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研究生活セット

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研究活動,研究生活,研究環境に関連するトピックを集めました。研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセットです。
研究者の生活についてまとめた,研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセット…
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#妥当性

項目が少ない尺度は大きな問題をもたらすのか

「心理学のアンケートは質問項目が多い」というのは,多分野の研究者からよく指摘されるところです。心理学では,ある構成概念を本当に測定することができているのか,というところに研究の大きな労力を割きます。そのなかでは,信頼性と妥当性を確保して,ある程度安定して測定するために,複数の質問を組み合わせてひとつの概念を測定するということが行われます。 まるで,複数の問題を用意して国語,数学,英語などのテストをつくるようなものです。いや,考え方は全くと言っていいほど同じなのです。 また

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心理尺度構成のステップ(4)信頼性と妥当性

今回も,ある論文の中に書かれている,心理尺度を作成する手順について見ていきましょう。 第1回から第3回までの記事はこちらです。 この論文では,9つのステップが示されています。以下の通りです。 1.領域の特定と項目の作成 2.内容的妥当性の検討 3.プレテスト 4.サンプリングと調査実施 5.項目の削減 6.潜在的要因の抽出 7.次元性のテスト 8.信頼性のテスト 9.妥当性のテスト 今回は8.と9.になります。とうとう最後までたどり着けそうです。 今回はどこまで進め

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基準とは何だろうか

その昔,大学院生の頃のことです。とある先生がこう言っていました。 「よくわからないのに『何々妥当性』という言葉を安易に使わないほうがいい」 ということで今回は,この『何々妥当性』のうち,基準関連妥当性(criterion-related validity)という言葉について考えてみようと思います。この話は,心理学で質問紙尺度を使おうとする時以外にはあまり関係のない話だと思うかもしれません。しかしこれは,テストを作ろうというときや,何かで人を選別しようとするとき,合格・不合

収束的妥当性と弁別的妥当性

心理学で性格や態度や価値観を測定する時には,質問紙形式のアンケートがよく用いられます。そこでは,質問文(疑問文になっていることもそうではないこともあります)と,いくつかの段階からなる選択肢(あてはまらないを0点,そこからいくつかの段階を経てあてはまるを5点とか)を複数用意して回答を求めます。 あくまでも質問は質問であって現実ではない,というのが基本的なスタンスです。文章で尋ねても正直に答えてもらえるとは限りませんし,ちょっとした言い回しで回答が変わってしまうということも,実

見えないものを知るには色々な方法がある

今回の記事の内容のようなことは,ひとつの頭の体操だと思ってもらえればと思います。 何か曖昧なものを把握しようとすることは,研究をするときだけに試みられるものではありません。テレビ番組の中でもよく試みられますし,普段の生活の中でも考えるべきことがある可能性があります。ゲームをしてみたり,審査をしてみたり,クイズに答えたり,観察したり,さまざまです。 特に,抽象的な何かを測定するときには,その測り方が複数あるということを考えておくことは大切だと思います。 お笑いコンクールの