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研究生活セット

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研究活動,研究生活,研究環境に関連するトピックを集めました。研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセットです。
研究者の生活についてまとめた,研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセット…
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2022年9月の記事一覧

項目が少ない尺度は大きな問題をもたらすのか

「心理学のアンケートは質問項目が多い」というのは,多分野の研究者からよく指摘されるところです。心理学では,ある構成概念を本当に測定することができているのか,というところに研究の大きな労力を割きます。そのなかでは,信頼性と妥当性を確保して,ある程度安定して測定するために,複数の質問を組み合わせてひとつの概念を測定するということが行われます。 まるで,複数の問題を用意して国語,数学,英語などのテストをつくるようなものです。いや,考え方は全くと言っていいほど同じなのです。 また

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心理尺度構成のステップ(4)信頼性と妥当性

今回も,ある論文の中に書かれている,心理尺度を作成する手順について見ていきましょう。 第1回から第3回までの記事はこちらです。 この論文では,9つのステップが示されています。以下の通りです。 1.領域の特定と項目の作成 2.内容的妥当性の検討 3.プレテスト 4.サンプリングと調査実施 5.項目の削減 6.潜在的要因の抽出 7.次元性のテスト 8.信頼性のテスト 9.妥当性のテスト 今回は8.と9.になります。とうとう最後までたどり着けそうです。 今回はどこまで進め

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心理尺度構成のステップ(3)項目の削除と因子分析

今回も,ある論文の中に書かれている,心理尺度を作成する手順について見ていきましょう。 第1回,第2回に続く3回目です。 これまでにも示した通り,この論文では9つのステップが示されています。以下の通りです。 1.領域の特定と項目の作成 2.内容的妥当性の検討 3.プレテスト 4.サンプリングと調査実施 5.項目の削減 6.潜在的要因の抽出 7.次元性のテスト 8.信頼性のテスト 9.妥当性のテスト 今回は……5.からですね。項目を減らしていく作業から説明を進めていきまし

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心理尺度構成のステップ(2)内容の確認と本調査

今回も,心理尺度構成の内容について論文を見ながら確認していきましょう。 1回目の記事はこちらです。 この論文では,9つのステップが示されています。以下の通りです。 1.領域の特定と項目の作成 2.内容的妥当性の検討 3.プレテスト 4.サンプリングと調査実施 5.項目の削減 6.潜在的要因の抽出 7.次元性のテスト 8.信頼性のテスト 9.妥当性のテスト 今回は……まだまだ2.です。今回はどこまで進めることができるでしょうか。参考にしているのはこちらの論文です(Bes

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心理尺度構成のステップ(1)項目の作成

今回はある論文に載っていた,心理尺度構成のステップについて見てみましょう。 心理学(だけではなく他の学問でも)では,直接的に測定することができない構成概念を測定するために,尺度(質問と選択肢のセット)が使用されます。尺度は通常,単一の変数や項目で捉えることができないような,行動や感情,個人内部の傾向を捉えることを目的として作成されます。複数の質問項目を用いて構成概念を測定することで,各項目の誤差を相殺して,より正確な研究結果を導くことができるとされています。 尺度のつくり

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