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研究生活セット

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研究活動,研究生活,研究環境に関連するトピックを集めました。研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセットです。
研究者の生活についてまとめた,研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセット…
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#推薦図書

グラフを動かして世界を知ろう

Gapminderというサイトを知っていますか? このサイトは,故ハンス・ロスリング先生が中心となって運営していたものです。ロスリング先生はスウェーデンの公衆衛生学者で,TEDの素晴らしいトークでも知られています。 このロスリング先生の本が,最近翻訳されました。この本もとてもおすすめです。ぜひ手に取ってもらいたいと思います。『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』 Gapminderには世界中の統計情報が

性格とは何かーーより良く生きるための心理学

2020年8月20日に『性格とは何か』が発売になりました。今回はこの本の紹介と,執筆の裏話を書いてみたいと思います。 内容本書の内容ですが,全体的には性格を巡るよくある疑問に対して,「こんな研究がある」と紹介しながら答えていく内容となっています。たとえば…… ◎赤ちゃんに性格はあるのか ◎性格は何歳で完成するのか ◎大人になっても性格は変わるのか ◎国によって性格は違うのか ◎県民性のような国内の性格の差はあるのか ◎性格は時代で変わるのか ◎社会の変化に合わせて性格も変

心理学者の伝記を読んでみよう

心理学の勉強をもう一段階,面白く感じるようになるコツは,研究者について知ることではないかと思うことがあります。 私の亡くなった指導教官もよく言っていたのですよね。「論文を読んだときに,書いた研究者の顔が思い浮かぶと,内容がもっとよくわかるようになる」と(この通りではなかったかもしれませんが)。 ということで,今回は心理学者の伝記本を紹介してみようと思います。 ハリー・ハーロウハーロウのアカゲザルの実験を聞いたことがありますか? 検索してみればすぐに出てくると思うのです

少しずつ増えることでいつの間にか大きな飛躍につながる

歴史の話を読んでいると,不思議に思うことのひとつは,「どうして何千年も低空飛行みたいな時代が続いたのだろう」「今みたいに発展したのがほんの最近なのはどうしてだろう」ということです。 今の私たちの世の中の発展を考えると,「これが当たり前のことだ」と考えてしまいがちです。しかし,人類の歴史全体を考えれば,今のような発展はほんの一瞬ですよね。 時間の長さ平成の30年間だけを考えても,その間にはインターネットとデバイスの発展というとても大きな出来事がありました。それを考えるだけで

ヨーロッパにいったときにホテルの浴室で抱く印象と『不潔の歴史』

先日,自分の靴下のニオイを嗅ぐのがクセになってしまい,おそらくそこから肺が真菌に感染して入院してしまった,という事例がニュースになっていました。 不潔の歴史こういう話を聞くと思い出すのは,私がこれまで読んだ本の中でもとても気に入っている本のひとつ,『図説 不潔の歴史』です。 どうして気に入っているかというと,この本に書かれていることが,自分があれこれともっているいろいろな断片化した知識を,互いにつなぎ合わせてくれるような知識を教えてくれたからです。 それはとても簡単な知

雑誌『児童心理』休刊ということで掲載させていただいた記事のまとめ

金子書房さんのツイートで,雑誌『児童心理』が休刊となることを知りました。 こちらがサイト上のお知らせです。2019年3月号(2019年2月12日発売,73巻3号)で休刊となるそうです。 児童心理は1947年創刊,2015年には1000号を発行した,長期間続く雑誌のひとつです。 私もいくつか児童心理に記事を書かせていただきました。それを振り返ってみたいと思います。 児童心理の記事は,仮タイトルがつけられた状態で依頼されます。おおよそこういった内容で書いてくださいという依