き上げ 背を反らし
波を切り裂くように 人の群れを漕ぎ分けてゆく
立ちはだかる闇と霧に向かって 少しずつ 少しずつ 歩いてゆく
そうすることでしか胸にわだかまる影の消えることはない
そうすることでしか目の前の黒々としたものの
何であるかを知ることはないのだと 独り言ちながら
自然がつくり出す文様と 人の手によって作られた形がリズムを刻む
それは波動となって空気をふるわせる そのゆらぎに囚われたのか
あるいは安息の場所を見つけたという錯覚に目が眩んだのか
のがれようのない心地よさが わたしの目を蓋い 耳を塞ぎ
静かな眠りへと引きずり込んでゆく
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