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ナルシシズム(自己愛)は,虚栄心や誇大な自己評価を伴うパーソナリティ特性です。特権意識もつよく,周囲の人が自分に対して特別扱いをするのが当然だと考える傾向もあります。 良い面はでは,ナルシシズムに良い面はないのでしょうか。 自信に満ちあふれていることは,必ずしも悪いことではないように思います。自己嫌悪的で自分に自信がない状態よりも,自分自身がある方が健康的に思えます。ナルシシズムの高さは野心の強さにも関連しますが,これも悪いというわけではありません。課題を達成しようとした
人の助言を上手く受け容れることができない人って,いますよねえ。 でも,時と場合による,ということもありそうです。意見を聞き入れるというのは,人の話を聞いて自分の意見を調整することを意味します。そのときに,どのような意見を自分の中にもっていて,どのような意見を耳にするかという問題です。 助言を受け入れる条件助言を受け入れる条件には何があるのでしょうか。 ◎自分の専門性 ◎助言を与える側が専門性を認識しているかどうか これに,個人差要因も関連してきます。たとえばナルシシズ
ナルシスティックな性格を伸ばすような幼少期の経験というのは,存在するのでしょうか。人間が幼少期の環境や経験によって,ある程度は影響されるのではないかというのは,直観的にもそう思いますし,実際に何かがあるのなら,子どもたちを育てる際の注意ポイントになってきそうです。 厳しさと予測不可能性生涯を通じてさまざまな認知過程や行動過程に大きな影響を与える社会生態学的側面としてよく研究されているのが,次の二つのポイントです。 ◎厳しさ(過酷さ):環境が個体に与える全体的な物理的負担の
日常生活の中でユーモアをもって生活することは,人生を豊かにしますし人間関係にとってもよい結果をもたらすのではないかと考えられます。 ユーモアのダークサイド普段の生活の中で,笑いながら生活したいですよね。しかし,笑いにはよくない側面もあるのです。日本語でも「嘲笑される」という言葉があるように,自分が現れることで不快感を抱く場合もあります。 また,集団に対して「嘲笑する」というケースもあります。自分の民族性を嘲笑される,自分の国を嘲笑される,自分が所属する集団が嘲笑されるとい
マキャベリアニズム(ほかの人を自分の利益のために使用する),サイコパシー(冷淡で倫理観を抱かない),ナルシシズム(誇大な自己評価と特別感)の3つの反社会的な特徴を持つパーソナリティ特性のまとまりを,ダーク・トライアドといいます。 恋愛関係の中でダーク・トライアドと恋愛関係とのあいだには,どのような関係があるのでしょうか。ダーク・トライアドのうち,サイコパシー特性は,恋愛関係に最もダメージを与えやすいと言われています。 サイコパシー特性が高いと,恋愛相手との関係を維持しよう
スポーツのコーチが,もしもとても自己愛が高く,ナルシスティックな人物だったら,何が起きるでしょうか。今回はそんな論文の紹介です。 コーチ日本語と英語のニュアンスが大きく異なるケースがあります。「コーチ」(coach)という単語もそのひとつではないでしょうか。 日本語で「コーチ」というと,監督の下で選手たちを直接指導するような役割をイメージします。プロ野球チームでも,監督の下に「バッティングコーチ」「ピッチングコーチ」など複数のコーチがいるイメージを,昔からもっています。
「どんな食べ物が好きですか?」と尋ねられたら,どのように答えるでしょうか。あれこれを思い浮かんできて,ひとつに絞ることも難しいかもしれませんが……。 食と性格パーソナリティ特性と食事との関連は,これまでにも検討されてきています。 たとえば,ビッグ・ファイブ・パーソナリティの神経症傾向は,個人が新しい食品を試したがらない食品恐怖傾向に関連することが示されています。また,これらの変数はともに,健康的な食事傾向に対してマイナスの関連を示します。, 近年,自己愛(ナルシシズム)
自己愛(ナルシシズム)には,おおきく2つのタイプが存在するという話が,数十年前から言われています。 ◎誇大なナルシシズム:壮大さの感覚,自己陶酔,対人優位性,自己顕示 ◎脆弱なナルシシズム:不安,対人的な退却,人間不信,脅威の知覚 タイプなのか併存するのか自己愛の誇大なタイプと脆弱なタイプ,などという表現がなされることがありますが,これらは「タイプ」として固定化したものではありません。理論的なアプローチでも,実証的な研究からのアプローチでも,これらは片方だけの状態をとるの
働きやすい環境というのは,どのような要素で成り立つのでしょうか。 人間関係が快適で,和やかな雰囲気があり,何でも自由に言い合うことができるような職場だと,過ごしやすそうです。 悪い職場職場に人間関係を台無しにする問題は,次のように従業員たちが認識することです。 ○「自分は周囲から無視されている」 ○「自分は排除されている」 職場での排斥(オストラシズム)は,自分が他の人から無視されている,排除されていると認識する程度のことを指します。社会的排除や孤立というのは,職場だ
「Doxing」とか,「Doxxing」という言葉があるそうです。ご存じですか?documentが語源で,個人情報を悪意をもってネットにばらまく行為のことを指すそうです。 ドクシング私自身,この言葉については知らなかったのですが,嫌がらせや脅迫,復讐,悪ふざけなどの意図をもって,個人情報や個人を特定できる情報をインターネット上で公開する行為のことを指します。オンライン上の非倫理的な行為のひとつです。 少なくとも,2010年代半ばくらいから,「doxing」という言葉は使わ
2022年の時点で,世界最大のマッチングアプリであるTinder(ティンダー)は,190ヵ国以上でサービスを提供し,1050万人以上の有料会員を誇るそうです。 利用時間利用者たちは,マッチングアプリにどれくらいの時間を費やしているのでしょうか。とはいえ,自分で把握している利用状況と実際の利用状況には乖離があるかもしれません。いちいち時間を気にしてマッチングアプリを使うわけではありませんからね……。 性格との関連これまでの研究でも,パーソナリティ特性とマッチングアプリの使用
政治家というのは身近でありながら,なかなかよくわからない側面も多い職業かもしれません。政治というのはダークなイメージも付きまといますし,政党や会派などグループに属している場合も多く,それがまた独特のイメージをもたらします。 集団集団的ナルシシズム(自己愛)というのは,自分が所属するグループは例外的で特別扱いされるべきだ,そのような特権があるという信念のことを指します。 集団に対しては,もう一つ似たようなものがあって,集団アイデンティティと呼ばれます。こちらは,ある集団の一
ナルシシズム(自己愛)の誇大な側面(自分に自信があって特別だと感じる傾向)を測定するよく知られた尺度に,Narcissistic Personality Inventory(NPI)があります。この海外の尺度の中には,「私は人を本のように読むことができる」という質問項目が含まれています。自分は他の人が考えていることくらい,ちゃんと理解しているよ,という意味かとは思うのですが……。 解読能力質問項目にそのような項目があるからといって,実際に他の人の考えや感情を読み取る力が高い
ちょうど私がサバティカル(研究休暇)で海外に滞在していた2017年頃,仮想通貨のブームが起きていました(いまは暗号資産と言った方がいいのでしょうか)。 調査によると,若年層は仮想通貨に大きな魅力を感じる傾向があって,実際に投資を行う割合も多くなっていると言われます。一時期のようなブームは去った感もありますが,今はどうなのでしょうか。 性格と仮想通貨最近は,仮想通貨に対する態度の研究も行われるようになっているそうです。そして,ナルシシズム(自己愛)傾向が,仮想通貨に対するポ